日銀がマイナス金利を導入して、様々な副作用が出てきている。メディアではまだ騒がれていないが、最大のものが年金債務だろう。
シャープの例で示したい。2014年度末では、年金債務3800億円に対し、年金資産3000億円である。年金債務3800億円の割引率は1.5%、長期年金資産3000億円で、株26%、債権29%、オルタナ20%、などだが、リターン想定は3%である。
仮に、マイナス金利となると、割引率がゼロになる可能性もあり、1.5%が0として計算する。なお、期間は、15年だが、簡単のため20年とするとする。
(1+0.015)^20 - 1 = 約0.3 ゆえ、3800×0.3=1000億円である。
つまり、1000億円強PBOが膨らむ。これは、かなり巨額である。
こういうところが時価評価会計の怖さであるが、老舗企業で従業員数が多く自己資本が貧弱な会社はいきなり債務超過リスクが出てくる。金融庁や監査法人なども含めて年度末までに、ガイドラインを作成し、混乱がないようにすべきだろう。ただ、そこで姑息な手段をとると、粉飾だと誤解され、外国人投資家から不信感を抱かれる可能性もある。また、マイナス金利の影響は、局所的に非線形な影響が出やすく、これまでの金融工学で計算してきた前提が崩れ、予想できない事態が出てくるかもしれない。実験的には知的好奇心はあるが、国民生活や企業活動に多大な影響を及ぼすので、マイナス金利を即やめるべきだろう。