何故OLEDか?
2017-18年のアップルのスマホ採用や、サムスン等の大型投資、鴻海のシャープ出資でも話題になったが、OLEDが注目されている。特に、昨年秋以降の動きが急だ。
OLEDの利点は、なんといってもフレキシブルディスプレイであろう。LGDによれば(SID2014DIGEST招待論文)、フレキシブルディスプレイの技術トレンドは、第一世代がDurable、第二世代が、Bendable、第三世代がFoldable/Rollable、であり、この第二世代以降はOLEDでないと難しい。
OLEDだけが最適解ではない
もちろんOLEDだけが最適解ではない。
前哨戦はサムスン先行だが日台も十分巻き替えし
それゆえ、前哨戦はサムスンが2週先行だが、あと2年のうちには、日台勢(JDIも含め)も十分チャンスがあろう。これまでハイテクでは、日本が先行、韓国がフォロー、キャッチアップして抜き去るというパターンだったが、今回は、戦いの様相が全く異なり、フォロワーの利点もある。また、サムスンが先行しているのが、難易度が高い技術故に、兵法三十六計の「第二十八計 上屋抽梯」かもしれない。
OLED周辺の最新動向、鍵は、蒸着機、封止、マスク
OLED化が進む中で、鍵となるのが、①RGB蒸着機、②水分厳禁のOLEDの封止、特に端面からの防止、③マスク(FMM:フラットメタルマスクと、FHM:ファインハイブリッドマスク)、である。
RGB蒸着機はプラント
RGB蒸着機の概要を示す。G6ハーフでは、連結される封止の真空プロセスも入れれば全長150m、幅20m、高さ8mといい、まさにプラントである。チャンバーも数十、システムは、成膜第一クラスタ、成膜第二クラスタ、封止クラスタ、封止ガラス自動供給ラインからなる。
OLED封止
OLEDは水分厳禁であり、RGB蒸着機の後で速やかに封止しなければならない。これまで、ガラス向の封止は既に実績があるが、フレキOLEDでは、薄膜封止が重要となる。
マスクはFMMが先行、追うFHM
FHM
アテネは電鋳に強み
Vテクは、PI使ってFHMでキャッチアップ
OLEDのキャパをボトルネック装置から試算
中国をはじめ韓国、台湾、日本で、OLEDとLTPS/LTPOの投資が相次いでいるが、スマホ市場が鈍化する中で大丈夫だろうか、というのは、業界関係者、投資家アナリストに共通の懸念である。報道や各社の発表、SEAJなど業界団体の予測では2016年のFPDの設備投資は20%増、露光機等は40%増もありえそうだ。また、中国企業では、計画は物凄いが、頻繁に変更される上、どこまで信憑性があるか不明な点もあり、さらに、装置によっては供給できないものもあり供給能力を計算するのは難しい。
そこで、ボトルネックになっている装置の動向からキャパを計算する。
シャープのOLED投資計画
ここでの装置や設備投資の金額は、シャープの第三者割当増資の発表資料や、これまでのFPD各社のキャパと装置の導入状況などから計算した。当初の発表では、亀山かと思われたが、装置が巨大な上、将来の展開を考え、堺になる見通し。このOLEDの2000億円や、LCD(IGZOが中心)の600億円は今後大きく変わる可能性もあろう。
関連メーカー
なお、OLED化で、LTPS/LTPOで必要な装置メーカーを示す。実際は、かなり流動的である。なお、サムスンやLGが先行しており、材料や装置でも、韓国勢が強そうである。
2017-18年には過剰、OLEDが過半に
需給はクルマ搭載、折り畳み式次第