2015年5月29日19時半~20時まで東芝で不適切会計問題についての説明会が行われた。当日朝に日経に関連する報道があった上、だいたい月末に役員会もあり、5月15日の説明会も金曜夜だったので、怪しいと注意はしていたが、他の会議に出席中、18時過ぎでも、案内が来なかった(前回は18時前)ので、安心して帰宅して19時過ぎにチェックしたら18時半にメールが来ていた。とても19時半には間に合わず、到着しても20時を過ぎている可能性もあるので、今回は参加を諦めた。
会社への確認と出席した方へ確認したところ、配布された資料はHPにある報道資料と同様で、質疑でも前回のような数字は出なかった模様である。
また、ほぼ報道通りに、6月25日に取締役選任等を議題にした株主総会を開催、7月中旬の第三者委員会の調査報告を受け7月中旬から8月にかけ、2013年度までの決算修正と2014年度の決算を発表、8月に有価証券報告書を提出、9月に決算と新役員などを議題として臨時株主総会を開催する予定となる模様だ。また2015年度1Q決算もずれ込むことになる。
このスケジュール通りであれば、上場廃止や監理ポスト入りは免れそうである。また、PCやTV、子会社もチェックするが、既にWH等は特別調査委員会の調査対象に入っていたが、不適切な処理には入っていない、ことが明らかにされ、そうであれば、影響金額は、これまで推定してきた1000~1500億円を変える必要はなく、確率分布も、ロングテールはなくなってきた。場合によっては、500~1000億円で済む可能性もあろう。
むしろ、これまでの決算修正が鍵であり、2011年度~2013年度のPC事業は赤字になったり、赤字縮小とされたTVも大きな赤字であった、また半導体のディスクリートやシステムLSIも、ほぼトントンではなく、結構な赤字が出ていた可能性もあろう。また、過去の営業利益が下方修正される分、2014年度の特損などが減る可能性もあろう。いったん、リストラで赤字縮小のTVが、2014年度は撤退で数百億円の赤字というのは違和感があったが、これまでの赤字が継続していたというなら腑に落ちる。そういう点では、新しく修正された業績数字は、より納得感があるものになるのであろう。
今回の問題が発覚して以来、注目点は、影響金額の大きさ、上場維持の是非などであったが、そういう重大かつ危機的な問題点から、徐々に、経営責任や、今後の管理体制に移ろう。
ただ、なお不明なのは、長い東芝の歴史、私自身も30年見ている中で、これまでも多少は十分に適切とはいえない決算もあっただろうが、なぜ、今回、この数年間で起こったかが謎である。
また、工事進行基準の例を別にすれば、この東芝の例を問題とするなら、シャープを代表に、多くの企業が本来は営業コストであるべきものを数年後に特損として落すような傾向は多く、社外役員、監査役、監査法人も含めて、その妥当性公平性などが問われよう。
これまでの関連するものを参考までに以下に示す。
http://www.circle-cross.com/2015/05/26/2015年5月25日-東芝の不正リスクの影響-その2/
http://www.circle-cross.com/2015/05/25/2015年5月24日-短期利益を操作できる在庫-シャープ/
http://www.circle-cross.com/2015/05/19/2015年5月19日-情報がない時ほど-不完全で少しの手掛かりでも有難い/
http://www.circle-cross.com/2015/05/18/2015年5月17日-収益性と健全性-シャープと東芝に思う/
http://www.circle-cross.com/2015/05/16/2015年5月15日-東芝の不正会計リスク/
http://www.circle-cross.com/2015/05/14/2015年5月14日-総合電機の経営重心とポートフォリオ-短期も怖いが長期も不安新/
http://www.circle-cross.com/2015/04/20/2015年4月20日-双極型経営重心の東芝の重心外れディスカウントの悩み/