11月11日16時半からの説明会に参加、18時からのテレコンがあっため質疑の途中で退席、あとは、HP視聴で確認した。平田CFOがプレゼンと質疑対応。業績は既に上方修正されており、メモリ市況改善が殆どなので違和感はない。前回同様、真摯な開示姿勢、セグメント別の在庫・売掛開示等、更に工夫されている。惜しむらくは、もう少し簡潔に説明で時間短縮、アナリスト側も簡潔に質問すべきだろう。
決算はNANDが想定以上だがインフラ系が課題、TVは論外
期初から何度か、慎重に上方修正しているが、期初との比較では、上期業績は、売上2.35→2.58兆円、OP赤字200→黒字968億円、NP600→813億円。OP全体で1168億円改善だが、セグメント別では、ESSで146億円、ISSで142億円、SDS698億円、全社消去で258億円であり、もともとのSDSのNANDの見通しが慎重な上、市況も想定以上に好調であった。なお、全社消去の改善は、本社で見ていた円高や価格動向などのリスクをセグメントに振り分けたため。実力では緊急対策450億円を除くとOP500億円。
年間では、売上5.1→5.4兆円、OP1200→1800億円、NP1000→1450億円、OP改善600億円は、SDSの980億円改善、逆に、その他はTV中心に290億円悪化は気になる。なお、全社消去でもともと見ていた600億円はセグメントに振り分けないリスク見合い(バッファ)だが、今回は同じ600億円だが、リスク見合いは既に各セグメントに振り分け、全く異なる内容で、リストラ費用である。中身は不明であり、結果、減る場合も増える場合もありそう。なお、緊急対策を除く実力OPは1000億円。
下期は逆に、OP1400→832億円と下方修正されており、セグメント別には、ESSで186億円、INS92億円、その他がTV等226億円、消去全社348億円、が下方修正、上方修正は、SDSの282億円、INSだけであり、気になる。特にLG社など電力流通が怪しい雲行き、TV等は厳しい。全社消去では、上記のリストラ費用が新たに織り込まれている。引き続きメモリ以外は収益性も低く問題含み、TVは論外だ。
FCFが上期985億円も下ブレ、通期も1100→ゼロは、一見、在庫積み増しで短期損益を嵩上げかと、疑いがちだが、全く真逆であり、期初に織り込んでいなかった債権流動化の縮小750億円が主。これは、実態のFCFを見極めようという取組みであり、評価したい。また、前期は株や資産の売却も多く、それも含めて、来期以降、正常化し、FCF創出力の真価がわかり、注目したい。あとは、350億円分が、資産売却予定だったが、赤字を出してまでというのは忍びなく、タイミングと様子見というのも理解できる。ここに半導体などがあるだろう。
B/Sはまだ怖い
今回の決算を評価すると、開示姿勢◎、全体PL○、中身△、B/S改善は×、といったところだろうが、自己資本3600億円は引き続き、危うい。CFOは格付け上も、3000億円は最低水準だと示唆したが、今後のリスクとしては、3月末に向け、円高による為替調整勘定、PBO、減損テスト等があり、引き続き予断を許さない。
原発・フリーポートのリスク
原子力事業については、燃料の国内統合、さらに炉なども含め再編など、報道先行だが、何も決まった事実はないとコメント、客観的事実として、現状の稼働が続けば、明らかに供給過剰との認識があり、再編等は必至だろう。ただ、その場合、リストラ費用がどうなるか、更に、数兆円の偶発債務を抱えるだろう東電再編も含め、原子力産業全体の問題となる。その同社への影響は不明である。
自己資本1兆円のため、SDS社成長のためにも上場が望ましい
こうした原子力・フリーポートのリスクを考えれば、自己資本1兆円は早期に必要だろう。その近道は、メモリ事業の分離、上場であり、NANDが活況な今なら、2兆円以上の時価総額も可能だろう。51%でも1兆円の資本増強になる。また、SDSにとっても、将来を考えれば、WD等からの出資や、中国も含め、より広いパートナーとの連携と次世代のSCM開発、将来のビジネスモデル変革を求めるべきだろう。設備投資先行、量産でコストを下げ、市況に左右される20世紀型モデルから脱却しないと、いずれ、中国との泥沼の競争になる。
市況は、足元、充足率70%との声もあり、価格は安定、下期は更に上ブレだろう。ただ、ビット需要は価格弾性で決まり、また3Dが進展、歩留まり向上なら、一気にビット供給が増えることも忘れてはいけない。SPEメーカーの業績がこれだけ好調ということは、1年後にはリスクが顕在化する。
いつやるのか、今しかない。