時代が交わる時には、価値感も変わる。そこでは、新しい価値を測る単位や数字が必要だ。現代人の多くは、給料が上がったり、日経平均株価の乱高下で、一喜一憂する。受験生は、偏差値(これは、駿台予備校が大型コンピュータを導入して、可能になり、より性格に合格率や難易度がわかるようになった)に踊らされ、大学のランキングもそれで決まる。企業ならば、業績だ。国民は、GDP成長が続くと、安心する。
数字の裏にある構造と統計の危機
数字はウソをつかないが、ウソつきは数字を利用する。給料は実際には物価との対比や、年金受給も含め、考えないといけないし、日経平均も、むしろ時価総額をドルベースで考えるべきだろう。偏差値も、科目の負担で異なるだろう。そもそも、それらも、正規分布が前提だ。正規分布でない場合は、平均値や標準偏差は無意味な場合もあろう。業績では、P/L、B/S、更には、割引率などを巧妙に操作すれば、粉飾できる。しかし、エコノミストも、アナリストも、学者も、こうした数字、特に統計データを所与のものとして、扱い、その裏や、背後にあるものを考察したり、検証しようとしない。
特に、ビッグデータ、データサイエンティストの時代と言われながら、統計の現場は危機的であり、半導体のWSTS等は補足率が70%を切っており、機械統計も輸出産業をべースにしているため、複雑なサプライチェーンは想定していない。これについては、以前に書いた。
https://www.circle-cross.com/2015/09/13/2015年9月11日-エコノミスト達は統計の現場をチェックしているか-統計の危機/
全ての統計には意図があり、統計数字が権威
統計いや数字を作るのは、権力者であり、古くは暦や年号そのものが、権威の象徴であり、検地による石高調査、度量衡もそうだ。
ザカリー・カラベル氏によると、1066年ノルマンディー征服王が「ドゥームズデー・ブック」という統計記録を作成した(「経済指標のウソ 原著 THE LEADING INDICATORS〜A SHORT HISTORY OF THE NUMBERS THAT RULE OUR WORLD」ダイヤモンド社2017)。同書によると、経済指標は自然法則なみに尊重されているが、米GDPは一夜にして4000億ドル、日本のGDPも16兆円増えるなど、絶対的なものではなく、全ての統計には意図がある、としている。。
新時代の単位を
サービス化、シェアリングエコノミー、ブロックチェーンや、仮想通貨などは、GDP統計には十分に反映されていないだろう。新しい単位系の創造が重要だ(経営重心 幻冬舎2015の巻末に記述)。
マクロ経済と会計学の一致
その中で、日経経済教室で中野誠一橋大学教授による「企業利益と経済成長 設備投資通じた連動性 顕著」 に関心を持った。https://www.nikkei.com/article/DGXKZO39193460Q8A221C1KE8000/
日経新聞市況欄では、12月26日付け記事で、「商品市況 平成の30年」として、半導体メモリのビット価格低下を取り上げている。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39331460V21C18A2QM8000/
その代表例として、DRAMを取り上げ、この30年で、256キロビット2.2ドル→4ギガビット3ドルと、技術革新で1万分の1以下となったと記している。
DRAMについては、平成元年の頃は、日米半導体協定の頃であり、FMV(フェアマーケットバリュー)により不自然に価格が維持されていて、そこを起点とするのは、やや違和感があり、また当時は、既に1メガが主流であった。また、DRAMは、平面での微細化であり、ムーア則に従った。
より、ビット価格低下が大きいのは、NANDフラッシュであり、20年で、5万分の1だ。微細化に加え、3D化、多値化(SLC→MLC→TLC→QLC)があり、ムーア則を超えた。
ビット価格当たり単価
DRAMの1万分の1/30年であれ、NANDフラッシュの5万分の1/20年であり、情報メディアのコストは、確かに、この単位だ。しかし、この単位によって、イノベーションの度合を示したことも、大きなイノベーションだろう。
日経新聞が、29日に、未上場大企業でも、社外取締役導入を義務づけと報道。法制審議会の会社法部会(部会長は学習院大学法科大大学院神田教授)がまとめた会社法改正の要綱案、2019年通常国会に改正案提出、2020年施行を目指すという。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39458370X21C18A2MM8000/
ついに、未上場会社まで、ガバナンスかと驚いたが、12月12日に公表されている、「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案(仮案(2))」を参照すると、12頁の「社外取締役の活用等」の箇所で、「監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならないものとする。」と記されており、実は、これまでと変わらないようだ。http://www.moj.go.jp/content/001277293.pdf
ジャパンディスプレイの苦境が続いている。2Q決算後、12月9日には、液晶パネルを採用した量産モデル「iPhone XR」の販売不振に伴う3割減産報道や、米中摩擦、株主であるINCJやJICの混乱など、ネガティブなニュースが多い。
株価は、2Q決算説明会後も、業績不透明感に加え、中計の発表が無かったことや、上記のネガティブニュースもあり、下げか止まらず、一時は50円までいったが、その後、12月14日には、中国資本参加報道もあり、反発、2018年の大納会終値は72円だった。また、19日には、エフィッシモが7.9%を取得。INCJ25%に続く2位の大株主となった。
イノベーション戦略発表会
会社側は、12月4日、イノベーション戦略発表会「JDI Future Trip - Creating Beyond -」を開催、新製品の発表や展示をした。
減産
前工程工場でXR向け生産数量は、フル稼働の11月までに比べ3割前後減、工場稼働を徐々に落とし、年末年始は量産を10日前後止める模様。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38719590Y8A201C1EA5000/
中国資本参加は微妙
ホシザキが10月30日、販売子会社のホシザキ東海の不正取引の疑いで、11月7日予定の3Q(2018年1~9月期)決算発表延期と発表、四半期報告書延期期限の12月24日に間に合わず、管理銘柄となったが、再期限の12月27日には、間に合い、上場を維持できた。
ホシザキは、2016年8月以降、説明会に参加できておらず、2018年8月の説明会には参加予定だったが、体調その他で欠席、決算短信はチェックしていたが、今回の件は、驚きだった。オーナー系企業では、こうした不正会計は珍しく、IRも良かったからだ。
https://www.circle-cross.com/2016/08/22/2016年8月21日-ホシザキの上期決算と経営重心-とドメイン/
3Q決算を受け、通期業績(2018年12月期)は、売上2879億円、OP361億円、NP245億円で不変。
ホシザキはオーナー系優良企業でIRは良いが
ホシザキは本社がある桶狭間の近辺にあった星崎城からとっており、ペンギンのトレードマークで有名。オーナー系だが、オーナー色をそれほど出さないが、オーナー系の坂本会長が85歳近く、あとは、途中入社の50代の役員が多く、坂本会長の力が圧倒的だ。
経営理念が独特で、販社に競わせる中で営業力が強く、M&Aの成功例が多く、ニッチ分野だがグローバルに展開している。
優良会社ではあるが、ガバナンス的には、監査役設置会社であり、指名委員会も報酬委員会もない。IFRSでなく、日本基準である。
不正取引に加え、本社社員が教唆で延期
不正取引の上、調査過程でホシザキの本社社員が販社の関係者に回答法の教唆が発覚したことが、再延期の理由であった。社内調査委員会の報告書によれば、不正取引は、架空リース取引、売上原価の付替え、代理店販売の仮装、販売代理店兼協力業者に対する架空売上の計上等だ。連結業績の影響は軽微であり、有報は修正しない。既存設置機の無断転売及び売却代金の着服も判明。
調査報告書ではデジタル・フォレンジックに加え、テキストマイニングを活用
今回、興味深かったのは、営業部営業担当者168 名へのインタビューで得られたホシザキ東海の社風についての回答に、テキストマイニング技法(共起ネットワーク分析)を適用して分析・要約を行っていることだ。
ゴーン氏が11月19日の逮捕された直後に、第一印象を記した。ポイントとして、「①日産は、報酬委員会がなく(監査役設置会社)、非IFRS、②報酬は、キャッシュだけが記載、業績連動等がないのは違和感。日産株は多数保有。外資では通常、複雑な報酬スキームがある、③不動産所有等が報じられているが、これは、他の会社でもフリンジベネフィットがあり、これが全部、報酬と見做されるなら、有価証券報告書記載だけでなく、税務でも、産業界全体の大きな話となる、④要は、有価証券虚偽記載は、きっかけに過ぎず、もっと奥深い問題があるのでは(内部告発、社内対立)と見るべきで、近因は、カリスマトップ及び周辺側近の行き過ぎだが、真因は、クルマの業界再編と株主構造のガバナンスの歪み、遠因は、企業体質だろう(それ故に、委員会設置会社でなく、IFRS対応がない)」とした。
https://www.circle-cross.com/2018/11/20/ゴーン氏逮捕の裏にあるもの-第一印象/
日本と海外の対応差
その後、ゴーン氏は拘留が延期、様々な憶測、報道が出ている。日本では、ゴーンに批判的であり、確かに、個人の運用付け替えや親族への便宜などなど、驚くべき点も多いし、特別背任になれば、致命的だろう。最初、田中角栄逮捕の既視感を指摘する声もあったが、全く異なるかもしれない。他方、海外では、日本の司法制度に驚き、批判的である。新日的な知人でさえもそうだ。親しい他方で、ファーウェイCFO逮捕もあり、これまた、各国で意見が異なり、興味深い。共に、売上10兆円を超えるグローバル企業のカリスマトップが、短い期間に逮捕されたというのも、あまり過去例がないだろう。
第一印象の検証
そこで、第一印象を、検証すると、①ガバナンスや会計制度が不十分、②報酬スキームの海外での複雑さについては、多くの識者も指摘して、その通りだった。③のフリンジベネフィットは、これからの議論だが、ゴーン氏の場合は度を越しており、論外だろう。④については、クーデターとの見方が強くなっているようだ。
すなわち、真因として指摘した、クルマ業界の再編と株主構造歪み、という指摘は、いいところをついていたのではないか。つまり、ゴーン氏は、ルノー中心に日産や三菱自工を完全統合し、CASE等に備えようとし、それを止めようとする中で、内部対立からクーデターとなったのだと憶測している。
CASE再編トヨタに対抗できるモビリティキャリア
そこで、興味深いには、12月4日のJIC問題の突然の浮上であり、唐突に、JICの報酬を巡る問題で、民間出身の役員と経産省側で対立、その後、結果、民間役員が全員辞任となった。一見関係がないようだが、同じタイミングで、唐突に起きた事件は、底で繋がっている可能性がある。
巨大なカリスマが作る風土
業界では常識であり、一部の方は指摘しているが、あまりマスコミで報道されないのは、かつての日産のドンであった塩路氏の件だ。
東京証券取引所は、第1部市場のあり方を見直すようだ。1部上場維持の時価総額の基準引き上げ、他市場からの昇格基準も厳格化するようだ。1部2100社超と多い企業数を絞り込み、新興企業向け市場も再編、投資環境を整えるようだ。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39220970Q8A221C1EE9000/
大半が、1000億円どころか、500億円以下であり、多くの企業が対応を迫れることになる。
まず、500億円超え、近い将来1000億円か
選択肢としては、1部から降格で、2部、その他、等になるか、合併統合である。
売上500〜1000億円、時価総額500億円がグローバルで生き残り
自身や日の丸技術を守るなら、時価総額500億円〜1000億円に向け再編が待ったなしなのかもしれない。
何故、時価総額500億円か
売買金額でコミッションを得る証券会社にとっては、時価総額が大きく売買高が大きい銘柄がベストであり、
日立がABBを7000億円で買収する。既に、日経などで12月12日に報道されているが、12月17日に正式発表、16時半よりマスコミ・投資家アナリスト合同の説明会が開催、HPから参加した。プレゼンは、東原社長、質疑対応は、西野寿一氏副社長など。http://www.hitachi.co.jp/IR/index.html
2021中計と株価を抑える3つのリスク
世界グローバル企業になり、OPM10%にするという2021中計に向け、業績は堅調だが、株価を抑える要因は、①UK原子力ホライゾン案件、②南アの重工との係争、③オートのメキシコ生産の問題、である。
買収の概要
対象となるABBのパワーグリッド事業は、売上1.1兆円、EBITA1100億円、3.6万人。グリッドオートメーション(ソフト)、変圧器、高圧製品(ガス開閉)で世界1位、グリッドインテグレーションで2位。。日立とは2015年から分散型電源の安定供給などでJVを作り協業実績。
原発ホライズン
他方、英原発のホライズン案件は難航している。同日、経団連の記者会見で、中西会長は、英での原発のホライズンが限界だと報じられたことに関しては、CY2019締結に向け、「大変だが諦めずに努力を続けている」との回答。
WHからランディスギアのデジャブ
名門ABBの事業買収となると、従業員の意識、PMIも容易ではなく、どうしても、東芝のWH買収を想起させられる。
アルバックが例年12月に開催するセミナーに参加、質問もした。12月19日10時〜11時半。昨年は、中国ビジネス動向だったが、今年は、技術、GaN等のパワーデバイス動向であり、内容が濃い。
まず、斉藤上席執行役員が、イントロでパワーデバイス業界トレンドを紹介、次いで、トヨタ中研から現在、名大特任教授の加地氏によるGaNパワーデバイス動向、アルバックの上村部長からは化合物半導体、GaN-HEMT、VCSELなど、ホットな話題が提供された。質疑の時間が、10分弱であり、1人1問で3問だったのが残念だった。
パワーデバイスにおけるGaNの可能性
パワーデバイスの応用は、縦軸に消費電力、横軸に周波数をとると、下図のように、すみ分けられている。
加地特任教授によるクルマにおけるGaNの応用分野
加地教授は、これまで、トヨタ中研等で、ずっとEV向けパワーデバイスに係ってきた。ハイブリッドも含め、電動化の鍵は、①電池、②車体、③半導体、である。
VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser ヴィクセル垂直共振器型面発光レーザ)
iPhoneの顔認証(ロミオモジュールと、ジュリエットモジュール)では、VCSELが使われた。
日新電機の上期決算は、去る10月30日に発表されている。同社は、年度のみの決算説明会であり、上期段階の決算説明会はない。今回、11月末頃に、京都にて取材を行い、上期決算について、中身を確認、併せて、若干の市況や景気情勢などについても意見交換をしたので、報告する。
業績は上期下ブレだが、通期は不変
業績2018年度上期は、受注552億円、売上467億円、OP25億円、NP17億円。全体では、受注20%減、大幅な減収減益。
セグメント別には、下記のようだ。
去る11月22日に、アナリスト、マスコミ向けに、東芝の技術戦略とCPS戦略に関する説明会が、2年ぶりに開催された。後半は、デジタライゼーションCTOでIBMから招聘された山本宏氏。残念ながら、当日は教授会があり参加できなかった。HPに、プレゼン質疑が掲載。視聴したので、報告する。中身は、これまでも、言われてきたし、主張もしてきたことだが、IBMから来た専門家が、独特の表現と個性で表現されると説得力がある。https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/opr20181122.htm
アーキテクチャとCPS
プレゼンでは、まず、CPSとアーキテクチャの話を、「おかず」と「弁当箱」に喩えた。
SPINEX
そのB2BのIoT向けプラットフォームが、SPINEXだが、世界標準に基づいた、オープンなインターフェイスを持ち、インプリメントは尖がっているところが特徴らしい。
IoTは東芝の強み
これまで、多くのアナリストや専門家、IBMのOBなどが、東芝のIoTには、競争力が無いとしてきたが、これは、サイバー空間だけの皮相的な見方であり、筆者は、フィジカルベースの多くのデータや、技術などの実績を豊富に持ち、国内中心だが、顧客基盤も強い上、かつては、制御だけでなく、画像認識などAI関連技術でもトップクラスであり、戦略を転換すれば、十分に機会はあると主張してきた。80年代の当時の「情制本」を中心の「I作戦」は、まさに、今でいえば、IoTあるいは、CPSである。
9月25日に旧INCJが会社分割により発足したJICが迷走している。報酬問題が注目されているが、投資方針も含め、意見の相違が大きいようだ。
JICとINCJの違い
もともと、8月31日にINCJが記者会見を開き、9月21日に、新設分割により、新INCJとなり、9月25日に、JICが設立となった。
記者会見した田中正明社長は「単なるゾンビ企業を延命する気は全くない。賢いマネーの供給者になる」と強調。AIなど成長分野に強い技術などをもつ企業を選別して資金供給する姿勢を示し、①ソサエティー5.0に向けた新規事業推進、②ユニコーンベンチャーの創出、③地方に眠る将来性のある技術活用、④既存事業の産業や組織の枠を超えた事業再編に資金を投じるとしていた。
旧INCJと異なるのは、個々の投資案件に経産大臣の意見聴取が不要で、投資にはより自立した立場をとり、迅速な判断をめざすとしていた。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35730830V20C18A9EE8000/
しかし、下図を見ると、微妙に、表現が異なる上、よく見ると、経産大臣が意見を述べるという部分もある。この解釈や中身が本質だろう。
本質は報酬問題ではない
報酬問題もあるが、むしろ、そこは世論誘導であり、本質は、案件の方針だろう。もう、INCJでは、産業再生に係る新規案件が難しく、ジャパンディスプレイなどが支援できないが、そこを、JICでやりたかった可能性もあろう。
INCJの問題点とJICの課題
元々のINCJの問題点は、過去、何度も論じているように、①組成がダメで利害相反、②最初は志があったが、すぐに役所や海外ファンドの天下り先になり腐る、③役所や政治家、銀行など同床異夢、④ETTを持つ紺野先生以外は、目利き力、人脈が、弱く、特に、実行部隊が実質、経産省や銀行である、等が問題であった。さらに、本質的な総括が無いまま、延期となったことも課題だ。
https://www.circle-cross.com/2015/08/25/2015年8月22日-産業革新機構の折り返し点の評価/
https://www.circle-cross.com/2016/01/16/2016年1月16日-incj再考-ミイラ取りがミイラになるリスク/
https://www.circle-cross.com/2016/12/12/2016年12月12日-鴻海-シャープ-jdi-incj問題を振り返る/
https://www.circle-cross.com/2017/01/06/2017年1月5日-産業革新機構-incj-でなく原子力再編機構を/
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO97172410Q6A210C1NNS000/
これに対し、JICは、以下だろう。
去る11月30日15時より恒例の決算説明会に参加、質問もした。いつも通り、プレゼンは栗原社長。質疑は栗原社長中心に幹部が対応、今回は、業績中心の質問。
決算は産機が好調
2018年度上期は、売上467億円、OP10億円、NP14億円。産機が好調、理化学も原価改善効果大。マルチビームは受注5台、売上2台が寄与。B/Sは、長納期のものが多く、在庫増だが問題ではないようだ。
2018年度は、売上1100億円、受注1120億円、OP52億円、NP40億円に向け、順調。中計Triangleの最終年度で、売上1200億円、経常利益70億円は微妙だが、利益は産機次第で不可能でもないだろう。
セラミックス超電導タイプのNMR
次期中計「70年目の転進」のメッセージの元、新製品の紹介が多い。中でも、セラミックス超電導タイプのNMRが紹介された。
去る11月22日に、アナリスト、マスコミ向けに、東芝の技術戦略とCPS戦略に関する説明会が、2年ぶりに開催された。2016年10月以来。前半は、R&D担当の斉藤専務、後半は、デジタライゼーションCTOでIBMから招聘された山本宏氏。残念ながら、当日は教授会があり参加できなかった。HPには、プレゼン、質疑も含め、掲載。視聴したので、報告する。https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/opr20181122.htm
最初に、車谷会長の10分近い挨拶。NEXTプランでも紹介されたCPSの話、東芝のDNAはベンチャーだと強調、個別では、精密医療へ再参入。
斎藤氏は、東芝で、デバイスなどを中心に、長年、R&D一筋、メディカル部門も経験、どちらかというと、重電よりは、デバイスやデジタル家電、メディカルなどが多いようだ。
3分類で21の技術を紹介
プレゼンでは、NEXTプランで掲げられたCPSテクノロジー企業を目指すため、①豊富な事業ドメインに基づくコンポーネント技術の更なる強化、②AI・IoTをベースにしたデジタル化により顧客価値を向上する技術の開発、③将来顕在化する社会課題を解決するための先端技術の開発、と3つのカテゴリーに分類された。
このうち、いわば、①は要素技術、②は応用、③は先端基礎というイメージだろう。
この3つに分け、それぞれ、8、8、5の計21の技術が紹介された。①では、SCiB、パワーデバイス、ViscontiとLiDAR、ニアラインHDD、超臨界CO2サイクル火力発電用ガスタービン・燃焼器、②では、東芝におけるAIの技術開発の歴史とオープンイノベーションを取り入れた開発、アナリティクスAIである、SATALYSの紹介、③では、ゲノム解析から健診、診断、治療まで、精密医療の要素技術の紹介、重粒子ガン治療、生分解性リポソーム、スタンフォード大学と連携のAIデバイス、ケンブリッジ大学と連携の量子暗号通信、など。
この他、CPS事例では、IoT活用の電力需給安定化、鉄道保守高度化、ロボットによる物流自動化も紹介された。
ほぼ、これまでも、紹介されたものであり、新鮮味がなく、むしろ、実用性の進展や、何故これまでは離陸しないが、これからは違うのか、と言った説明が乏しかった。
研究開発体制
研究開発体制(R&D)では、19-23年度に累計9300億円、平均1800億円弱ゆえ、ほぼ、売上高比率5%はこれまで通りだ。ただ、過去は、メモリーにかなり集中、原子力も多かったので、その分は、かなり、メモリー以外のデバイス、IoTやAIに振り向けられるだろう。R&D体制は、一見、「研究開発から製品まで一気通貫のバリューチェーン最適化」とあり、リニアモデルに見えるが、最初の段階で、ビジネスモデルまで考えるそうだ。
R&D組織では、研究開発本部の下に、コーポレートラボとして、研究開発センター、ソフトウェア技術センター、生産技術センターや、海外の欧州研(ケンブリッジと通信)、米、中国、ソフトウェアのインド、ベトナムがある。欧州と米の研究所は、基礎研究が中心で、海外の有力大学と連携、オープンイノベーション。ソフトウェアは、むしろ事業所に近い印象。また、各事業部門に、ワークスラボがあるのは、これまで通り。これ以外に、100億円規模のCVCがある。
平成は、「平らかな成長(Flat Growth))時代だった
平成時代は、まさに、日本経済にとっても、日本のエレクトロニクス業界にとっても、「Flat Growth」の時代であった。エレクトロニクス業界は、ゼロ成長どころか、右肩下がりだった。
総合電機5社は、日立は1兆円損失の後、回復、東芝は資産切り売りで、NECや富士通も、事業売却で何とか、命脈を保っているが、成長には遠い。家電では、三洋が消え、シャープは鴻海傘下で再生。財務危機のパイオニアはついにファンド傘下。パナソニックは、松下通信や九州松下、松下電工を統合したが、最高益は更新できなかった。CMOSセンサで最高益更新のソニーも10年近い苦境だった。
半導体では、日立、NEC、三菱電機から出たDRAMのエルピーダが破綻、他も成長を享受できていない。平成の始まりに世界ベスト10中、上位を占め、世界シェア50%近かったが、10%以下だ。日立、東芝、パナソニック、ソニー、エプソンを連合した、液晶のジャパンディスプレイも経営危機が続く。
平成時代の大手電機の営業利益推移はフラットに近い)。キヤノンなど精密機器は変わって、90年代半ばから躍進したが、リーマンショック後は停滞。広い意味でのエレクトロニクス業界では、健闘しているのは、村田や京セラ等の電子部品と、東京エレクトロン等の半導体製造装置くらいだ。2000年以降の精密や電子部品、半導体製造装置も含めた主要19社の営業利益合計もほぼフラットだ。
出所:筆者
出所:筆者
2018年を振り返る
このゼロ成長の平成の終わりに、カリスマ経営者ゴーン氏や、ファーウェイCFOが、それぞれ理由や次元は異なるが、逮捕された。今後の業界再編やガバナンス、国際経済への影響は大きい。
また、INCJの後を継ぐ、JICでは、株主である経産省と報酬を巡り、民間出身の役員全員が対立、辞任した。これも、政府ファンドのあり方も含め、今後の影響が大きいだろう。
ここでは、詳細や真因には触れないが、底流では、関連していると見る。昭和から平成もそうだったが、時代の変わり目に、日本も世界もきな臭い動きになってきた。
昨年の特集では、「2018年の電機業界はここ数年の業界再編やM&Aは一段落し、OLEDや5G、ADAS、AI、電池等の新技術も出揃い、体制を整えて次の飛躍に向かうが、デバイス市況は転換、業績は踊り場となるだろう」と昨年書いたが、大きな方向性は、そうだったろう。
実際、2018年は、景況感や業績では、夏場から、米中摩擦や、スマホ成長一巡からのデバイス市況変化、設備投資減速、そして、業績踊り場となった。
また、リストラや新たな時代に向けての再編や連携、好業績企業のトップ交替、GAFA警戒感の中でのプラットフォーマーへの規制が注目される。
そして、日本のエレクトロニクス業界を育成してきたオーナー社長の逝去も忘れられない。
デバイス市況に転機〜メモリはシリコンサイクルの底
2018年は、「スーパーサイクル」と言われた半導体業界はじめ、好調だったデバイス市況には、予想通り、転換点となった。NANDは春先から、弱かったが、夏場にかけ、暴落、DRAMも、スポットが下落に転じた。価格弾性効果に敏感な需要構造で、1年以上高値が続いていた中で、スマホが弱いことに加え、データセンターも金利上昇で投資一巡が効いた。ウェハーのタイト感も消えつつある。他のデバイスでは、SAWに加え、スマホ向けはMLCCも一服。FPDは大型TV向けLCD、中小型はスマホ市場鈍化で、OLED、LCD共に市況は軟化が続く、している。
半導体設備投資も、需給変化を受け、夏からサムスン等で延期、ビットコイン急落で、TSMCなどファウンドリの投資もブレーキ、2Q決算では、東京エレクトロン等装置メーカーの業績下方修正が相次いだ。スマホ不振に加え、米中摩擦もあり、中国の工場投資も軟化、ファナックやオムロン等のロボット関連メーカーも下方修正。クルマ系向けは、EV化やADAS関連は堅調だが、それ以外は、米中で弱含み。
シリコンサイクルは、民需IT市場では、PC向けの3-4年から、スマホ向けの1-2年に短期化、1年単位では打ち消され、加えて、より長期サイクルの産業向けである、クルマや産機、データセンター向けが大きく離陸した。この産業向けが、そろそろ、サイクルの終わりが近く、これが10年単位の金融危機と連動すれば、大きなサイクルの落ち込みとなり、警戒が必要だ。メモリは少なくとも、2019年前半は厳しいだろうし、これまで堅調だった受動部品も転換点だろう。
東芝問題にメド、シャープも含め、これからが正念場
2015年以降、不正会計から、WH減損など財務危機に瀕した東芝は、何とか上場廃止を免れ、独禁法その他で課題のあったメモリ部門もカーブアウトできた。売る必要はないとの意見も多かったが、経営重心が異なるため、本体にとっても、メモリ側にとっても、当然だ。
不正会計や、財務危機が無くても、そういう方向性であった。ちょうど、売却してから(まだ持ち分は40%あるが)、NAND市況悪化は運命的だ。今回11月に発表されたNEXTプランは株主還元やコーポレートガバナンスは評価するが、業績数値は厳しく、これからが、本体も来年IPOというメモリ社も正念場だろう。
シャープも、予想通り、鴻海傘下で見事に回復、OP1000億円近くはなったが、問題はこれからだ。頼みの鴻海も厳しく、コストカットでなく、成長であり、イノベーションだ。
前向きの上場廃止
再編では、これまでは、上場廃止というと、後ろ向きの場合が多かったが、成長に向けた経営重心的視点でのポートフォリオ見直し、前向きの上場廃止も目立った。
日立国際は、最高益更新の中で、半導体製造装置部門とインフラ部門を切り分け、前者はおそらく、装置会社と統合、後者も、連携を目指すだろう。
日清紡HD傘下の日本無線と新日本無線も、上場廃止、多少、事情は異なるが、前者は、業績不振の中で、HDが目指すADASの成長を取り込み、後者は、HDが買収したリコー電子デバイスとのシナジー効果による成長を目指す。
アルプス電気によるアルパイン完全統合もついに実行だが、同様のトレンドだろう。
CASEトレンドで、キャリア化するクルマ産業、これからのクルマはスマホ端末
クルマでは、CASEが大きなトレンドだが、トヨタがソフトバンクと提携、先手を打った。また、トヨタ系のTIER1でも連携、ケーレツ再編に動いている。今後、クルマ産業は、キャリア化するだろう。これは、必然的にリカーリング型になる。企業が巨大化すれば、キャリア化は必然である。
出所:筆者
これは、NTTドコモなど、通信キャリアをイメージすれば分かり易い。徐々に、ユーザーは、通信端末同様、クルマ(モビリティ端末)を、キャリアの影響で、買換えさせ、あるいはレンタルするようになる。
コネクテッド化や自動運転になれば、データや損害保険もより重要になる。そこでは、ハードの車種はどこであっても、どのキャリアに加入しているかが重要であり、ハードの魅力に加え、5Gを使ったアプリ、総合的な自動運転の使いやすさや安全性、電池などエネルギーの充電インフラ、データセンター等が整っているなどの使い勝手が鍵になる。そういう全体を理解し、クルマを提供するだけでなく、NWや電池補充等インフラを整備できるのは巨大なキャリアだ。
トヨタは、まさに、そうした技術力も、資金力も備えている。トヨタ自身のクルマも提供するが、連携先の国内クルマメーカーや、中国のEVメーカーのOEMもありえよう。ハードの品質の不安も、インフラ側で補完できる。場合によっては、トヨタ・キャリア会社の傘下に、クルマメーカーや、パナソニック等も入る場合もあるだろう。
こうしたキャリアには、グーグルやアマゾン、ソフトバンク、電力会社なども可能性はあろう。この場合は、クルマハードは、他から仕入れることになる。トヨタは既に、レンタル業もあり、既に、実態はキャリア的だろうが、その色を強めることになろう。その中で、ソフトバンクとの提携や、ケーレツの再編が注目されるが、ルノー、日産、三菱自のグループや、ホンダなどは焦っていることだろう。
今回は、最も巨大で成長市場のクルマだが、同様の業界超再編は、ヘルスケアや、工場に自動化やサプライチェーンなどでも加速化するだろう。
出所:筆者
トップ交替とカリスマオーナー達の旅立ち
2018年は、創業50周年、60周年、100周年などが多いこともあり、トップ交替が集中、業績好調な中で、三菱電機、ソニー、TDK、ローム、日本電産、新トップが誕生した。
今後、ゴーン問題も含め、指名委員会や報酬委員会は一層厳しくなろうが、彼らの目利き力が重要になるが、その際、社外役員の資質も含め、日本の人材の質と量が課題だろう。
また、悲しいことだが、実際にお会いして、話を伺い、親交もあった多くのカリスマ経営者が逝った。戦後のエレクトロニクス業界だけでなく、高度成長を牽引した方々だ。
ロケットササキで有名な電卓のシャープの佐々木正さん、同様の電卓戦争を戦ったカシオに樫尾和雄前会長、ソフトバンクの孫さん等の先輩格でもあり、PC周辺業界でメルコ創業者の牧誠前会長、ノーベル賞に貢献した浜松ホトニクスの昼馬輝夫前会長、業種は異なるがハイテク産業に理解があったユニ・チャーム創業者の高原慶一朗氏、この他、オーナー系ではないが、三菱電機の北岡元社長にもお世話になった。これ以外にも、多くの戦後のエレクトロニクス業界を支えた方達が、去っていく。心より、ご冥福を祈りたい。
こうした戦後を牽引し、最強時代のエレクトロニクス業界を知る成功体験のあるトップが去り、ゼロ成長ばかりの時代を生きてきたトップが、指名委員会で選ばれていく。
コーポレートガバナンスは、簡単にいえば、正しくカネを儲け、儲けたカネを正しく配分することだ。後者については、ガバナンス的には正しくなっていくだろうが、問題は前者だろう。
ポスト平成時代を読む前に、2019年について、記したい。これは、ある程度、現在の延長線上にあり、決まっているイベントもあるからだ。
まず、市況は、メモリはじめ、低迷、底打ちを模索するだろう。半導体設備投資も前半は期待できない。東京オリパラや、消費税前の駆け込みが、プラスだが、激しさを増し、長期化しそうな米中摩擦、欧州不安や、金利上昇で、金融は、新興国中心に不安定だ。企業では、原子力に関する日立の決断や、鴻海シャープ関係だろう。
このため、2019年度業績は減益、そして、2020年度は、オリパラ反動や、消費税上げ、そして、新政権で、金融政策が大きく変化があれな、昭和から平成への動き同様に、大きく調整しよう。まさに、アベノミクスバブル崩壊が起こる可能性がある。この中で、世界的にも空前のM&Aブームの反動で、ノレンの減損などが相次ぐ可能性もある。
ポスト平成時代を読む
ポスト平成時代を読む前に、まず、平成時代を振り返る。そこで、参考になるのは、1991年に当時、経済企画庁による技術予測である。慎重すぎて、下に外したものもあれば、楽観的だったり、国策に忖度して大きく外したものもある。
慎重過ぎたのは、移動通信や一部のデバイスだ。平成時代に、テクノロジー面で、大きく経済成長に貢献したのは、移動通信、ナビゲーション、電池、NAND、液晶だろう。ウィンテル関係のハードであるCPUとソフトではウィンドウズのOSだ。まさに、ウィンテルがプラットフォーマーであり、それを可能にしたルールが、ノイマン型コンピューターと、ムーアの法則だった。また、光ファイバーやインターネットの発展も大きかった。 この中で、業界構造や経営学的には、ハード、ソフトの分離、垂直統合から水平分業、それを支えたのは、ムーアの法則通りのデバイスの発達で、量産効果で価格弾性が効いた。ソフト分野では、標準化でスケール、外部ネットワーク効果が大きかった。
大きく外したには、過去もそうだが、エネルギー関係で、原発、核融合、燃料電池など発電分野だ。機械分野は、クルマも飛行機もそれほど大きい飛躍はない。国家プロジェクトや国策があるものは、要注意だ。
ポスト平成時代は2050年まで
新しい時代は、とりあえず、2050年まで考慮すれば、十分だろう。筆者は皇太子と同学年だが、2050年には、90近く、平成天皇の年齢に近くなる。
予測をする際に、ある程度の計画が決まっていたり、ロードマップや技術開発目標がある場合も多い2025年までと、中期予想も多い2035年まで、そして、全く予想がつかない、いわばSFの世界の2050年までの三段階で示す。ただ、「大数の法則」にも似て、近未来は、ノイズも大きく、むしろ外れ、長期のSF的な予測の方が、トレンドが正しい場合も多い(報知新聞の1901年1月の20世紀の予測)。
中期の予測で、比較的当たるのは人口予測、それに基づく各国のGDPなどだ。これをベースに、中長期で、決まっている計画や、比較的蓋然性が高そうな予測を割振りし、現在のトレンドを延長して、整合性をとる。この際に、参考にするのが、過去の各種予想であり、その当否を分析して、今の予想の背景にある構造を分析していく。その上で、起こりうる構造変化を予想する。
そうして作成したのが、この長期カレンダーだ。類似のものも多いが、重要なのは、分野が異なっていても、それらは、同じタイミングであれば、相互に関係し、影響しあうことを忘れてはならない。また、業界構造変化などは、オリジナルなものであり、この30年以上の予測分析ノウハウが背景にある。
2050年までの6つのトレンド
この中で、重要な長期トレンドを上げたい。
第一は、少子高齢化だけは必ず来る。その中で、老人の生産性向上(ボケ防止も含め)を、ロボットやAIがどう貢献するかが鍵だ。幸い、記憶が抜群でコジカルなAIは、最適だ。これが、人生100年時代も含め、新市場になる。需要面だけでなく、労働という供給面でも、彼らの活躍は大きい。これに、大学、専門職大学院や専門職大学など、学校教育改革も関連してくる。ここで、日本が政府の規制改革も含め、新しいあり方を確立すれば、日本に次ぐ少子高齢化国家である中国市場も期待できよう。
第二は、少子高齢化にも絡むが、ヘルスケアが成長市場であることは既に疑いがない。これに、多様な五感や、それを超えたセンサとデータにより価値を如何に提供するかだろう。この30年間は、エレクトロニクスは、1960年からの30年の半導体やコンピュータのイノベーションを活用はしたが、全く異なる、サイエンス的な意味においても、大きなイノベーションは少なかったかもしれない。しかし、バイオやヘルスケアの分野は、サイエンスレベルでの発展が大きかった。日本では、1970年代までは、理工系ブームで、最優秀層が、多かったが、その後は、医学部ブームであった。この貢献を期待したい。
第三は、エレクトロニクスを牽引してきたノイマンアーキテクチャーとムーア則の限界である。その中で、バイオ系などとの融合が期待できよう。これは、シンギュラリティや熱限界にも関係する。
第四は、既に起こっているが、業界を超えた融合である。今は、ADASやIoTなどだが、ヘルスケアや、工場自動化、サプライチェーンにも広がろう。その中で、企業は、一層、業界の差が消え、また、ファンドとの差異もなくなろう。いわば、財閥化であり、ソフトバンクは、その典型だ。
第五は、そこでは、当然ながら、イノベーションのあり方も、オープンイノベーションが進み、コーポレートラボは、M&Aやベンチャー投資の目利き力が最重要課題となろう。これは、今のアップル等では、当然だ。
そこでは、新めて。R&D費用の正確な認識と業界での統一、投資家との共有が不可欠だ。筆者は、2018年4月に、ROE、成長率g、R&D費、割引率rの関係について、恒等式命題を考案、提案した。
(1+R&D)(1+割引率)=λ(1+成長率)(1+ROE)・・・若林のR&Dと割引率に関する恒等式案
ここで、左辺はイノベーションに対するリスクテイクの度合、右辺は、利益拡大の目標を示し、λは通常は1、リスクテイクと目指すイノベーションの成果のバランス、効率性により1前後で変わる。
この4つの変数の関係に戻ると、ROEと成長率は、利益の源泉であり、他方、R&Dや割引率は、イノベーションを起すための、必要なリソース配分やリスクの取り方に関係する。いわば、R&Dは、イノベーションのためのリスク費用、割引率は、その最低水準のリスクともいえよう。
第六は、こうした。業界構造の変化、イノベーションの認識の変化の中で、経営学や経営の常識も根本的に変わるだろう。過去のP/Lから、一層、B/S、CF重視になろう。その中では、ROEでもいいし、アマゾンのように、CCC改善でもいいだろう。要は、何であれ、キャッシュを生みだせばいいし、それが先行投資や、ステークホルダー還元等に使えればよいのである。
ファーウェイCFOで創業者の娘である孟氏が、イランへの不正輸出の疑いで、12月1日、「米中摩擦休戦」報道でほっとした日に、米の要請で、カナダで逮捕されたことが世界に激震を起している。
日経新聞によると、同氏は、2016年頃からHSBC口座を介し、米が制裁対象のイランに不正輸出をしていたという。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38657460X01C18A2000000/
NDAA2019とNDAA2020
また、日経は、8月に成立したNDAA2019を使い、米政府が取引禁止など制裁に踏み切る可能性を示唆している。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38651580W8A201C1MM8000/?n_cid=SPTMG022 これは、超党派の賛成で上下両院可決の「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」、ファーウェイ、ZTE、ハイクビジョン(監視カメラ大手)、ダーファ・テクノロジー、ハイテラの5社を対象に、安全保障上リスクありと警戒を強め、5社への締め付けを大幅に強化する条項。
第一段階は、2019年8月13日以降、政府機関や米軍、政府所有企業は、サーバーなど5社の製品や部品を組み込んだ他社製品を調達することを禁ずる。
さらに、20年8月13日以降に導入する第2段階の規制(NDAA2020)では、5社の製品や部品を使っているだけで、アウトというもの。まさに、ウィルスに汚染されたら、一切ダメという感じだ。
広がる忖度
これに呼応して、ファーウェイとは特定していないが、日本政府も、通信機器などITインフラ調達に関し、コストだけでなく、安全保障を優先と発表、英でも、BTがファーウェイを排除の模様。
なお、既に、NDAA2019成立直後の8月末には、オーストラリア政府が、5Gネットワークに関し、ファーウェイとZTEを排除と発表、欧州や東南アジア諸国にまで広がる可能性があろう。
なお、ファーウェイとZTEは、中国ハイテクといっても、前者はオーナー系、後者は国家系で異なる。また、ファーウェイは、チップをハイシリコンで内製「キリンチップ」)している。ファーウェイが中国に軍事企業かどうかは、不明だ。オーナーや内部に詳しい方は、違うといい、米関係者や、関連企業は、そういう認識だが、もとは、シスコが焚き付けたという話もある。
今回の件で、メリットが大きいのは、エリクソン、アルカテル等(日本のNEC、富士通、OKI、日立国際など)だ。
ただ、意図は別にして、ファーウェイの基地局などインフラを導入し、端末も買えば、当然、国家の機密も個人の秘密も、見ようとすれば、見えるし、攪乱も可能です。それが、4Gまでなら、通信だけ、スマホだけだが、5Gになれば、クルマや、IoTで社会インフラ全部になり、一層脅威は高い。
台湾の報道では、ファーウェイがコアサプライチェーンとして公表した米国系33社、中国系27社、日系と台湾系それぞれ11社に影響があると報道、TSMCなど台湾メーカーも痛手としている。鴻海のテリーゴー会長は、5-10年の影響だとしている。
米中ハイテク新冷戦
これまでの米中貿易戦争は、トランプ政権の人気取りなどの論点が主だったが、ここにきて、その背景にある真因は、ハイテク覇権であることが明らかになった。
そのハイテク覇権を守るため、米の必殺技は、①米「危険」国家への不正輸出(かつての東芝ココム事件、今回はこれ)、②知財(かつてのIBMスパイ事件、最近では、中国のJHICC)、③為替操作(プラザ合意)、④関税(過去の繊維など)やダンピング、⑤不正金融や資金洗浄、などの戦術があり、特に、80年代は、①から③の3点セットで日本がやられたから、中国も同じように、やれると思ったのだろう。
さらに、当時はなかったが、⑥投資規制のCFIUSや今回の⑦NDAA2019もあり、非常に強力である。内容は異なるが、かつてのスーパー301を思い出す。
日本では、特捜の、有報虚偽記載(ゴーン)や、外為法(田中角栄)などがあるが、それ以上だ。目的は同様で、米から危険視されている企業は、余計、気をつける必要があり、形式犯でやられる。また、孟氏も迂闊だったのだろうか。日本企業が標的にされるリスクもある。
こうした米の警戒感は、5G本格化離陸を前に、中国2025に象徴されるChina Challengeが、刺激になっている(習近平も「中国製造2025」とか言わずに、静かにやっていればと思うが)。
当然、中国も、こうした米の政策について、かつての日本の衰退も含め、研究はしており、より、強かだろう。やはり、かえって、内製しかない、自国経済で閉じるしかない等と思って、中期で内製力を高めるだろう。
これは、法とサイバーと金融を武器にした、新たな冷戦の始まりかもしれない。世界が二極化するかもしれない。
なお、10月4日、米国のシンクタンク、ハドソン研究所にてペンス副大統領が50分にわたり対中国政策についての演説を行っているが、これは、いわば、太平洋戦争のハルノートに相当、逮捕日が、12月7日(米時間、日本は12月8日の少し前というのは微妙だ。https://www.newshonyaku.com/usa/20181009
また、この数年、米政府は、「The China Challenge」を警戒している。https://www.nitrd.gov/pcast/index.aspx
去る11月20日15時にGSユアサの決算説明会があり、参加した。今回は、決算関係だけで、技術的なトピックスは無かった。プレゼンは、村尾社長で質疑も対応。なお、短信は、通常の営業利益、プレゼン資料では、ノレン償却前の営業利益であり、やや紛らわしい。
業績好調
業績は、上期の売上2100→1954億円、OP60→70億円、ノレン前OP73→82億円、NP30→35億円、売上は下ブレたが、過去最高、OPは、鉛価格下ブレが効いた。費用減効果もあったが、期ズレで、通期では、イーブン。
2018年度通期は、売上4500→4000億円、OP220→230億円、ノレン前OP245→255億円、NP130→140億円。売上減は、自動車海外が鉛価格連動で売価下落と中国自動車販売減、OPでは、国内自動車に鉛価格減。鉛価格建値は、現在、30万円/tだが、前提の34万円/t(LME2500ドル)は不変。
セグメント別では、国内は、ISS(アイドリングストップ)車用の鉛電池が高水準、補修向けもミックス改善、更にEN(欧州統一規格)採用も増加。前期より、パナソニックの鉛蓄電譲渡の影響を織り込んだが、今期は、シナジー効果もあり、利益率改善。
海外では、中国、タイ、インドネシアはフル連結だが、トルコやインドが持ち分法適用であり、注意を要する。自動車用鉛蓄電池は、中国は増加だがアセアン減、オートバイは、タイ、インドネシアは増加だが、中国ベトナムで減。中国では、排ガス規制で、ISS(EFB:ISSで液式)が急増、天津工場のキャパを400万個/年から、2021年度600万個/年へ。オートバイでは、インドの工場のキャパを240万個/年から、2021年度700万個/年へ。
産業用電源は、フォークリフトは好調維持、国内では2006年からのオフロード法、欧州も排ガス規制で約80%がバッテリー式となり、需要期待。他方、バックアップ用電源は減、現在、クルマなら、4.5万台分のLIBで、好調という風力発電用蓄電池はリスク。
なお、特機事業は6月に、マクセル社に譲渡。規模は30億円程度。特機というと、防衛向けと思われるが、そうではなく、小型リチウムイオン電池用充電器、ACアダプタ、酸素センサ、水素ガス発生装置、溶存酸素濃度測定モニタ・センサ、電動工具、リチウムイオン電池パック(主に工具用途)、充電器など。
マクセルは、ドローン用など強化。電池でも、経営重心的に右上の軽いのはマクセル、GSユアサは、産機やクルマ、インフラ等、下側だ。
車載リチウムイオン電池は再び、上期で赤字。通期の黒字は目指す。LEJは好調だが、ブルーエナジーが苦戦。工場の稼働は、LEJで欧州向け80%、BEは80→70%と低下。
完成形で実績を出すフェーズ
GSユアサは、2004年に、旧GS(日本電池)と、ユアサ(YUASA)が対等合併して、14年を経過、それまでは、鉛電池が中心だったが、クルマ向け中心に、リチウムイオン電池を強化、三菱商事や三菱自工とLEJを、ホンダとブルーエナジーを設立、苦労したが、ようやく黒字基調になった。また、パナソニックからも、鉛電池の譲渡を受け、今回は「電池」のマクセルに、特機事業を渡す。環境規制も追い風であり、中国やハンガリー等、海外に工場も増やし、ポートフォリオは固まって、攻めるフェーズのようだ。
これまでは、保守的な観点から、企業経営者は、自己資本比率は高いほどよく、最低限の銀行との付き合いを除けば、無借金がいいとされる場合もあった。ただ、無借金といっても、通常は、売掛に相当する買入債務もあり、1ヶ月程度とすると、自己資本比率は90%程度が限界だろう。
ROEだけでなく、最適な自己資本比率はコーポレートガバナンスの重要な論点
しかし、ROEを上げるためには、計算上では、自己資本比率は低いほどよい。これが、高ROEありき、では、本末転倒だが、よく考えてみると、コーポレートガバナンスの観点からは、企業にとって、最適な自己資本比率とはどの位がいいか、という議論になる。企業が成長する自信があれば、どんどん資金調達をして、成長投資をすればいいが、自信がなければ、自社株買いで投資家に還元すればよいのだ。
正しいガバナンスとは、正しく金儲けをし、正しく儲けたカネを配分することだ。概して、前者の議論は多く、企業側にも認識されているが、後者の議論がまだ少ない。
事業特性で最適な自己資本比率が異なる
自己資本比率は、そうした成長余力と、事業の種類、とりわけ、リスクや競争環境などによって、最適な比率が異なるだろう。そこで、ここでは、その考え方をまず示したい。
国内中心のかつての電電公社や電力向け中心の業界では、自己資本比率は高い必要はなかった。受注のサイクルはあるが、長期で安定しており、債権回収もリスクが少なく、現預金に近い。設備投資も、これまでは、減損のリスクは少なかった。為替変動もない。通常、総資産回転率は、0.5〜1.5位が多いので、1と置くと、ROS5%程度のインフラ事業は、不景気で赤字といっても、数%であり、ゆえに、総資産に対しても、数%であり、自己資本比率が20%もあれば、十分だ。
しかし、海外インフラ事業を行う場合は、減損などの影響が大きい。特に、M&Aが多い場合は注意する必要がある。ノレンは、日本では償却してきたが、米では、減損テストにより行うので、ノレンが積み上がり安く、長期の事業では、1%の変動が大きくなる。20年ならば、1%が20%になり、固定資産が50%もあれば、数10%が影響する。
これは、長期のインフラ事業では要注意だ。それゆえ、自己資本比率は、50%以上だろう。少なくとも、ノレンや無形固定資産以上の自己資本があった方がいいだろう。
デバイス等、国際競争や技術革新も激しい事業では、設備投資型で、減損リスクもある上、急激な値下がりにより、在庫損や為替リスクもあるため、十分な資本を積む必要がある。海外メーカーの例からも、概ね70%以上は必要だろう。
デバイス事業は、先行投資負担が大きい上、価格変動も大きいので、ROSはプラスマイナス50%もありえる。赤字の場合は、数10%であり、自己資本比率は、50%では心もとないだろう。
実態の自己資本とは
現在のB/Sは、欧米流のステイクホルダーの考えから成り立っている。そこでは、従業員や銀行、取引先は、あくまで他人の割り切った関係だ。
しかし、日本では、メインバンクの存在は、借金を返して終わり、というのではなく、むしろ長期株主的だ。それゆえ、借入金は自己資本に近く、実質、株主的な発言もするし、DESにも応じる。日本の銀行の概念と、米での商業銀行の概念は異なる。
社員も同様だ。海外と異なり、従業員の給与が時価でなく、年功序列終身雇用の中で、40歳までは、従業員がいわば、会社に貸し、50歳以降は、借りを返す形であり、さらに、企業年金もある。これらは、実態は、株主に近い。これは、労働者の流動性が高く、報酬が時価で支払われる米とは異なる。
取引先、下請けも、同様だろう。日本では、会計上はワンイヤールールだが、実際は、長期の中で、貸し借りを返していく関係である。そうした実態を無視して、形式的に、B/Sを考えて、自己資本比率を議論しても仕方がない面はある。
こうした議論が、実態の会計、ガバナンスの一層の向上になれば幸いである。
https://www.circle-cross.com/2017/01/29/2017年1月28日-メインバンクとは何か-株主とは-長期-投資家とは何か/
去る11月7日13時半からの説明会参加後、第一印象を記した。https://www.circle-cross.com/2018/11/08/東芝のnextプラン発表会の第一印象-リストラ対象事業や社員-売却されたメディカル-メモリなどの社員は泣いていないか/
その後のHP視聴による再確認、11月9日のスモールミーティングでのフォローアップを踏まえ、NEXTプランについて考えたい。
今回の中計で、説明を期待されていたことは、①新しい東芝の理念を提示するか、②これまでコアあるいは、成長期待事業だったメモリ、原子力、メディカル、PC等を外に出した後、何が新しいコアであるか、すなわち、どういう事業ポートフォリオとするのか、③このポートフォリオで、いかなる業績を達成するのか、そのため、いかなる戦略をとり、R&D投資やCAPEXはどうか、④目指すべきKPIと、リスクと、B/Sなど財務水準はどうか、であろう。
サイバー・フィジカルの融合で世界有数を目指す
東芝の役割、目指すべき姿を、世界有数のサイバー・フィジカル・システム・テクノロジー企業としたのは、正しいだろう。サイバーだけでは、既に、GAFAがおり、キャッチアップは難しい上、IT×IT、あるいは、デジタル×デジタル、では、コストは下がるが売上は増えないIT企業の二の舞だ。日本あるいは、総合電機たる東芝の強みを生かす意味で、サイバー×フィジカルだし、これが、IoTという視点でも、今後の成長市場だろう。
他方で、東芝グループの起源が、2人の創業者のベンチャースピリットを甦らせる、というのは、やや違和感がある。これが、マツダのランプ、モーターの芝浦であり、E&Eの東芝、また、それが2コアとなったが、東京電気と芝浦製作所が、なぜ、一緒になったか、を共有すべきだろう。
さらに、皮肉は、東京芝浦電気となってから生まれたイノベーションが7つあるが、その中で、白物家電、ワープロ、PC、NANDフラッシュ、320列CTスキャナー、という5つについて、その事業が、今は、売却されたか、無くなっているといういとだ。
DNA再認識という場合に、いきなり、「サイバー・フィジカル」ではなく、どうして、二社が統合したのか、革新事業が継続しなかったのか、について、現場従業員と議論し共有すべきだろう。
経営重心的にも、正しいポートフォリオ
東芝問題(不正会計、財務危機等)の真因は、ポートフォリオ問題だと「経済教室」に書いたが、それは、2000年以降のポートフォリオが、経営重心から見て、短サイクル・大ボリュームのメモリと、長サイクル・小ボリュームという、事業特性、リスク特性の全く異なる2コアに、「選択と集中」をしてしまい、最も美味しいジャパンストライク・ゾーンが手薄のなったことだ。結果的に、メモリを出し、原子力(WHと英国ニュージェン)やLNGなどエネルギーから撤収したことは正しい。特に、今回、コストはかかったが、LNG売却は勇気ある判断だ。ただ、なお、火力等のリスクはあろう。他方、メディカルや白物家電は、ジャパンストライク・ゾーンの中にあり、IoT、あるいは、サイバー・フィジカルへの展開があり、惜しい。いずれにせよ、90年代に飛躍した、PCやNAND、メディカル、等は、もうポートフォリオにはなく、80年代前半の姿に戻った。当時は、情報処理制御本部を中心に、I作戦という、おそらく、今でいえば、IoTやビッグデータ、サイバー・フィジカルだった方向性を目指していた。それゆえ、ある意味、先祖帰りであり、現状は、ほぼ、ジャパンストライク・ゾーンの中に、ポートフォリオはあり、これで、現状実態のOP1000億円は、それほど悪くはないし、これまで、メモリや原子力に偏っていたR&Dを振り向けば、成長は可能であり、国内に強力な顧客基盤を持つことから、OP1500億円程度は視野だ。
業績目標はやや甘い
このポートフォリオから、調達改革、リストラ、DX、モジュール化で、オーガニックに、成長を目指すというのは正しいだろう。M&Aによらない、のも、当面、バリエーションから高すぎるというのも、見識だ。
ただ、それで、2023年度の売上4兆円、OP8%以上で10%目指す、というのは、OP3200〜4000億円であり、かなり違和感がある。しかも、その内容が、再生エネルギー、パワーデバイス、電池というのは、これまでも、紹介されており、事業拡大が遅れており、物足りない。
なぜ、これまで期待させながら、ダメだったのかについて言及すべきだろう。また、サイバー・フィジカルも、内外で、多くの企業が手掛けており、ライバルとのベンチマーク分析が貧弱だった。
目標としては、2019年度の売上3.4兆円、OP1400億円はいけるが、2021年度の売上3.7兆円、OP2400億円は、そうとうマクロ景気が良くなければ、困難だろう。
現状のポートフォリオで、いくならば、シーメンスのように、バリューチェーンに沿った強化を、それこそ、M&Aもあえて否定せず、行うべきだろう。
企業価値拡大=TSR拡大を適度なB/Sとリスクを考慮
今回、最も注目すべき点は、目指すべきKPIに、よくあるROEなどでなく、TSR(Total Shareholder Return)としたことだろう。ある意味、直截的だが、明快である。
ROEは、普通の株主から見て、意義がわかりにくく、従業員から見ても、馴染みがない上、株主資本比率や自己資本比率をどうするかという議論もある。よくある8%以上などの議論も、統計的に、ROE8%を境にPBRが急上昇するということが背景にあり、多くの経営者が資本コストを意識していない。企業の成長も、収益性やCF改善も、要は株主にとっては、TSR向上のための手段でしかない。
メモリ社の売却で、9月末の現預金1.9兆円(純現金1.44兆円)、株主資本は1.9兆円強(40%)、純資産2.1兆円強、ここから、算出される分配可能額を1.17兆円強とし、諸費用を鑑み、株主還元のための自己株式の取得規模を7000億円と算定、2018年11月9日〜1年かけ、自社株買い。また、20円配当を実施、5年間の平均配当性向30%とする。
この結果、2018年度末の株主資本は1.03兆円(27%)、純現金は4300億円に低下する。これは、これまでの一般的な実業界の常識である「自己資本比率は安全性や保守性から高いほどよい」等と全く異なる。
また、つい最近まで債務超過の危機にあった企業とは思えないようにも思われるだろう。あるいは、そんな株主還元に使うカネがあれば、R&DやCAPEX、M&Aに使うというのが一般的だろう。
画期的な判断
しかし、東芝は、無駄に株主資本比率を高くせず、現在の国内中心の社会インフラ向けが多い事業中心のポートフォリオでは、株主資本比率が30%前後で十分と判断、また、バリエーションからM&Aは割高、必要以上にR&DやCAPEXに使っても、固定費が増えるだけで、費用対効果が薄く、それなら、株主に報いるべきだと判断したのだろう。これは、極めて画期的な判断である。
すなわち、多くの企業がROE目標は示しても、あるべき株主資本比率、自己資本比率、D/Eレシオなど、B/Sの姿に対して、ビジョンが無かったが、東芝はそれを示したのだ。もちろん、かつての師匠であり、現在は落日のGEのように、M&Aのやり過ぎでノレン合計6兆円に対し、株主資本3兆円は論外だが、闇雲に、株主資本比率が上がるのも問題なのである。
もちろん、NAND価格暴落で、TMC社の持分4000億円強は、減損や評価損もあり、中長期のリスクがある火力や鉄道もあり、そこは十分な財務基盤が必要だ。ただ、主として国内であり、さらに、交通システム全体をやろうという日立とは異なる。さらに、IFRS対応もあろう。
関連して、執行役報酬制度の明確化、様々な評価基準を入れ、概ね、業績連動分を50%強にしたのも、正しいだろう。また、内部統制も、2線、3線と強化した。ただ、あまり、ガチガチにすると、却ってイノベーションを阻害する。正しいポートフォリオと、適切でシンプルな評価基準があれば、不正会計も減る筈だ。
残された問題
今回、開示が足りなかったのは、中期の割引率のイメージやレンジだ。これまで、6〜10%前後と説明はあったが、10%近いのは、メモリや原子力であり、大きく、数値は変わった筈だ。当然、割引率が低下すれば、B/Sのあるべき姿も異なってくる。さらに、セグメント別のB/Sのあるべきイメージや、割引率の開示も欲しい。
こうした割引率の開示が無ければ、中長期のリスクを会社側と、投資家側が共有できない。こうしたリスク度合いの共有があって、初めて、長期投資が可能になるからだ。
東芝問題は、近因は不正会計を許したガバナンス、真因はポートフォリオ、遠因は企業文化だと、日経新聞経済教室にも書いた。今回、ガバナンスは十二分、ポートフォリオも改善、あとは企業文化だ。これについては、総括されず、まだ闇も残っている。ただ、企業文化は是非の問題でなく、常に、光と影の両面がある。無理に企業文化を変えても、却って良さも無くす。あまり、業績目標で無理をせず、かつてのイノベーティブな会社に戻ってほしいというのが願いだ。
11月14日15時からの説明会に参加、質問もした。ハイテク景況感変化の中で受注一服、他方、先週のイノテックとの提携もあり、期待と不安が入交じり、参加者多数。プレゼンは、いつも通り、杉本社長。
業績
上期業績は、受注233億円(1Q149億円、2Q84億円)、売上381億円、GP125億円、OP84億円、NP58億円、は想定通り、OP上ブレ。受注は4Qをピークに、減少中だが、前期の反動。なお、2QのOPは、1Qに比べ大きく改善だが、ミックスが良かった。受注は2Qが底で、今後、回復のようだ。B/Sは仕掛、前受金などが大きく増加、FCFはマイナスながら、やや改善。CCCなど工夫は欲しい。
通期は、売上820→770億円は下方修正だが、OP165億円、NP100億円は不変。売上50億円の下ブレ内容は、半分がユーザーの資金面で工場建設遅れ、納品延期、あと半分はマスク新製品開発遅れ、
ディスプレイ需要予測に変化はなく、面積ベースで年率4-5%増が続く、2018〜2020年は、投資も480〜500億ドルと高水準で横這い、OLEDとLCDの割合も大きくは変わらない。
トピックス
今回は、OLED(ディスプレイ、照明)、半導体関連、フレキシブルμLED、フォトマスク描画、局所レーザーアニールについて、紹介。半導体関連、フレキシブルμLEDは初めてであり、注目。
Vテクは、中期で、ディスプレイ1000億円、半導体1000億円を考えており、今回の半導体でのZ-CSET社設立、イノテックとの提携は、その布石として、注目される。
https://www.circle-cross.com/2018/11/10/イノテック2q決算説明会-vテクと半導体テスターで提携発表/
OLEDは縦型蒸着、FHMに加え、Demuraサルベージサービス
OLEDについては、技術のロードマップと市場シェアが提示。
11月12日15時半〜の2Q決算説明会に参加、質問もした。前半は、鈴木社長による業績説明、後半は、久しぶりに、トピックスであり、上席執行役員の新関氏より、電装事業に関して、「インドの市場展望と当社の事業取組み」であり、貴重な内容であった。質疑は、両氏の他、出席の根岸専務、田中常務、受川氏などから対応。なお、HPを刷新。https://www.shindengen.co.jp/
業績は微妙
上期は売上470→466億円、OP29億円、NP24→23億円と想定線。当社はデバイスの2/3がクルマ産機であり、パワーデバイス市況など業界好調、円安ドル高の中では物足りない。
これは、アジア通貨安が効き、y/y、マイナス6億円分、また、ウェハー等材料費高騰も数億円、であり、納得。ウェハーに関しては、4φ、5φが多く、北海道地震の影響もあったようだ。これまでは、国内調達だったが、海外も質を考慮しながら検討するようだ。値上げ幅は20-30%もある模様で、品質を考慮しながら、長期契約を交渉中、数量確保へ。
なお、車載MOSFETのLFパッケージ量産、チャデモ認証の新型EV急速充電器の開発完了で、下期量産開始。
通期は、売上967億円、OP58億円、NP48億円、のままだが、セグメント別では、デバイスが、産機の不透明感や原材料コストで、売上363→349億円、OP45→32億円と下方修正、電装は、インドネシア、ベトナム好調で、売上500→521億円、OP60→74億円と上方修正。CAPEX84→74億円、DEP62→56億円、R&D58→54億円と柔軟に対応。
課題の新エネルギー事業は、その他セグメントだが、上期は赤字であり、ほぼ全数、下期は黒字を目指す。キャリアへの通信料金値下げ影響や、5Gでは、それほど、基地局市場が大きくない可能性もあり、要注意のようだ。
インド市場と電装品
11月9日16時半から開催の決算テレコンに参加、ただし、質疑の前まで。所用があったことと、ケータイで参加したため、途中、電波の原因で、切れたため。プレゼンは、増山経営企画本部長。
業績上方修正
2Q業績は、売上740億円、OP87億円、NP53億円。売上では、エルナーがフル連結の分、36億円の上方修正、OPは17億円上ブレ、他方、特損21億円計上、韓国の子会社でのリストラ費用計上。
通期は、売上2600→2710億円、OP245→300億円、NP170→210億円。下期の為替前提は、105→110円/$、また、エルナー分は、下期には反映されず。このため、通期売上の上方修正は、エルナーの2Q分40億円弱、コンデンサ100億円、フェライト及び応用製品等15億円、複合デバイスは45億円下方修正(通信デバイス、モジュールとも下ブレ)。OP面では、エルナー効果無し、操業効果と円安効果40億円。
エルナー株式会社は2019年1月1日より完全子会社へ(9月28日発表)。現在、エルナーの株式の約64%を保有だが、株式交換で保有比率100%へ。仮に、エルナー分をフルに連結すれば、売上2900億円は近いが、3000億円は今一歩。来期へ持ち越しか。
コンデンサ市況
注目のコンデンサについて、MLCCは、クルマ産機向け大型品ではタイトだが、スマホ向け小型品は、タイトさは薄れてきているとの示唆。
GEは、かつては、東芝はじめ、多くの日本企業がお手本とし、経営学者や、ビジネススクールでも、優良企業のケースとして、絶賛された。ちょうど、1年前ですら、ハーバードビジネスレビュー2017年12月号で特集された。http://www.dhbr.net/ud/backnumber/5a028f1d77656124a7000000
しかし、改めて、分析してみると、予想以上に厳しい。近因は、株主への過大な還元、真因はポートフォリオ、遠因は米国会計だろう。日経新聞でも、星氏や藤田氏の記事でコメントが引用された。
電機の著名アナリストで東京理科大大学院の若林秀樹教授は「GEは投資の回収期間が長い一方、環境変化の影響を受けやすいエネルギー関連に事業が偏っていた」と指摘する。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO37709730T11C18A1TJ1000/
「事業構成を長期型に組み替えるM&Aを進めたが、高いリスクに見合う自己資本を備えていなかった」と若林秀樹・東京理科大学教授は話す。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37922680Z11C18A1DTA000/
すなわち、「GEは金融危機で重荷となったGEキャピタルを縮小する一方、仏アルストムのエネルギー事業を買収するなど製造業回帰を探った。選択と集中へM&Aを重ねた結果、のれんが積み上がり、昨年年末ののれんは839億ドル。自己資本の1.3倍に膨らみ、今回の減損により自己資本比率は10%に落ち、さらなる事業の切り売りを迫られている。減損の理由は「高収益のサービス、長期の顧客関係、ガスタービン技術」の価値の見直しだ。石炭火力への逆風など誤算も重なった。電力のような10年、20年単位の事業はリスクを見積もる前提次第で価値が揺れる。突然の巨額損失は東芝でも見た風景だ。自己資本を厚くしておく手がなかったわけではなく、金融事業の縮小過程で資金を得ていた。しかし優先したのは自社株買いと配当だ。物言う株主からの圧力もあり、自己資本利益率(ROE)を下げない狙いもあっただろう」
金融事業の位置づけが難しいが、売上12兆円で、資産は31兆円、自己資本3兆円(自己資本比率10%)、ノレン6兆円あり、これが減損すれば、既に債務超過である。https://jp.investing.com/equities/general-electric-balance-sheet
さらに、FORM10kによれば、その割引率は、9-16%に分布、しかも、長期が多く、1%変わっても、10年なら10%の変化で、巨額な減損であり、かつての東芝のWH減損を想起させる。
負債側では、PBOも多いのも、それ以上にリスクであり、金融事業の位置づけや、リースなども含め、複雑な財務である。
背景には、ノレンを償却しない、米国会計基準による砂上の楼閣の如きB/Sが問題であり、その中で、キャッシュの使い方が、日経藤田氏によれば、2005〜2017年に、M&A640億ドル、CAPEX440億ドル、株主還元1710億ドルであり、完全に、砂上の楼閣の中での財務である。
さらに、ポートフォリオの構築も違和感がある。同社のポートフォリオは、かつて、(ボスコン等のPPMなどに倣い、選択と集中を断行、2000年以降は、エネルギー、航空機、ヘルスケアにフォーカスした。
昨日のカリスマ経営者、ゴーン氏の逮捕は、流石に、驚いた。自動車産業は専門でもなく、氏とは面識もないが、印象を書く。マスコミ報道は、仕組まれたストーリーで、「堕ちたカリスマ、ガバナンス強化」という感じで伝えているが違和感もある。彼ほどの実績なら、堂々と、数十億円貰っても良かったはずだ。
少し調べて判明したことは、下記だ。
日産は、報酬委員会がない(監査役設置会社)、また、非IFRSである。
報酬は、キャッシュだけが記載、業績連動等がないのは違和感。日産株は多数保有。外資では通常、複雑な報酬スキームがあるはず。
不動産所有等が報じられているが、これは、他の会社でもフリンジベネフィットがあり、これが全部、報酬と見做されるなら、有価証券報告書記載、税務でも、産業界全体の大きな話となるだろう。
要は、有価証券虚偽記載は、東芝も同じ問題であり、近因・真因・遠因で、既視感がある。
クーデターと深い問題
2018年11月15日13時より決算説明会に参加した。半導体設備投資急ブレーキの中、株価は下落、11月9日に上期の下方修正、14日発表の決算でも通期下方修正があり、投資家アナリストの関心も高く、超満員で、席が足らない程。プレゼンは、業績や戦略は、梶本社長、トピックスは、林田氏、奥岡氏。所用があり、質疑セッションの途中で退出。下期の業績のリスクのチェック、中期での利益水準(前期の水準がどこまでバブル投資に支えられたものか)の確認が多い。
業績下方修正だが急ブレーキ対応も早い
2018年度上期業績は、売上600→605億円、OP69→30億円、NP48→23億円と下ブレ。自動機セグメントで、2QのOPが7→0億円、不具合問題、薬価改正に伴う値下げ対応で採算悪化、サービスパーツも値下げが効く。機器セグメントは、OP42→13億円、注文急増でキャパを超えて納期優先で対応したため、混乱もあり、更に注文もあるとの見込みで、人員増もあったところ、急ブレーキとなったのが痛かった。
2018年度通期は、売上1220→1160億円、OP140→67億円、NP98→48億円。機器は、ユーザーであるSPEメーカー動向から当然だが、上期の自動機は特殊要因もあり、想定外。自動機セグメントは、OP7→5億円で、環境は厳しいが、上期の不具合問題はなく、経費削減効果もある。機器セグメントは、OP87→55億円、3Qがかなり厳しいようだ。
トピックス
自動機では、薬品・食品包装は面白そうだ。また、次世代電池は、現地とのアライアンスで大きく伸びそう。機器では生産性向上、省エネ化。IOTでの複数の標準参加は評価できる。
半導体設備投資は韓国中心にメモリが急減、FPDはまずまず
CKDのIR資料から、夏以降、韓国のDRAM、NAND、台湾ファウンドリが、3Qを中心に急減したことが明らかにわかる。
去る11月7日13時半からの説明会参加後、第一印象を記した。https://www.circle-cross.com/2018/11/08/東芝のnextプラン発表会の第一印象-リストラ対象事業や社員-売却されたメディカル-メモリなどの社員は泣いていないか/
その後のHP視聴による再確認、さらに11月9日のスモールミーティングでのフォローアップを踏まえ、決算及びNEXTプランについて、内容別に紹介、論考したい。まず、今回はデバイスである。
メモリを出した後でも、半導体はディスクリートとアナログ中心に、国内最大級、ロームと同等
メモリをカーブアウト後、東芝に残ったデバイス事業は、ストレージ&デバイスのセグメントのHDD、ディスクリートやアナログ、システムLSI等の半導体である。メモリを出して、何もデバイスが無いと誤解も多いが、なお、売上4000億円、OP100億円以上と、ディスクリートやアナログでは、国内最大級。赤字ながら、システムLSIでは、クルマ向けでは、クルマ向け画像処理のViscontiはじめ、高い技術力を有する。90年代は、メモリだけでなく、世界でもトップ水準であり、ソニーとのPSのエンジン向けプロセッサなど有名であった。ディスクリートは、80年代から高収益事業であったが、2000年代後半から、過大投資や白色LEDのM&Aの失敗、三菱電機とのパワー向けのミスもあり低迷したが、ようやく、かつてのOpm10%程度に戻った。
なお、半導体の中には、子会社のニューフレアテクノロジー社(以下、NFT)が入っている。この中で、パワーデバイスは、新規成長事業、他方、システムLSIはモニター事業と位置付けられている。リチウムイオン電池もデバイスであり、新規成長市場との位置づけだが、別セグメント。
上期はHDDが弱く、通期をHDD中心に下方修正、引き続きシステムLSIが課題で下ブレ
2018年度上期は、ストレージ&デバイスは、売上4568億円、OP106億円、増収減益。内訳は、半導体が売上1764億円、OP56億円、減収減益、HDDが売上2804億円、OP50億円、増収減益。増収だが転売分が多く実態は弱い。
2018年度通期は、全体で売上8700億円、OP290億円だが、期初より、売上400億円、OP80億円の下方修正。半導体は、売上3680→3655億円、OP240→164億円と、下方修正で前期比横這いへ。HDDは、売上5045億円、OP126億円と下ブレ。
中計は、パワーデバイスが牽引
NEXTプランでは、2018年度のセグメント売上8700億円、OP290億円、EBITDA510億円、2019年度、売上8600億円、OP580億円、EBITDA820億円、2021年度には、売上9400億円、OP820億円、EBITDA1110億円。
半導体は、NFTが不明だが、2018年度、売上3655億円、OP164億円、EBITDA344億円、2019年度が売上3800億円、OP360億円、EBITDA550億円と急拡大、ディスクリートがOPM10維持、システムLSIも黒字化、OPM4-5%の模様。2021年度には、売上4200億円、OP510億円、EBITDA730億円となる。
市況が現状のままで、システムLSIがベストケースで採用された場合は可能だが、ややリスクがあろう。HDDは、増収OP倍増は、やや甘いだろう。
アナログ半導体業界再編の鍵
パワーデバイスは、全体でも、高成長分野として期待され、重電系など、シナジーもあるため、カーブアウトの可能性は小さいが、モニタリングのシステムLSIは、アナログ等が含まれる場合も、そうでない無い場合もあろうが、アナログ半導体業界再編の中で注目されよう
デバイス&ストレージ社の価値
セグメントの対象となるデバイス&ストレージ社は、資本金100億円、従業員2.2万人、昨年度の有報ベースでは、資産3142億円(セグメント別で4090億円だが、NFTを含むと思われる)、流動資産2245億円、固定資産897億円、負債2425億円(流動負債が2117億円)ゆえ、純資産が717億円となる。
システムLSI部門は車向けViscontiが鍵
システムLSI部門の赤字の背景は、車向け画像プロセッサのViscontiだが、自動運転向けにデンソー等に採用されている。http://www.toshiba-clip.com/detail/5886/2
11月12日17-18時開催のジャパンディスプレイ(JDI)の2Q決算説明会に参加した。プレゼンは、業績説明が大島CFO、今期の重点取組みが月崎社長COO、質疑は適宜、両人が対応。IR資料は製品内訳詳細等が改善。
3ヶ月遅れで、発表予定だった中計は開示無く延期へ。株価が危険水域の100円に達し、中計を見極めようという参加者も多かったようだが、やや盛り上がりに欠けた。週末終値で100円を割り込み85円は、上場後1/10となった。信用買い残も多く需給は悪い。
決算2Q赤字縮小は健闘だが在庫増
決算は2Q売上1110億円、OP赤字47億円、最終赤字78億円、売上大幅に下ブレだが、赤字は縮小。iPhone「XR」出荷が、会社側は1Q決算で問題なしと回答だったが、やはり指摘した通り、ノッチ加工やLED部品問題、関西地方の風水害もあり、10月にずれ込んだ。もとの計画では、2Qにかけては、北米や中国等向けに、フルアクティブが寄与、Q/Qで売上40〜50%増、赤字は大幅縮小との見方だったため、売上1500億円、赤字は数十億円。
売上下ブレで、赤字ながら、OP健闘は、10月以降の投入で在庫の急増(6月末61日から9月末68日)で稼働アップ、もともと、遅れた分は、購入部品も多く付加価値が少ないため。ただ、9月は単独黒字へ。
なお、10月に入り、フルアクティブ品が、ようやく出荷、10月の単月売上は1000億円を超え、OP黒字化。11月以降は、「XR」下方修正もあり、不透明。JDI側の歩留まり等は問題なし。部材のサプライチェーンも正常化らしい。
FCFは、赤字248億円は1Qと同水準(社内管理で赤字190億円はやや悪化)、買入債務が大幅増、現預金は622億円、自己資本比率は16%へ低下。
2018年度下方修正
2018年度は、売上10〜20%増→5〜10%増、Opm2-3%→Opm1-2%へ下方修正。中間値をとって、単純計算すると、売上8250→7893億円、OP206→118億円となる。下期は、売上5750億円、OP260億円、なお、かなりハードルは高いだろう。3Q売上と4Q売上構成は不明。
仮に、10-12月の売上1000億円水準が続けば、3Q売上3000億円、4Q2750億円となるが、4Qは、XRの情勢からは、厳しく、1500億円程度ではないか。OPは在庫など次第だが、むしろ、FCFも含め、B/S管理が鍵だろう。
12月末の在庫水準が不明だが、FCFは引き続き赤字が続く可能性がある。CAPEXは更に低下580→520億円だが、もう少し減りそう。DEP510→480億円へ。
やはりスマホ向けは大変だ
スマホに振られ、売上が月次で3倍に急増、また1/3になる状況は、メーカーの努力を超えている。ユーザーとの契約を見直すなど、FCFと粗利を最優先すべきだろう。会社側も、スマホ比率を下げる方向性で、VRや、ノートPC、ガラス指紋センサーを強化だが、ボリュームが違い過ぎる。
フルアクティブは素晴らしいが、XRの売れ行きは不透明であり、やはり中期では主流はOLEDだろう。また、買入部品が多すぎて、付加価値を取りづらく、FCF的にもマイナスだ。
OLED縦型蒸着
茂原で開発中の縦型蒸着は、特にコメントなし。
去る11月1日10時半から開催の決算説明会に参加、質問もした。上方修正もあり、参加者多数。プレゼンは、窪田CFOの業績説明の後、5G等の最新動向に関し、濱田社長がプレゼン。今回は、橋本会長は、前の席には座らず、後方から、他の社外役員などと共に、見守っていたようだ。
好決算
決算上期は、受注479億円、売上443億円、OP35億円、NP31億円、上ブレ。T&Mが牽引、q/q、y/yでも増収、ただ、q/qでは、5G開発費アップ等で減益。チップセットメーカーの5G開発用途離陸、ネットワークインフラの公共無線が堅調。T&Mの受注は、1Q146億円から、2Q174億円、上期の内訳は、5Gが増え、モバイル53%へ。上期で50億円程度が5G関連受注、オペレータは日本、チップセットは中国以外の模様。PQAは2Q過去最高益。
通期は売上920億円、OP66→70億円、NP50→55億円へ上方修正。
5G初期需要離陸
濱田社長によるプレゼンでは、5G向け初期需要離陸の中身、チップセット等の動向が明らかになった。公開情報から、チップセットはじめ、需要動向ロードマップや、周波数標準化動向が、サブ6GHzも含め、貴重な資料が提供された。
オペレータは、周波数の分布で、状況が判断できる。世界の主流は、NSA-NRだが、中国がSA-NRで5Gを展開するという。更に、5Gで使用される周波数帯は、ミリ波帯と6GHz未満(Sub6GHz)2種が検討、これが、どうなるかが、要注意だ。
周波数配分
なお、総務省は11月9日に、5G実用化等をにらんだ電波の活用計画をまとめた。これに対応するテスターの戦略に関しては、NAだった。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37570870Z01C18A1EA4000/
ニューフレアテクノロジー(以下、NFT)の決算説明会が11月7日に開催され、参加した。杉本社長、他、幹部、プレゼンは杉本社長、質疑はCFOとEB担当の山田氏など。参加者は多いが、質問は、やや少なく、1時間以内で終わった。
2002年に東芝機械株式会社から半導体装置事業を継承して創業、半導体製品の製造に用いられる最先端の電子ビームマスク描画装置やマスク検査装置、エピタキシャル成長装置を開発・製造、収益の中心は、EBMのシングルビーム、マルチビームのIMS社とシェアを二分。売上はほぼ横這いだが、高収益。株式市場では、高いバリュエーションで評価され、注目度も高い。
業績
2018年度上期業績は、受注は33%減の138億円、売上231億円、OP56億円、NP44億円。描画装置が期ズレ、エピ装置は堅調。受注は年間では500億円をめざす。
2018年度は、売上500億円、OP114億円、NP90億円、は不変。R&Dを93→108億円へ増額。R&Dは高水準、20%前後を維持するが、来年度は一服。市況に関し、半導体全体は減速だが、マスクは異なると強調。発注を止めたのではなく、決定を慎重にしているだけだという認識のようだ。 下期は、「9500」、「9500+」がメイン、MBMは最低一台受注、エピ成長は堅調。市場見通し不変。
11月6日10時半より開催の決算説明会に参加した。シマダヤ連結後、初の決算であり、注目され、参加者は多かったが、質問は、シマダヤに関する質問が目立った。プレゼンは、松尾副社長。
業績
上期売上は、売上550億円、OP36億円、NP28億円。PC周辺と金融の2セグメントから、IT関連、金融、食品の3セグメントとなった。ITは売上330億円、OP16億円、金融は売上11億円、OP7億円、この4月からフル連結となった食品は売上208億円、OP15億円。ITは減収減益、金融は増収増益。
通期の見通しは、不確定要素が多く非開示。ガイダンスもない。ただ、上期の状況から判断すると、売上1000億円前後、OP50〜60億円だろう。
B/Sは、660億円から、885億円に増加だが、シマダヤ子会社化が要因で100億円弱、有利子負債が45億円増加だがシマダヤの借入金が26億円、有形固定資産も工場等を持つシマダヤ分が大きい。
シマダヤ
食品は増収減益、先行投資や小麦など材料アップ。夏場の流水麺などが多いため、上期が売上では55%、利益では60%を占める。
なお、シマダヤの買収は、メルコをPC周辺機器と捉えれば、事業の距離が遠く、いくら、「森の経営」にしても、布石が飛地すぎるとの見方もあろう。エレコムが、隣地戦略でM&Aをしているのとやや対照的だ。しかし、経営重心視点からは、食品は、そう遠い事業ではない。今や、ITも食品も、身近な生活必需品だ。
また、楽天の三木谷氏が、先日の日経新聞で、自身の新規参入に関し、興味深いコメントをしている。「遠い点をつないだほうが、面積が大きくなり、近い点をつないでもあまり面積は広がらない。証券や銀行への参入は当初『バカじゃないの』と言われた。新しいサービスを始める際に、批判ではなく、どういう可能性があるのか見てほしい」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37628420Q8A111C1EA1000/
IT関連
IT関連では、上期は、NWは増収減益、ストレージは、減収増益だった。また、新規事業の進捗状況が紹介された。
M&A
森の経営、1000年企業として、強固なポートフォリオ構築を目指すが、IT関連に加え、食品や、金融の次の手(保険)や、健康関連なども期待したい。現在は、一見、飛地に見えても、5年後、10年後には、ITで横グシも入り、繋がりが増え、豊かな森になっていることだろう。
11月7日15時半より、説明会参加、質問もした。藤田社長がプレゼン、池田氏、望月氏が質疑対応。製造装置メーカーの下ブレが多い中、業績上方修正もあり、注目度が高まったせいか、会場はほぼ満員。
業績上方修正
上期業績は受注260→288億円、売上240→270億円、OP12→19.45億円、NP7.5→12.8億円と上ブレ。後工程系のメカトロ部門が、FPDのOLB、SEPのダイボンダが好調、前工程のファインも堅調。中国は落ちたが、日本とシンガポールが増えた。米中摩擦の影響は無し。なお、FCFが48億円と30億円上ブレだが、下期の出荷が上期にきて、OLB前受金が入ったため。
通期は、上期の上ブレを反映、売上530→530億円、OP27.5→32,5億円、NP18→22億円。下期だけ見れば、下方修正となるが、これは下期から上期にずれ込み、また、下期から来期に、納期数か月の大物がずれたため。
なお、同社は、通期の計画について、P/Lだけでなく、B/Sも出しており、FCFを意識していることは、大変評価できる。上期は現預金が増え売上債権が減ったが、年間では売上債権が増える。自己資本比率29%、D/Eレシオ61%、ROE13%。
市場環境と中計
連携と新規事業
11月2日、メガチップスの決算2Q説明会に初めて参加した。ただ、メガチップスとは、半導体業界の中での付き合いや、同社が買収したSiTIMEの関連で多少のお付き合いはある。SiTIME、あるいは、MEMS発振器は、2015年4月26日に紹介したが、そのフォローアップが目的だ。
https://www.circle-cross.com/2015/04/27/2015年4月26日-シリコン発振器が水晶発振器を駆逐する/
参加者は多く、質問も多い。中小型株あるいは、アミューズメント関連のサプライチェーンという位置づけで、フォローされているようだ。プレゼン、質疑共に高田社長だが、技術者出身でもあり、専門的な内容で大変面白い。他方、スライドonlyの資料が多く、フェアディスクロージャーの関連からは改善の余地があろう。
独自系のシステムLSIファブレス企業
メガチップスは、三菱電機を経て、リコーで半導体事業立上げに係った進藤氏が、1990年に日本で初めて「システムLSIのファブレスメーカー」として創業した。
業績はノレン負担が重い
上期は売上571億円、OP5.8億円、通期の売上960→1000億円、OP9億円、SiTIME等のノレンが、109億円あり、償却が27億円と重い。ノレン償却前なら、OP36億円とまあまあ。R&Dも129億円ある。
年間の売上内訳は、アミューズメント向け640億円、ASIC100億円、ASSP200億円強、このASSPの中で、SiTIME関連のタイミングデバイスが95億円ある。
SiTIME関連
11月7日16時~17時のSUMCO決算説明会に久しぶりに参加。業績好調で、過去1年程度は満員だったが、半導体市況の転換点で、株価も大きく下落、意外に空席もあった。プレゼンは市場動向戦略が、引き続き橋本会長CEO、決算が瀧井副会長、今回も橋本CEOが半導体市場見通し及びウェハー市場動向について説明の後、瀧井氏が業績説明。今回から、質疑は1人1問へ。φ12市況と契約状況確認が多い。
業績3Qは地震影響あったがOP上ブレ
2018年3Q業績は売上高860→834億円、OP220→231億円、NP145→145億円、売上下ブレは北海道地震で千歳工場が8φ中心に稼働ストップ、OPは値上げ等上ブレ、特損8億円計上。
通期は売上3264億円、OP852億円、NP571億円、4Q予想は、売上840億円、OP210億円、NP145億円、伊万里で12φ定修あり。
ウェハー市況は、メモリ調整だがタイト続く
ウェハー市況は、やや変化あり。
当面、様子見へ
説明会で欠けていた論点
11月7日16時45分〜17時45分の説明会、少し遅れて参加、HPでも確認した(質疑は無し)。プレゼンは岡CFOの他、御給氏など、久ぶりに、FPD担当の村松氏。質疑は、デジカメとFPD、資本政等が多く、半導体に関するものが無かった。
業績は上期上ブレだが年間は不変
業績は上期売上3320→3357億円、OP270→306億円、NP190→228億円。ヘルスケアや産機を中心に上ブレ。映像は下ブレ、精機はインライン、ヘルスケアは赤字半減、産機はOP20→27億円。特に、産機が、リーマンショック後、初めて黒字化はうれしい。
通期予想は不変。売上7400億円、OP740億円、NP530億円。セグメント別では、映像で20億円下方、ヘルスケアで10億円上方、調整消去で10億円上方。
FPDのリスクとデジカメ
FPDについて、市場動向、中国補助金カット、等について質問があった。
デジカメは、新製品のミラーレス、Zシリーズに関する質問が多かった。
11月9日15時半からの説明会に参加、質問もした。プレゼンは、棚橋CFOの後、テスターを統括する大塚氏。今回は、澄田会長だけでなく、小野社長も欠席。ただ、小野社長は体調崩されたとコメントがあったが、問題はないようだ。参加者は多く満員、質問もVテク中心に多かった。
テスターが牽引
2018年度2Q業績は、売上136億円、OP7億円、NP6.7億円。テスターが大きく牽引、レグラスを除き、子会社も黒字維持、レグラスも赤字縮小。1Qは今一だったが、2Qで挽回。設計開発ソリューション事業も、プロダクトソリューション事業も増益。
2018年度通期は売上300億円、OP19億円、RP20億円、NP12.5億円。全ての子会社で黒字、両セグメントとも増益、テスターがNAND向けに、好調、過去最高。プローブを手掛けるSTAr社も堅調。
中期計画は不変
2014年11月公表の中計に関し、振り返りがあった。
最適なB/Sのあり方
ROE5%達成のため、分子(当期利益)を増やすのではなく、分母(自己資本)を減らすのは、これまで、多くの日本企業の経営者は邪道にように語る場合もあったが、それ以前に、B/Sのあるべき姿を経営側が考えることは重要な戦略だ。
Vテクとの提携
今回、大きなポジティブサプライズは、Vテクとの提携だ。
11月9日13時より日清紡HDの説明会に参加、質問もした。会社側の出席者は、いつもの河田社長、村上専務等の他、JRCの荒会長(日清紡専務)、新日本無線の小倉会長(日清紡常務)、ブレーキ事業担当の西原氏、新事業担当の木島氏など。決算期変更で12月決算ゆえ9か月と変則で前期と比較がややこしいが、分かりやすく開示。こちらも慣れていないが、役職員で官公需が多い部門は一層、そうだろう。
業績は既に10月末大幅下方修正
2018年度2Q累計は、国内等が4-9月、海外等は1-9月と変則的。売上2910億円、OP赤字9億円、最終微赤字。JRC関係は売上557億円、OP赤字50億円、新日本無線などデバイス系は、リコーデバイス統合(売上123億円、OP7億円)あり、売上362億円、OP11億円。
年間9か月決算だが、既に売上4350→4260億円、OP35→赤字20億円、NP50→赤字55億円となっている。下方修正は、JRCのマリン、ソリューション、新日本無線のスマホ関連の他、ブレーキ関係など。前回、参考として開示された2019年3月までの数字、売上5460億円、OP155億円、NP135億円(セグメント別は、3月期ベースでは、エレキがOP77億円と47億円の増益、ブレーキは51億円で10億円の減益など)について、修正開示はなし。
JRC系では、通信とEMS系が好調
JRC関係では、マリンとソリューションは不振だが、通信の他、長野や上田のEMSは、メカトロ、医用向けに好調。
新日本無線とリコー電子デバイスのシナジー効果
新日本無線とリコー電子デバイスでは、その他で、ノレン計上。
決算期変更の役職員の心理
JRCに限らず、官公需が多い企業は、8-11月が受注活動のピークであり、1-3月に追い込む。
11月8日13時半〜16時半、グランドハイアット東京3階グランドボールルームにて、マスコミ合同の2Q決算説明会及びNEXTプラン発表会に参加、決算説明会は平田CFO、NEXTプランは車谷CEOによる1時間、質疑応答では、加えて、秋葉慎一郎副社長(東芝インフラシステムズ㈱社長)、錦織弘信専務(東芝デジタルソリューションズ㈱社長)、福地浩志上席常務(東芝デバイス&ストレージ㈱社長)、畠澤守上席常務(東芝エネルギーシステムズ㈱社長)、の他、シーメンスからヘッドハンティングされた、コーポレートデジタル事業責任者の島田太郎氏が出席。ここまで東芝の再建を苦難の中でリードしてきた綱川さんの姿はない。
所用があり、16時すぎ、質疑セッションの途中、壇上の島田氏の質疑の回答(DX戦略)を聴いた後に、退出した。ここまでの判断は高く評価したいし、今回のキャッシュがある中での、LNG売却や英国ニュージェン撤退、株主還元なども正しいだろう。また、金融バブル感のある中で、今、流行のM&Aをやらないというのも、この10年、WHだけでなく、白色LEDや電力流通など悉く失敗してきた中では、見識でもあろう。
違和感〜華美なホテルでの上滑りの中計数字
しかしながら、東洋経済の記者が指摘質問したように、リストラもしている、調達を削減、工場閉鎖も進めている、今のタイミングで、華美なホテルでの説明会(かつて佐々木元社長の時もそうだった、土光さんや、シャープ戴社長の質素倹約とは正反対だ)、綱川社長の不在は大変違和感がある。
経営者として
全部の質疑対応を聴いたわけではないが、車谷氏の経営者としての人間力を見る。
戦後のイノベーションを興しながら売却された事業の役職員が泣いていないか
マスコミ報道の怖さ
11月7日10時半に、アナ協主催の説明会に参加、質問もした。出席者は古橋社長以下、本保氏など幹部、柏井氏の決算報告の後、古橋社長による説明。IR向上で日程を前倒し。ただ、米大統領中間選挙前に米中摩擦懸念が不透明感。
上期の利益は大幅修正、通期は不透明で据え置き
2018年度上期決算は売上1470→1360億円、OP44→57億円、RP44→92億円、NP33→70億円。
在庫がゲーム中心に多めだが、積送品が70%であり、計上タイミングの問題であり、早急に解消されるようだ。
通期は、売上3100億円、OP100億円、NP75億円と不変。為替前提も106円/$と不変で厳し目。
米中摩擦対応
かりに、米中摩擦が続き、関税だけでなく、中国生産などが厳しくなれば、影響は小さくない。
10月31日9時半開催のローム説明会に参加、質問もした。前回挨拶はあったが、プレゼンは、新社長の藤原氏がデビュー。また、今回から、全部の資料が配布され、メモ取りの苦労が無くなり、助かる。
業績や戦略の説明は、藤原氏、末永氏、松本氏など。上原氏、東氏は前回同様、欠席で代理の安藤氏が質疑対応。9月に60周年を迎えたが、2018年度は、過去最高売上を突破。
業績など
上期は、売上2108億円、OP353億円、為替差益もあり、RP441億円、NP309億円と上ブレ。通期は、売上4200億円(過去最高は4093億円)は不変だが、OP580→620億円、RP610→700億円、NP440→500億円、セグメント別では、ほぼディスクリート。なお、為替は105円/$から110円/$へ修正。在庫増だが、材料系、ウェハー等仕込みもある。
今回、プレゼンでの注目点は、スタンダードプロダクツ(汎用ICとディスクリート)の再強化。
生産とR&D
トップシェアのSiCなどパワー関係強化で、アポロ筑後で新棟。
市況・市場動向
分野別では、クルマは引き続き、堅調だが、FAは弱い。
10月31日15時半〜16時半で東京本社開催の決算説明会に参加。代取専務でMLCC等担当の井上氏、代取専務でモジュール等担当の中島氏、経営企画の竹村常務など幹部が出席、プレゼンは経理部の澤田氏、質疑では、中島、井上両氏が多かった。参加者も質問も多数。今回から、FDの観点により、説明会後のトップへのぶら下がり質疑は受け付けないと発言。
業績2Qは好調、通期上方修正
2Q業績は、受注4489億円、売上4429億円、OP913億円、NP693億円、上ブレ、過去最高、注残が減り、生産が追いついてきた。1Q業績が受注4101億円、売上3455億円、OP482億円、NP390億円から、大きく伸びた。売上増と操業度効果390億円、価格ダウンが30億円と少なかったことが利益増に利いた。
2018年度は、売上1.57→1.62兆円、OP2400→2750億円、NP1800→2100億円と上方修正。下期為替を105→110円/$へ変更。Dep1160→1260億円は、会計処理で償却方法を定率から定額に変更した影響が675→480億円と上期の状況を見て修正。R&Dは1100→1000億円。
MLCC市況
MLCCは、中国スマホ向けは強弱あり、一時より落ち着いたが基本は強い上、クルマ向けが好調。
メトロサークとソニー電池
10月31日11時から説明会参加、質問もした。プレゼンは谷本社長、青木CFOも質疑応答。会計基準がUS方式からIFRS移行、質疑は、セグメント別に満遍ない。
決算上期ピーク更新
決算上期は売上8006億円、OP826億円、事業利益1057億円、NP784億円は過去最高。M&A効果500億円(半期分、Opm5%、トータルでは1000億円)と増産対応が成功。工具で、電動と空圧がシナジー効果、AVXによる買収も、車載とスマホでプラス。セグメント別では、産機クルマ、デバイスが上ブレ、半導体セラが光通信向けで悪化、生活環境がソーラーで下ブレ、通信はR&D増加。
通期計画は、売上1.65兆円、OP1540億円、事業利益1631億円、税前利益1900億円、NP1340億円は不変だが、セグメント別事業利益では、産機クルマは360→390億円、デバイスは480→625億円、上方修正、セミが358→270億円、生活環境が赤字30→赤字170億円と拡大。本社も269→318億円。為替は下期100円/$と保守的。10円で年間120億円のOP影響ゆえ、110円なら上ブレ。
市況
京セラで半導体市況に関連するのは、パッケージとSPE向け部材だが、SPE向けに関しては、メモリ投資はブレーキゆえ、3D関連のエッチャ向けは厳しくコンサバ、ロジック向けリソ装置向けは好調。
MLCCはスマホ向け一服だが、ここにきて、クルマや5G基地局の話が増え、タイト感続く、来期に向け、設備増強が必要。AVXとの関係はこれまで通り。
光通信向けパッケージ悪化は、5G前の端境期との見方、来期は戻る想定で、仙台増産へ。
R&D強化
みなとみらい地区の研究所は、ソフト強化だが、ソフトは元々、KCSがあるが、今回は、自動運転や車載カメラ向けAI画像認識や、IoT通信モジュール向けを狙うエンベデッド系だろう。
11月3日に、学外の著名な有識者、学識者も葛飾キャンパスに招き、文化の日に相応しい『あるべき知情財と人財の創造』をテーマに合同連携シンポジウムを開催、100名を超える多数の方々の参加。
第1章のパネルディスカッション『良きベーシックレポートとは?』
第1章のパネルディスカッションに先立ち、バリュークリエイト代表取締役の佐藤明氏、農林中金バリューインベストメンツ常務取締役の奥野一成氏、みさき投資インベストメント・オフィサーの槙野尚氏、理科大MOTの若林秀樹教授の4志で結成された「ベーシックレポートアワードコミッティ」による優秀レポートなどが表彰。
パネルディスカッションでは、上記4氏に、理科大MOTの実務家教員でありモルガンスタンレーMUFG証券シニアアドバイザーである、ロバート・アラン・フェルドマン教授と「ベーシックレポートアワード(BRA)」の優秀レポート受賞者である青木英彦氏と桂竜輔氏が加わって行われた。
『良いレポートと企業や産業の分析手法や評価軸』を徹底的に議論し、会場からの質問に対してパネリストが答えるなど、活気あるやり取りがなされた。
第1章の詳細、下記サイトでも報道。株探ニュース YAHOO! JAPAN ファイナンス
第2章のパネルディスカッション『あるべきビジネススクールとは?』
一橋大学大学院 クリスティーナ・アメージャン教授、名古屋商科大学ビジネススクール岩澤誠一郎教授、理科大MOTからフェルドマン教授、宮永雅好教授、若林教授、更にMOTを推進する経産省産業技術環境局技術振興・大学連携推進課長松岡建志氏が、ビジネススクールのあり方について、多種多様な視点・立場から徹底議論がなされた。
米中摩擦に関して、トランプ政権というよりも、以前から、米が「チャイナ・チャレンジ」に警戒していることを指摘してきた。
https://www.circle-cross.com/2018/09/30/米中貿易戦争はトランプのせいか/
https://www.circle-cross.com/2016/11/26/2016年11月26日-米国がchina-challengeに-宣戦-布告か/
https://www.circle-cross.com/2016/09/11/2016年9月11日-中国で内外の半導体投資-日経報道-について/
しかしながら、今回の米司法省のJSICC(福建省晋華集成電路)を産業スパイ罪で起訴したニュースは、米国の本気度の表れであり、82年の日立や三菱電機に対するIBMスパイ事件を思い出す。79年のジャパンアズナンバーワン(実際は称賛というより警告注意でもあったが)、の後、まさに、IBMスパイ事件が日米摩擦の宣戦布告であった。その後、東芝機械のココム違反はじめ、知財だけでなく、あの手この手で、攻めてきた。
米中摩擦では、関税が大きくマスコミで注目されているが、前にも書いた通り、①為替操作、②知財、③セキュリティである。トランプの中間選挙対策もあり、ある程度は緩和されるが、米中枢からは、トランプはいわば、利用されている面もある。また、①や②は、手段であり、③が本命だろう。当然、中国だけでなく、日本も、①や②では、巻き添えを食う可能性もあろう。
米司法省は1日、米国の半導体メーカーから企業秘密を盗み出した産業スパイの罪で、中国JHICCと台湾UMC(聯華電子)を連邦大陪審が起訴と発表、DRAMを生産するため米マイクロンから製造や設計に関する技術を持ち出したと。既に、米商務省は10月29日、JHICCが安全保障上の重大なリスクになっているとして、米国企業から同社への輸出を規制すると発表したばかりだ。司法省によると、マイクロンの台湾子会社などに所属した台湾籍の3人も起訴したことはサプライズだ。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO37271500S8A101C1EAF000/
10月31日の決算説明会参加、津賀社長とCFOが参加。CFOがプレゼン、社長が質疑で補足。再び、IFRSにおける営業利益の定義について考えさせられた。
決算は実質下方修正だろう
決算2Qは、アプライアンス、オートが不振。通期は、売上8.3兆円、OP4250億円は不変だが、実態は500億円下方修正だろう。
10月31日17時より、決算説明会に参加。常石会長、河合社長、笹川経理部長など。笹川氏より、業績説明、河合社長より経営環境と予想。質問は、業績下方修正の背景、半導体市況、米中摩擦など。
通期業績下方修正
上期は売上6900→6910億円、OP1730→1754億円、NP1280→1352億円と上ブレながら、通期は、韓国メモリ系の投資延期で、売上1.4→1.28兆円、OP3600→3090億円、NP2700→2370億円と下方修正。
河合社長による市況の見方
市況については、河合社長としては、3ヶ月前に比べ、メモリは順延で、装置市場は伸び5ポイント伸び率が悪化、DRAMが50〜55%増だが、10ポイント悪化、主因はCPU不足と指摘、スポット価格は下落だが大口は高止まりと発言。
NANDは見方不変、昨年70%伸びが今年は5%増、9Xが半分を占め、価格弾性効果で、データーセンター向けは伸びるとコメント。ロジック・ファウンドリの悪化は技術要因とした。確かに需給バランスが崩れることは認めたが、3ヶ月か6か月のずれであり、2019年下期には装置回復とした。
米中摩擦、特に、SPE輸出規制については、測定装置では、影響があり、中国の工場は見直しだろう、とコメント。
OLED4.5G販売開始
他のアナリストは誰も、関心が無かったが、FPD関連の事業進捗について資料があり、OLED4.5Gインクジェットが販売開始
10月30日開催の2Q決算説明会に参加、質疑もした。オムロンの説明会は、決算と中期的なトピックスで構成されるが、今回は、業績下方修正もあり、山田CFOによる丁寧な説明、IAB中心に、成長戦略の紹介もあった。質疑では、業績修正背景、特に在庫状況に関するものが多かった。
業績下方修正
上期は、売上4162億円、GP1788億円、OP366億円、NP264億円。米中摩擦、半導体市況悪化、新興国通貨混乱等が背景。中長期方針は不変で、先行投資は継続。
通期は、景気の不透明感が続く中で、中国、韓国中心に、SPEの4Q回復を慎重に見て、売上9000→8800億円、GP3825→3675億円、OP930→830億円、NP645→585億円、下期為替は110円/$、127円/€、た。SGAがSE増強やIT投資が1Qに集中し多く、R&Dも増加したため
中期のIABの打ち手
中長期では、①革新アプリケーション創出、②オートメーションセンター、SE拡充、③i-BELT本格スタート、が紹介された。
説明会に1年ぶりに参加、これまでは、必ず参加していたR&Dの説明会も無かったので、久しぶり。決算集中日だが参加者多数、新野CEOがプレゼン、森田CFO、中西IR室長が質疑対応。春の本決算で、セグメント変更、成長注力分野として、「グローバル」新設、電池関連事業切り離しもあり、入り繰りがややこしい。質問も、そのあたりに集中。
業績は改善だが躍動感なし
上期は、売上1.34兆円、OP138億円、NP92億円は上ブレ。上ブレは、売上350億円、OP40億円だが、売上は電池関連売却の半年分200億円とエンタープライズ100億円強、OPは電池関連20億円、エンタープライズ20億円。通期は売上2.83兆円、OP500億円、NP250億円。2020年度中計は、売上3兆円、OP1500億円、NP900億円は、なお遠い。
グローバル事業
グローバル事業は、セーフティ、ワイヤレスSL、サービスプロバイダSL、エネルギー、ディスプレイと雑多だがグローバルに成長したい部門の集合体だが、上期は売上2133億円と横這いながら、OP赤字は50億円に縮小、計画比でも上ブレ、セーフティが黒字化。パソリンクも改善、赤字がやや残ったが、年間黒字化へ期待。海底ケーブルも一時的に減少だが堅調。全体では、売上5050億円、トントンへ。セーフティは、2017年度500億円から、2018年度850億円、M&Aも含め2020年度2000億円は期待。
5G期待と不安
2020年に向け、インフラ投資期待だが、基地局では、サムスンと提携は、グローバル市場へ拡大も期待だが、技術流出のリスクも指摘され、プラスマイナスの印象。これまでの投資と比べ、それほど期待できず、R&Dは嵩む。むしろ、IoT等、多元同時接続や低レイテンシ等クルマなどのアプリ開発が鍵。
ファーウエイ
事業領域で、最も近いのは、ファーウエイだが、今や、売上や利益規模はもちろん、R&DはNECの売上規模に近い2兆円規模。今は、比べるべくもないが、2000年頃は、全く逆の評価だった。
平成も終わろうとしている今日においては、日立とアマゾンを比較することすらナンセンスに思えるが、振り返ってみると、日立にも、アマゾン的要素があった。
21世紀に入って、今日まで、一般的には、優れた企業とは、総合電機や垂直統合ではなく、水平分業、脱自前主義、選択と集中、更に日本では、ニッチ志向などがキーワードだ。インテル、マイクロソフト、アップル等は、これに当てはまる分は多いようだ。しかし、アマゾンは、初期こそ、これらと同様のように見られたが、むしろ、自前主義、垂直統合、拡大志向である。そのコアコンピタンスは、ITに支えられた物流などのサプライチェーン力であり、世界を制覇する、21世紀のローマ帝国のようだ(成毛眞、「amazon 世界最先端の戦略がわかる」2018年ダイヤモンド)。
20世紀最後のドットコムバブルの頃、インターネット産業で勝つための条件は、①IT力、②物流、③金融、と言われていたが、当時の日立は、まだまだITでは強く、グループ傘下に、日立物流や日立キャピタルを有し、かりにITでは、IBMに負けても、物流や金融を有する点では、IBM以上であり、もちろん、創業間もないアマゾンなど問題外であっただろう。
しかも、先端技術に関心があり、自前主義、垂直統合、拡大志向、さらに、90年代半ばまでは、工場プロフィットセンター制であり、経常利益率などのKPIなどを満足していれば、工場の自主性に任せるという点でも、アマゾン的、いや、ローマ帝国的であった。
29日16時〜17時の決算説明会に参加、皮籠石CFOの説明の後、業績下方修正もあり、質疑多数。殆どが決算や景況感に関するものだったが、日立のクラリオン売却や、三菱電機と関係があるパイオニアが苦戦であり、カーナビ事業に関する質問もあったが車を支えるコア事業で採算も良いようだ。
上期業績は、売上2.17兆円は増収ながら、OP1259億円以下は減益で、計画に対し下ブレ、セグメント別には、FA、クルマ、光デバイス。素材アップが110億円、サプライチェーンの乱れもあった。
通期業績は、下期の為替を100→105円変更、売上4.5→4.51兆円、OP3150→3050億円、NP2450→2400億円と下方修正。セグメント別には、FAが100億円以上、光デバイスも数十億円。クルマ上期は下ブレだが、下期は挽回し上ブレのようだ。全体、在庫がなかなか減らない。
円安分で売上500億円、OP180億円底上げとなるので、実態は、売上で、400億円、OP280億円の下方修正。素材アップは、年間170億円は不変、銅などは改善の可能性に期待。
2Q決算発表と経営説明会が26日16時過ぎから開催、塚野CFO、田中CEOがプレゼン。HPで視聴参加。質疑も含め、詳細にHPで開示。http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/
決算よりも、経営説明会あるいは同時発表の人事異動や組織改革が重要。決算期途中である時期(12月末から1月1日付け人事)に、代取以下、主要な執行役員や、富士通研究所、富士通マーケティング、富士通エフ・アイ・ピー等のトップが交替、組織大改革は異例。http://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/10/26.pdf
マスコミ報道は5000人の配置転換が中心で、アナリスト質疑も中期でのOPM目標やEMEIAのリストラ等が中心で、この急な大改革の意味を問うものは見当たらない。しかし、CEOとCFOの危機感は相当だろう。
決算はイレギュラーが多く見えにくい
今期は1Qに年金関係の特殊な利益計上、2QはPC・ケータイ端末再編や半導体譲渡など特殊要因が多くIFRS決算ゆえOP計上で分かりにくい。また、関連してリストラ費用なども計上予定であり、通期は数字が入らない。
経営方針進捗レビュー
経営目標は、OPM10%と海外売上比率50%は、見直された。自己資本比率40%、FCF1500億円はいけそうだが、海外比率は撤回。
新しいKPIは、テクノロジーソリューション、M&Aを含まないオーガニック、ハードこみ、全社消去共通費用も含むベースで、2022年度に売上3.15兆円、Opm10%、2019年度は売上3兆円、Opm5%である。
人事異動と経営体制見直し
子会社統廃合へ
それぞれの想い
2Q決算説明会が10月26日、本社で開催、西山CFOがプレゼン、質疑は財務やIRも対応。HPで生視聴した。質疑は2人と少なかった。
決算は微妙
上期は売上4.5兆円、OP3445億円、EBIT3523億円、OP140億円上ブレ、情通90億円、産機60億円、電子50億円、建機40億円、オートが下ブレ110億円、他方、円安分が140億円と同額。
通期は不変、売上9.4兆円、OP=EBIT=7500億円だが、セグメント別では、情通が60億円、オートが下方で100億円など。オートのEBIT不変だが、クラリオン売却がOP外650億円、他方、リストラ損もでる。下期不透明とのコメント。
3つのリスクは、①UK原子力ホライゾン、②南ア係争(三菱重工)、③メキシコのクルマ
事業構造改革
日本電産の2Q決算説明会が10月24日に開催され参加した。プレゼンは、いつも通り、永守会長CEO、佐藤CFO、IR永安氏。人事異動で元シャープのCFOだった大西氏が取締役を外れ顧問へ。景気に関しては、「いよいよ風が止まってきた、これから、厳しくなる、ただ、風がなくても、凧を上げる、これが、M&Aや人材獲得も含め、チャンスだ」と発言。
業績は上期上ブレ、通期不変
2018年度上期決算は、売上7750→7776億円、OP950→982億円と上ブレだが、通期は、景気変化もあり、不変、ただ、下期の為替は100円であり、110円であれば、1円で通期4億円の上ブレゆえ、上期の上ブレ分も含め、50億円の「貯金」はある。
米中貿易戦争をチャンスととらえる
米中貿易戦争による中国工場からの輸出が一般には、懸念されるが、同社は、43か国、210工場を持ち、これを、シェア拡大などのチャンスととらえ、車載やエアコン等で、メキシコ工場の増産を急ぐ。
独MSグレスナー社の買収で、欧州市場へ本格参入、減速機の総合メーカーとしての、品ぞろえ充実。今後、欧州市場も、サプライチェーンも含め、再編が進む中で布石か。
人事やCSRなど
今回、CSRビジョンなどで、京都府内の企業で、「えるぼし」認定、働きやすい企業として、認定、また、個人株主が一層増加し、株主数10万人へ目指す。
CEATECが、幕張メッセで、2018年10月16日から19日開催、16日に訪問、各社の展示を見学した。以下、訪問したブース別に印象を記す。順不動である。
ローム
ソシオネクスト
新日本無線
村田製作所
京セラ
TDK
太陽誘電
アルプス電気
日本航空電子
アンリツ
パナソニック
シャープ
日立
三菱電機
NTT
KDDI
NEC
富士通
OKI
CEATECが、幕張メッセで、2018年10月16日から19日開催、16日に訪問、各社の展示を見学した。主催者によると、4日間の来場者数は、15.6万人と前年比3%増だったようだ。1日あたりの登録来場者数平均は2008年以来9年ぶりに3.8万人を超えたという(過去最高は2007年の4.1万人、なお、2007年は5日間で来場者数は過去最高で20.6万人)。
未来社会を疑似体験、異業、異種、異軸からの共創の場
一昨年から、会場構成が一新され、エレクトロニクスだけでなく、幅広い分野の展示となった。今年は、「つながる社会、共創する未来」をテーマに、「日本の成長戦略や未来を世界に向けて発信するSociety 5.0の展示会」として開催され、未来社会の疑似体験の場となっている。
異業種から目立つ展示
一昨年から、電機や部品、IT、通信キャリア、放送だけでなく、ロボット、ヘルスケア、クルマなどの業界から展示があったが、今年は、コンビニなどまで範囲が拡大した。
テーマとトレンド
今回は、5G、8K、IoT、VR/ARなどが、中心となり、コラボも多く、共同出展で、共創をアッピールしている。5Gや、8K、VR/ARの応用ということもあり、通信キャリアのブースでは、更に、エンタメ性が増している。
先週に続いて、NHKスペシャルで、マネーの未来いついて特集していた。ゲストは、法政大教授で元ストラテジストの水野氏、RIZAPの瀬戸氏だった。内容は、世界中でマネーが供給され、国も個人も借金付けという話だったが、残念な内容だった。
過度な通貨供給が危機的であり、成長ニーズを見つけるのが難しいのは同感だ、しかし、デットだけの話をしており、エクイティの話がない。また、成長ニーズも、無いのでなく、難しく、ゲストの方には、見えていないか、言わないだけで、実際は、高齢化、健康、地震や水害など自然対策があるだろう。
ベイン傘下の東芝メモリは、10月11日に、10月1日付で、元インテルのステイシー・スミス氏(55)が会長に就任したと発表。スミス氏は、88年に米テキサス大オースチン校MBAでインテル入社、今年退社、上級副社長など歴任。3年後をメドとする東芝メモリの新規株式公開に向け、海外営業力の強化を担うようだ。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36375520R11C18A0TJ2000/
ただ、代表権は引き続き成毛康雄社長が単独で持ち、取締役会は成毛氏、ベインから杉本勇次日本代表ら3人(外人1人)、HOYAから鈴木洋氏、スミス氏の計6人。執行役員では、スミス氏が会長、成毛社長、渡辺副社長、早坂副社長など計12人、監査役計3人。
東芝本体も、綱川社長だけでなく、ガバナンスのケジメとして、外部から車谷会長が入ったが、同様に、東芝メモリも、外部から、グローバルな視点で半導体業界関係者が入るべきであり、当然の人事だろう。
研究開発体制
今回、HPで、R&D体制が明らかになった。リクルート対策もあり、詳細であり、興味深い基礎研究もなされている。
NAND価格は下落に関し、廃棄NANDの再利用チップのことを紹介した。中国では、パーシャルウェハーと呼ばれる廃棄NANDウェハーを再処理により、動作可能な部分を検査して切り出し、パッケージ化する動きであり、これが、値下げを加速している可能性がある。
かつてのスマホの山賽器と同様であり、名前も、Colorful(カラフル)、SUNEAST(サンイースト)、PHISON(ファイソン)、KingFast(キングファスト)、SONDISKの他、完全に、偽名もある。既に、トラブルもあるようだ(スマホでは、Sonyでなく、Sccy、NOKIAでなく、NCKIAなど)。
この10月7、8の二夜、NHKスペシャルで、マネーやAIについて、特集をやっており、御覧になった方も多いだろう。
第一集の話題は、ハイパーインフレ、地下経済、キャッシュレス、仮想通貨、時間通貨、などであり、ゲストには、「お金2.0」の筆者で若者に人気がある佐藤航陽メタップス社長も登場していた。
第二集は、AIやロボットと雇用の話で、ベーシックインカムにも触れられていた。ゲストは、「東ロボ」で有名なAI学者の新井紀子氏と、ソフトバンクの孫氏だった。
ちょうど、ノーベル経済学賞(正確には、ノーベル賞ではないが)の発表もあり、タイミングが良かった。ちなみに、今年のノーベル経済学賞は、エール大のウィリアム・ノードハウス教授とニューヨーク大のポール・ローマー教授が受賞、気候変動と技術各紙をマクロ経済分析に統合した成果が評価された。
通貨の候補
このうち、第1週のマネーの未来については、過度な金融緩和により、国家の信用が無くなる中で、何か通貨になるかは、極めて重要な問題だ。ブロックチェーンは、企業間取引などで、導入すべき技術だろうが、仮想通貨については、現状は、殆どが投機目的であり、流動性も薄く、通貨というよりも、コモデティ・ファンドのようなものだろう。マネーフローも不明であり、大量のマイニング計算機が必要で、その熱量の問題や、新しいアルゴリズムで計算できた場合のインパクトがよく分からない。
かつて、リーマンショック前後に、€に対抗して、米国によるNFTA圏の共通通貨として、「Amero」が検討されたことがある。金貨銀貨の換わりに、穀物・石油・貴金属などをバスケットとした兌換通貨だ。不況になったら、どんどんドルを刷って、それがバブルを生んだという非兌換通貨に対する批判が背景にあった。現在も、金融危機は起こっていないが、かつてない金融緩和の中で、$であれ、¥であれ、非兌換通貨への信用が薄らいでいるという点では似ている。
仮想通貨は、ハッシュ計算の有限性や希少性が信用の背景にあるが、これまでの、金ならオンス、石油ならバレル等、物理量が換算単位だったが、ビットが単位となる点では面白い。ただ、計算上は、発熱量がクリティカルであり、物理量かもしれない。番組で紹介された「時間通貨」は、有限で、時間が単位という意味では、面白いが、年齢で、時間の価値も異なり、交換性など課題も多いだろう。
さらに、通貨単位としては、その総和が、人類にとって、普遍性があり、人類の幸福を計測できるものが相応しいだろう。そこで、プリミティブなアイデアだが、
人類の幸福度=平均寿命(本来は健康寿命)×人口 と定義して、それを指数化したものを兌換対象
とするのである。寿命が伸び、人口が増えれば、GDP成長が幸福度と比例する。WTOか何かが、IMFと連携して、計算すればよい。過去は、金や銀、そして、石油や穀物(米俵の石高)、そしてデータ駆動社会では、ビットが、経済力を測る単位だが、理想的には、人の命や健康にすべきだろう。
ベーシックインカム
第2集では、AIやロボットが雇用を奪うという話題から始まり、ケインズの有名なイノベーションと雇用に関する予想が紹介された。すなわち、これまでも、蒸気機関が肉体労働に取って代わるなど、イノベーションが古い雇用を奪うが、新しい雇用を生んできた歴史である。
ベーシックインカムも紹介されたが、仕事観は、西洋と東洋、特に、日本では、文化、価値感も異なり、難しい問題だ。かつての共産主義に近い印象だ。また、日本では、学生時代までの親の扶養と老人時代の年金生活の30〜40年は、ベーシックインカムと同様だ、あるいは、かつての高等遊民、GDP統計上は主婦もそうだ。人口では、半分近くが対象となるかもしれない。
トヨタとソフトバンクのMaaS事業発表で、XaaSというバスワードは急速に広まっただろう。もともとは、クラウドサービスの話であり、その利用形態によりPaaS、IaaS、SaaS、DaaS、位の種別だったが、どんどん広がるだろう。エネルギーでは売買自由化が進めば、EaaS、モノ作りやエンジニアリングでも、EMS等は、別のEaaSかもしれない。
NRIの此本社長は、日経の私見卓見「企業は消費者余剰を生みだせ」の中で、aaS型の構想力が勝負所だと論じている。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36066140T01C18A0SHE000/
オープンイノベーションや提携なども、そのトレンドだが、M&Aは、外部のリソースを取り込むという意味では、利用というよりは所有である。M&Aは、デューデリも、PMIも大変だが、会計処理も、日本と海外、IFRSでも異なり、厄介だ。特に、減損の可能性を巡って、IFRSは、時価主義ゆえに、客観的なようで、主観的な面も多く、ノレンが難しい。
その中で、日経新聞は、IFRSでは、ノレンのM&A費用計上検討と去る9月15日に報じており、影響が大きいようだ。日経の資産では、17年度時点の国内IFRS導入企業約160社のノレンは約14兆円、欧州主要600社で240兆円、20年間の定期償却が導入されると、日欧合計で年間13兆円の減益要因が生じる計算のようだ。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35330630T10C18A9MM8000/?n_cid=DSREA001
そうすると、M&Aよりも、AssS(アセットaaS)のようなトレンドが増えるかもしれないが、これは、かつて流行?したリースによる簿外債務のような話だ。さらに、ファンドとコングロマリットの違いも微妙であろう。
東芝メモリが発足し、半年が経過した。これまでの遅れを取り戻すべく、四日市のY6や北上の新棟起工式などの発表もあった。
他方、NAND価格は春先から下落、年末に5ドルだった128Gb大口品は、2年前の3ドル程度、スポットTLCは2ドル程度となった。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36067610T01C18A0QM8000/
なお、規模は不明だが、中国では、パーシャルウェハーと呼ばれる廃棄NANDウェハーを再処理により、動作可能な部分を検査して切り出し、パッケージ化する動きもあり、USBには採用が増えているようだ。この価格動向も、多少は、影響があるかもしれない。
四日市で、JVを組み、協業先のWD社の株価も、NAND価格と同様に下落した。2016年初の1兆円強のレベルまでには下落していないが、年末からは3割以上下落した。
以前、東芝のメモリ事業の価値は、NAND価格と連動し、1兆円強から3兆円のレンジだろう(それ故に、NAND市況が悪化しないうちに売却すべき)と、記したが、現在なら、1-2兆円、厳しめのバリエーションなら、1兆円だろう。すなわち、仮に、ファンドに2兆円時価総額で売ったなら、1兆円の損失だ。
https://www.circle-cross.com/2017/02/27/2017年2月27日-東芝メモリの価値と提案/
https://www.circle-cross.com/2016/09/15/2016年9月15日-東芝の価値試算とポートフォリオ/
ベインとの取引の詳細は、キャッシュと株式、資産か負債か、不明であり、B/Sも公開されていないため、外部からの計算は不可能だが、あまりに高額で買収していた場合には、減損もありえよう。
M&Aのバリエーションは、EV/EBITDA倍率でなされる場合が多く、相場は8倍前後というのが業界の目安だ。M&Aのプロとしても有名なNidecの永守会長は、説明会でも、同様の発言だ。
KPMGの調べでは、業種で異なるが、医薬ヘルスケアを除き、7-12倍のレンジである。いわば、M&Aの事業の回収期間が7〜12年、平均すれば8年強かかることを意味している。将来の成長期待が高く、長期視点の買収である、ヘルスケアやIoTでは、10倍を大きく超え、30-40倍もある。
東証一部上場会社のEV/EBITDA倍率推移は、下記のように、8倍前後である。つまり、現業の回収期間は8年程度だ。事業サイクルが短い半導体メモリ系は5倍程度であった。
8-9年の意味
この期間は、経営重心®でのジャパンストライクゾーンのサイクルである、5-10年に近い。また、日本の社長の交替サイクルは7年(東洋大2008年)が多いが、NRIの松田氏の2016年の研究「経営リレー論」(https://www.nri.com/~/media/PDF/jp/opinion/teiki/chitekishisan/cs201610/cs20161009.pdf)によると、在職期間が長い程、パファーマンスがいいが、逆に、次の世代では、劣化する。そこで、経営リレーモデルが重要だという。この結果からすると、社長の任期は、9年前後というのが、そのクリティカルな年限のようだ。
これは、日経の西條氏が論考しており、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO05217680V20C16A7000000/大変興味深い。なお、米大統領やOECD議長の任期は8年、かつて日立社長も8年任期が多かった。
ただし、NRI論文でも、西條氏の論考でも、業種や事業特性との相関などは、触れておらず、これは、EV/EBITA倍率が、業種別で異なるように、そういう経営重心®「固有周期」と、社長の交替周期の関係の考察は重要であろう。
いずれにせよ、8-9年という年限が社長任期でクリティカルであり、EV/EBITDAでも、ジャパンストライクゾーンでも、10年以上では、外れるというのは、まさに10年一昔というが、深い意味があるのだろうか。それが3世代、30年を超えると、業界やプラットフォーマーまで、変わるように思う。
CASE化でクルマ産業の経営重心®は、右上へシフト、これに伴い、広さも拡大する。クルマ産業は、市場規模は1億台前後、車検もあり買換えは6-7年であり、ジャパンストライクゾーンの上限にある。今後のEV化だけでも、右上へシフトするが、自動化、コネクテッド化、シェアリング、そして、MaaSシフトで、一層、その傾向は強まり、ジャパンストライクゾーンを外れ、ソフトバンクも含め、GAFAや、サムスンや台湾が強いゾーンに近づく。これは、日本のクルマメーカーにとって競争力低下リスクだ。
モノ作りの変化もより短サイクル
モノ作りでは、かつては、クルマ産業は、すり合わせを重視し、ウォターフォールモデルにより、車両、エンジン、部品毎に設計、試作などを繰り返していたが、これでは、経営重心®サイクル短期化や、米IT系のサイクルに追いつかない。
そこで、既に、PC業界等で導入されているモデルベース開発(MBD)の導入が進んでいるようであり、プログレステクノロジーズ、アザバ、エクスモーション等のスタートアップが、ケーレツを超えて、活躍しているようだ。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35601690Q8A920C1FFR000/
販社やリースも対応
販社も大きく影響を受ける。トヨタでは、シェアリングエコノミーに対応、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店と、車種別・顧客別にすみ分けていたチャネルを見直し、5000ある全店で同じ車種全車販売へ転換するようだ。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35780260W8A920C1MM8000/
併せて、試乗車4万台をカーシャアリングに生かす。国内の新車販売が長期低落の中で、このチャネル資産を活用する。
このシェアリングエコノミーに刺激され、リース各社も、購入とシェアリングの間隙をつき、2015年から2018年3月までで、15万台から25万台に増加(日本自動車リース協会)したようだ。矢野経済では、2022年度に93万台へ達すると予想。シェアリングでは、この5年で3.3倍の2.9万台(交通エコロジー・モビリティ財団)。シェアリングでは、価格は月1000円程度と安く、維持も手軽だが、毎日の予約や、チャイルドシート取り付けなどが面倒であるのに対し、リースは月1万円だが5年の期間であり、使い勝手はいいだろう。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35864660Y8A920C1NN1000/
クルマの販社がシェアリングエコノミー対応を進め、車検制度なども変化すれば、リース会社も、中途半端になりかねない。クルマメーカーが、モビリティキャリア化すれば、こうしたリースも手掛けるだろう。
経営重心®の変化は、チャネルの変化、周辺業界の再編も促す。
2018年10月04日、ソフトバンクとトヨタ自動車、新しいモビリティサービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、共同出資会社を設立した。https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/24747176.html
出資比率ではソフトバンクが過半だが、IR資料ではトヨタの方が積極的だ。共同記者会見(小谷キャスターが司会を務める)もあり、多くのマスコミでも報道されている。https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL04HCJ_U8A001C1000000/
この動きは知らなかったが、6月にシェアリングエコノミーに関連して、クルマのキャリア化について、論考、トヨタをケースとして、経営重心®の変化を分析している。
https://www.circle-cross.com/2018/06/22/シェアリングエコノミーとev化コネクテッド化でクルマキャリアが登場する/
また、8月には、トヨタグループ4社の自動運転で新会社を設立しており、その際にも、クルマのキャリア化を論考している、
https://www.circle-cross.com/2018/08/29/トヨタグループ4社が自動運転で新会社-トヨタはウーバーへ出資し提携へ/
ただ、トヨタが各レイヤに対して垂直統合的な動きか、水平分業的かは不明であり、当時のコメントでは、前者かと考えていた。トヨタが主導しつつ、ソフトバンクが、キャリアやIoTのところを補完するイメージだった。クルマは安全第一であり、水平分業は容易ではないからだ。ただ、エンタメ系などアプリ次第では、水平分業的だろう。
興味深い記事は、2月15日の日経記事に、奥平編集委員が、トヨタとソフトバンクの「異種格闘技」と題して、複雑な連携について纏めている。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26878110U8A210C1X12000/