2015年12月10日 NECの研究開発IR~ノイマン・ムーアを超える脳型設計思想

1210日、15-17時、NEC本社で研究開発IR説明会に参加。毎年12月に恒例となってきた。15-16時は、研究開発トップの江村氏よりプレゼン30分程度、あと質疑が10問程度。16時以降は、隣の会場で、各ブースの展示を研究員から説明。中期戦略に向けてのR&D戦略がよくわった。質疑回答は、江村氏は、いつもながら的確である。また、長期のテーマや方向性も、ムーアの法則とノイマン型の限界を超えるのは、「脳に倣う脳型コンピュータ」つまりFPGA、である、などより明確になった。展示も、初めて公表もあり、よく考えられフォーカスされていて良かった。

江村氏のプレゼン要旨

 今後2050年の世界に向け、安心、安全、共生、多様性、など7つの社会価値創造に向けソリューションを絞り込むが、そこでは、IOT4次産業革命がもたらす、実データ、情報、知識、知性という解ける課題の高度化が重要で、2015年ではモノの理解だが、18年はコトの理解、2020年には、深いコトの理解が価値を生む。これを生みだす技術が、AI・データサイエンスとICTプラットフォームである。

R&Dの基本方針は、価値共創研究所として、価値の高いソリューションに絞り、そこで、No1Only1の技術を磨き、これを、パートナリング、ユーザーとの共創で補う。ソリューションの深化で価値を増幅、One-to-Manyでソリューションを広げビジネスを拡大、コストを下げる。

AI・データサイエンス、ICTプラットフォームにフォーカスしNo1Only1

フォーカスするNo1Only1の技術は、AI・データサイエンスでは、見える化、分析、制御誘導、ICTプラットフォームでは、④コンピューティングと⑤ネットワーキング、⑥セキュリティである。この中で、①見える化では、顔認証、学習型超解像、群集行動解析、②分析では、インバリアント分析、異種混合学習、③制御誘導では、自律適応制御、予測型意思決定最適化、④コンピューテイングではベクトル化、I/O仮想化、相変化冷却、FPGAのサイバーワークベンチ、⑤ネットワーキングでは適応レート制御、SDN/NFV、⑥セキュリティでは認証暗号、秘匿計算、自己学習型システム異常検知などが、No1Only1として示された。

2040年にムーアの法則・ノイマン型の限界を超えるのは脳型でFPGA

AI・データサイエンスでは、スマートウォータ、安全都市など具体的な事例で新技術が紹介されたが、注目したのがプラットフォーム技術の時系列での発展であり、コンピューティングでは、実世界変化にリアルタイムに対応するため、デバイスは脳に近いベクトル、FPGAの利活用になり、2020年に複雑大規模化に迅速に対応可能となる。

ネットワークでは、レイヤー統合の進展で、15年のSDN18年無線・インターネット統合制御、20年にはアプリケーション要件に基づくICTインフラ統合制御となる。セキュリティでは17年がデータ保護、20年はシステム安定稼動保証へ。

さらに、2020年以降の技術は、判断、自律協調、右脳型処理、機能分散、全体セキュリティとなるが、オープンイノベーションで連携して先行技術に取り組む。20202040年では、リアルタイム性と超低消費電力性において、脳に倣う脳型コンピュータであり、ノイマン型・ムーアの法則の限界を超えるためにはFPGAが鍵になる。

R&D戦略では、メリハリ、不足はオープンイノベーション、理学・人文系も採用

研究開発マネージメントにおいては、注力領域にフォーカスすると共に不足するものはオープンイノベーションで補い全体を増やす。