日経新聞などの報道によると、政府は自民党の提言を踏まえて検討してきたNTT法の廃止を当面見送る方針のようだ。しぼんだNTT法の廃止論 「推進議員」衆院選落選の影響大きく - 日本経済新聞
NTT法改正を推進してきたのは甘利明先生であり、衆院選落選の影響が大きい。プロジェクトチームは、NTT法の廃止論は防衛費増額の財源確保を議論する中、政府保有のNTT株売却に着目したのに端を発する。2023年末にNTT法廃止提言をまとめ、経営の自由度を確保、国際競争力を高めることも狙った。
日本では、GAFAMに対抗しうるプラットフォーマは、NTTくらいしかなく、かつての電電公社級に再統合され、通研も復活すべきだと考え、基本は賛成だった。
イノベーションには金融の力も重要であり、ファイナンス自身にもイノベーションが必要だ。GX債券やVC、そして、PEファンド、アクティビスト等の類も含めていいだろう。ただ、便利だが両刃の剣だ。
日経新聞が「膨張アクティビスト」特集を12月2日から特集を組み、アクティビストファンドの功罪を分析、総括している。企業価値が上昇するか否か、ROEなどの改善も様々である。記事に同感するのは、米に比べても、ファンド天国であり、株主権利が強すぎる。株主提案は半年保有であり、内容も規制が無く、提案数も1人10個である。
WSTSが12月3日に半導体市場予測を発表した。世界半導体市場統計(WSTS) 今回は11月19日~21日の3日間、米サンディエゴで開催されているので、トランプ圧勝後だが、どう織り込んでいるかは不明である。8月か9月までの実績は織り込んでいるだろう。前回春の5月予測から全体市場は2024年6110億ドル(16%増)→6268億ドル(19%増)、2025年は6874億ドル(12.5%増)→6972億ドル(12.3%増)と上方修正。ディスクリート、光はマイナスで下方修正、センサーはマイナスだが上方修正。アナログはマイナスだが上方修正、マイコン、ロジック、メモリはプラスで、上方修正。メモリは75%増から81%増である。好調はメモリとロジックみであり、これまで以上に二極化が進んでいる。
政府・日銀によるETF買いや、いわゆるPKO、為替市場介入は、合法で当然の政策だ。それは、政府や自身の金融政策はじめ全てを知っている立場であり、それゆえ有利であり、成功して当然である。
これに対し、民間ファンドが、政府しか知らない政策を事前に知りえ、その情報を利用して投資をすれば、インサイダーの可能性がある。また、為替にしろ、株価にしろ、価格操作をすれば、これまた違法である。
どうも、日本人は、気が長くないというか諦めが早いようだ。研究において、「固有周期」が短いようである。
自動運転のアプリケーションで、生成AIに、データを食わせたが、数百万kmかどこかで、性能向上がピークアウトして諦めたが、中国は、時間をかけ、その10~100倍のデータを食わせると、急に、性能が向上したという。
既に紹介したが、「経済で読み解く日本史」(上念氏)は、ややリフレ派の傾向はあるが、奈良平安時代から昭和平成までを、一貫したロジックで説明した良書であると考えられる。戦乱の時代と平和な時代、武将や貴族らの行動やリーダーシップも分かりやすい。マクロ経済学かつ貨幣の視点から説いているからこそ、これまで暗記物として、認識し因果関係が不明な事象を明快に俯瞰できる。その意味では、同時に、リフレ派の理論が正しいようにも思える程だ。下手なマクロ経済の本を読むよりも、マクロ経済の理論の勉強になる。それ以外にも、戦争経済学や戦争の理論も紹介されている。
下記に、理論や鉄則などを紹介する。
去る11月19日にVision2020朝食勉強会にて、キヤノングローバル戦略研究所理事特別顧問元外交官の宮家邦彦氏の講演を聞いた。これは甘利明先生の勉強会で、以前、自身も半導体産業について講演したもので、時々、参加させて頂いている。約200名程度、電力、ガス、通信キャリア、JR系、インフラ系、ゼネコンなどの業界、役所関係、政治家が多く、知己も出ている。
もうすっかり普及している生成AIだが、これまで指摘されている、①ハルシネーションや、トラスト、情報保護などのAI倫理的問題、②エネルギーの問題、に加え③巨額開発費の問題が浮かびあがってきた。
パワー半導体で業界再編が進みそうだ。デンソーと富士電機は29日、EV等を念頭に、SiCを中心に、パワー半導体で協業と発表した。両社で2116億円を投じて次世代品の生産体制を構築する。経済産業省も最大705億円を支援するようだ。24年9月にはロームとも提携を発表少額出資、またロームと東芝も提携関係にある。デンソー・富士電機、米欧パワー半導体に挑む2100億円投資 - 日本経済新聞
また、デンソーはトヨタ等と、クルマ向けチップレット、エコシステムのASRAプロジェクトも推進しており、注目される。
SUMCOの決算説明会を視聴した。SUMCOの決算説明会は業績結果だけでなく、半導体市況や、技術や将来の成長に関わる興味深い資料が掲載、橋本会長が解説する。決算説明会資料 | 株式会社SUMCO
特に、今回の3Q決算と前回の2Q決算は、興味深い。今回、FIN-FETからGAAに移行する中でのデバイス構造、特に、表面が信号配線と裏面が電源配線となり、ウェハーに求められる技術開発が示され、大変参考になる。
エフィッシモなどアクティビストが保有する銘柄が注目を浴びているようだ。コニカミノルタ、リコー、タムロン、日産などであり、株価が急騰するケースもある。大平洋金属、メルコホールディングス、関東電化工業は乱高下した。コニカミノルタ、ファンド圧力は劇薬か 3週間で株価4割高 SCORE - 日本経済新聞 日産、日産車体との親子上場解消の試練 アクティビスト狙い撃ちか 落合修平 - 日本経済新聞
アクティビストが100%悪いわけではなく、親子上場解消はじめガバナンス見直しや業績改善に繋がる場合もある。他方、配当を増やすなど株主還元要求など短期目線の場合は問題だ。最近さらに懸念すべきは、ウルフバック戦術といわれる、複数の投資家がひそかに協調して株式を買い集め、時機をみて一気に経営権の奪取狙った企業を買い上がるやり方である。三ツ星が対象となり摘発された。2000年代に米国などでみられ、日本でも近年似た動きが目立ち始めた。日本は米国などに比べ、大量保有報告制度違反への当局の取り締まりが緩いとの指摘もある。「オオカミ株主」けん制 株の保有報告違反で初摘発 - 日本経済新聞
両利きの経営はベストセラーにもなった名著であり、そのポイントは、①トップのコミットメント、②組織構造運営を分ける、③共通のアイデンティティ、④リソースの活用である。このうち、①②③は全くその通りだが、④には違和感を持っている。下右図にあるように、リソースには、事業の種類に応じて、汎用性とリソースカニバリ度合の二軸マップでみると、様々なである。
これを別な視点で再考すると、要は、リソースに有形資産的なものと無形資産的なものがある。
子供は遊びやゲーム、スポーツを通して、ルールやチームワーク、リーダーシップを学ぶ。人生ゲームや双六、将棋や碁は、それ自身も面白いが、ルールが重要だ。
頭の良い子供は将棋や碁の天才となるが、自分は、天才でなかったせいか、将棋や碁の定石を勉強するのには関心がなく、そのルールを変更したら、局面がどうなるかに関心があった。将棋のマス目を9×9でなく、増やしたら、とか、駒の数を倍にしたら、とか考え、それで遊ぶことが、より楽しかった。特にワクワクしたのは盤面を遮り、通常の初期の駒の並べ方でなく、自由に相手に見えないように布陣を考え、勝負開始に、お互いの駒の布陣を見せて、戦うとか、である。鬼ごっこや、その類である「泥棒と警察」なども、色々な新ルールを取り入れ、同級生を楽しませていた。
そういう性格のせいか、授業での演習やグループワークでも、様々な遊びルールを入れて、社会人学生に楽しみながら学んでもらっているつもりだ。また、生成AIに対しても、答えられないような問題を出して、遊んでいる。
MOTで、横グシ的な新科目を開発してきた。必要に応じて、人事や組織、といったビジネススクールにある科目以外にも、プロセスエコノミー、エコシステムなどビジネススクールにはなく、教科書として、まだ無いような分野も手掛けてきた。ある程度、知っているとはいえ、勉強しないならない。当然ながら、1科目あたり、30冊程度の本は読み込み、10冊は熟読、できる限り、数十程度の論文も読んだ。著者や専門家とも議論した。
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経済学などは、数学より、相互作用や状態を説明するのに化学あるいは熱力学と相性がよく、経営学は生物学や制御工学と似ている。化学や熱力学の、相図、状態方程式、エントロピーは経営学でも流行しており、生物学でのニッチが経営戦略でも用いられる。エコシステムもそうである。経営学は、これまでも心理学、歴史学、政治学、建築学などを参考に発展してきたが、今後、化学や様々な工学のアプローチを導入することで発展が期待される。
総選挙を与党大敗だったが、ラピダスも含め半導体AIへの政策支援は継続するようだ。空白を埋めず、経産や業界が頑張ったのだろう。公的企業への出資はガバナンス面でもプラスであり、税優遇も当面は当然だろう。GX債、商工中金株売却益も含め、量産開始まで4兆円の資金確保にメドがついただろう。
ラピダスに政府が2000億円出資案 25年度、量産支援 - 日本経済新聞
キオクシアがついに12月18日に東証プライムへ上場する。コード番号は285A。会社側のHPおよびJPXのHPでも1の部が確認。想定売り出し価格は1株当たり1390円、2156万株の新株発行、証券会社や投資家の需要を踏まえ12月9日に売り出し価格を決定。新規上場会社情報 | 日本取引所グループ
12KioxiaHoldings-1s.pdf 募集株式発行及び株式売出しに関する取締役会決議のお知らせ
想定時価総額7500億円。米投資ファンドのベインキャピタルと東芝も売り出す。キオクシアは新株発行に伴い277億円を調達する。ベインの出資比率は56%から51%へ、約200億円を売り出す。東芝は41%から32%に下がり、約500億円を調達。3%保有のHOYAは不変。SKが最大15%の株主となる可能性があり、WDとの関係性や将来はマイクロンとの統合期待もある。
キオクシアHD、12月中旬上場へ 時価総額7500億円 - 日本経済新聞
キオクシア12月18日上場 277億円調達、東証が承認 - 日本経済新聞
これまでの報道に比べ時価総額は半分であり割安だが、25年度へのデータセンタ期待と内外政治情勢もあり上場を急いだようであり、正しい判断だ。
決算短信では3Q決算をレンジ方式で開示。
コロナ以降、久しぶりに、一泊二日で熊本に行った。熊本大学で、半導体の講演とグループワークを行い、講演会参加は、70名と満席で盛況、グループワークも多数参加があり、好評だったのではないか。また、グループワーク発表も、長期でレジリエントな都市を目指し、チップレットサプライチェーン変化を生かし、交通渋滞を無くし、高度IT人材も集まる、魅力的なエコシステム形成というユニークな結論であった。質疑も、台湾有事、またトラ対応、チップレットなど多岐にわたった。
実は、政府広報の動画で、熊本を舞台に登場、一緒に登場されている、熊本大の教授や地元企業について、気になっていたところであった。Moving Forward Together - Investment in Regional Empowerment
それが、今回、動画に出ている研究室を訪問、CRも確認、企業の方々とも講演会でお会いでき、大変良かった。 翌日は、午前中に3つの研究室を訪問、先生方と意見交換をした。
熊本大は五高以来の歴史的な建物と半導体に関するCR棟などが建設中であり、活気にあふれていた。ソニーやTELなどとの関係もあり、また気風かどうか不明だが実践を重視し、スピード感と熱気を感じた。
午後は、オオクマ電子、マイスティア、ハマダレクテックの3社を訪問、一部、工場見学をさせて頂いた。
小学生の頃は、それなりに歴史も好きであったが、高校で全く嫌いになったことも理系に行った理由である。数学や物理は、それなりにロジックがあり「何故か」に答えてくれ、腑に落ちる。学問別の異なる考え方はあるが慣れれば一貫しており、そういう考え方、ロジックを学ぶのも重要である。
それが歴史は年号などの暗記であり、あまりに雑多に覚えることが多い上、「何故」に答えてくれない場合は多すぎる。平和な時代、戦争の時代、景気動向、貧富の格差なども、理由を考えれば考えるほど、矛盾だらけであり、結果、受験に出るから丸暗記ということになる。会社に入り、経済学や経営学も学び、実社会で向きあえば、過去の歴史は、経済経営、特に金融の切り口で説明すると、理由が腑に落ちることが多い。平家の滅亡、戦国時代、江戸幕府の衰退、明治からも概ねそうだ。大国との戦争も、ロシアには勝ち、米には負けたのも金融、資金調達である。それが丸暗記では皆、社会科嫌いになり、どんどん教養も無くなっていく。歴史あるいは過去に学ぶどころか歴史嫌いを作り、過去に学べない国民が増える。
「経済で読み解く日本史(上念司2020年飛鳥新社」は、そういう切り口で書かれ、腑に落ちる名著である。
理科大MOTを3月に退官する前にして、幾つか今更ながら理解したことがある。自身が言わずもがな、当然と思っていたことが、教員側も学生側も必ずしも、そうでなかったことも多い。これは、優秀な方でもそうであるが、説明すれば、納得頂くので、それを最初にもっと丁寧に行うべきであった。
最近、特に思いのが、MOTあるいは広くビジネススクールに対する考えのミスマッチである。大学への期待は①学位、②専門知識は当然である。行っている大学では、③演習やグループワーク、修了ペーパーを通して得られるスキル、また、④学生同志、ゲストスピーカー等との出会いによる人脈形成、そうした多様な場でのコミュニケーションスキル、リーダーシップも大きいが、この③や④は、修了してから気が付く場合が多いようだ。さらに、⑤教員やゼミ仲間次第だが、俯瞰力、思考法などが重要である。企業派遣側、経営トップの期待は、実は、③④⑤である。
「テクノリバタリアン(橘玲)」に政治体制をマッピングした図があり、最近の左翼、右翼、リベラル、リベラリズムを上手く説明している。
これを参考にして、図示すると、横軸は結果平等か機会平等かという決定の結果に関する思想・信念を示す。結果平等というのは、中心極限定理が支配しているかのようであり、機会平等で格差が広がり混乱するのはエントロピーの法則が支配しているかのようである。縦軸は決定プロセスを誰に委ねかの軸で、真ん中の原点をボトムアップの民主主義(決定は多数決)、上が人間でなくAIによるトップダウンで決め、下は君主や帝王、独裁者がトップダウンで決める。大衆にとっては、左上は、いわば野生を奪われた大人しい「家畜」、左下は「奴隷」、右上は、無秩序と混乱が続く応仁の乱のようであり、右下が激しい人間社会である。金融なら、下が、いわばかつての日銀総裁の英断で決め、上は、ブロックチェーンで決めるようなものだ。現在の日本は、程度の差こそあれ原点中心に分布している。かつてのアナキストは左上、左下はソ連や北朝鮮の社会主義、右下が君主制、右上が金融市場主義とも言える。テクノリバタリアンは人間の決定に批判的でKPIを定め、AIで決めるという極端な思想で若手に支持がある。
これを戦略で決まるなら、真ん中が今の経営に近く、企業の意志決定はボトムアップ、あるいは、株主総会、役員会で決める。下がオーナーによるトップダウン経営である。左は、社員の報酬等の差がない、役所などに多いパターン、右は米系の差が大きいというものである。
経済でも経営でも、実態把握が困難になっている大きな理由は、無形資産の存在増大にもかかわらず、それに政治や企業が適切に対応していないからである。見えざる資産、モノからコトへ等も同様である。「無形資産経済見えてきた5つの壁」(ジョナサン・ハスケル、スティアン・ウェストレイク著2023.7東洋経済)は21世紀経済が①停滞②格差③競争不全④脆弱性⑤正当性欠如の5つの壁が無形資産経済に対応していないからであると説いた上で、アカデミア、金融、都市などからの視点から改善点を提案している。無形資産経済 見えてきた5つの壁 | ジョナサン・ハスケル, スティアン・ウェストレイク, 山形 浩生 |本 | 通販 | Amazon
日経新聞2024年10月24日の経済教室で元内閣府事務次官松山氏は「無形資産への投資、政策や経営の判断基準に」で、「無形資産への投資低迷は長期停滞の要因、ウェルビーイング向上を目標に投資促せ、全体像把握へ無形投資の統計整備を急げ」と論じている。無形資産は有形資産に比べ①投資の利益が周囲や社会に広く波及する外部経済効果(スピルオーバー、スケラビリティ)、②所有権が不明でステークホルダー関係が複雑、③不確実性が高い等の特徴から、社会的価値を生むが、効果が見えにくく統計整備が必要と指摘している。無形資産への投資、政策や経営の判断基準に 松山健士氏 元内閣府事務次官 - 日本経済新聞
実際、そもそも、無形資産、見えざる価値、コト価値などのウェイトが、マクロ経済、産業界、製品といったレベルで、どの位なのかの先行研究は少なく、小生が研究イノベーション学会で発表した研究がある程度である。kouen38_208.pdf 一般社団法人 研究・イノベーション学会 | 年次学術大会
直近の学会では、価値をテック、マネジメント、ビジョナリーに分けたが、無形資産どころか、単位で計測しにくい価値(テック価値以外)は1/3以上はある。テック価値も、無形資産は多い。
特に、これから急ぐべきは、無形資産が多い企業への資金調達である。
GAFAMのイーロンマスクなど、テクノリバタリアンが注目している「世界を支配する10の式」があるそうだ。統計や金融で使われるものだが、これを、ネット社会で、マーケティングに使い場合も多い。
① ベイズの定理:不確実な情報に基づいて意思決定をする際の条件付き確率。
② 正規分布:多くの自然現象やデータ分布を説明する中心的な分布。
③ 回帰分析:データ間の関係をモデル化し、予測に利用。
④ ロジスティック関数:成長や拡散のモデリングに使われる。
⑤ ネットワークの中心性:ソーシャルネットワークにおける重要なノードを特定。
⑥ パレートの法則(80/20の法則):多くの結果が少数の原因に集中する現象。
⑦ ゲーム理論のナッシュ均衡:競争や協力が関係する状況での安定的な戦略。
⑧ ランダムウォーク:金融市場や物理現象の動きをモデル化。
⑨ エントロピー:情報理論や熱力学における不確実性の測定。
⑩ モンテカルロシミュレーション:複雑な問題をシミュレーションで解決する手法。
この多くは、MOTやゼミでも紹介し、ネットワーク分析は、グラデュエーションペーパーでも、毎年、お馴染みである。エントロピーやモンテカルロシミュレーション等は、今年から挑戦である。また、10の式にないのが、ベイズの定理と関係するが、因果推論ダイアグラムである。
この10の式の前に、世界を変えた17の式というものがあり、ピタゴラスの程度から始まり、ブラックショールズ式まである。
Amazon.co.jp: 世界を変えた17の方程式 : イアン・スチュアート, Ian Stewart, 水谷 淳: 本
数学と物理と応用が中心であり、①から④までは、高校までで学ぶが、あとは大学で学ぶものが多く、文系は知らないものが多いだろう。そこで、MOTでは、科学技術基礎という科目で紹介したこともある。また、⑦、⑫、⑮、⑯は、支配する10の式と関係する。
① ピタゴラスの定理(三平方の定理)
② 対数における真数の積と対数の和
③ 微分・積分
④ 万有引力
⑤ 複素数(虚数単位)
⑥ オイラーの多面体定理
⑦ 正規分布(確率密度関数)
⑧ 波動方程式
⑨ フーリエ変換
⑩ ナビエ-ストークス方程式
⑪ マクスウェルの方程式
⑫ 熱力学第二法則(エントロピー増大則)
⑬ 特殊相対性理論(質量とエネルギーの等価性)
⑭ シュレディンガー方程式
⑮ 情報理論
⑯ カオス理論
⑰ ブラック-ショールズ方程式
ロームが11月8日に発表した決算は、通期が営業赤字に下方修正という厳しいものであった。売上は4800→4500億円、OP140→-150億円に下方修正。ただ、EBITDAは1067→742億円と黒字を維持。同社の営業赤字は2012年度の赤字9億円以来であり、1990年頃からウォッチしているが、珍しい。年間のセグメント別損益、アプリケーション別損益の修正内容は開示されていないが上期実績は産機が厳しく、セグメントはSiC含む半導体素子が売上1020→972億円、OP130→-104億円と売上減よりOP減が大きく、SiCの立上げロス等と推測される。株主・投資家情報 │ ローム株式会社 - ROHM Semiconductor
シリコンサイクルはメモリとアナログパワーで2年程のタイムラグがある。メモリは底打ちから急回復、アナログパワーは底である。ルネサス、日清紡マイクロデバイスやトレックス等も下方修正である。
日経では生みの苦しみとコメントしている。EVに賭けたローム、「高収益」復活前の苦しみ - 日本経済新聞
この10年でロームは京大と提携する等、SiCの技術力を高めてきたことは事実であろう。90年代に部品から半導体に転換し揶揄されたが、高須氏がR&Dを、疋田氏が事業を推進、沖電気カリスマオーナーの佐藤氏の元、国内で有数の半導体メーカーとなった。2008年には、沖電気から半導体部門を買収したことも、技術力を厚くした。SiCでは、2009年にSiクリスタルをシーメンスから買収し、ウェハー供給に先手を打った。赤字が続いたが今それが効いている。
現在の政治情勢に混乱、また、トランプ圧勝、かつ彼がイーロンマスクや若者からの支持得られる理由については、テクノリバタリアン(橘玲2024)が参考になる。氏の書を元に、政治情勢をマッピングすると、下図のようになる。横軸は一般人が結果平等か機会平等か、縦軸は、誰に決定権があるかの軸で、原点が、民主ある意味愚民大衆である。下がトップダウンだが、伝統的な君主や党首、上もトップダウンだが人間でなく、人工的、市場競争、KPI主義で、自動的に決まり、人間的な介入はしない、というものである。金融で言えば、「帝王的」な日銀総裁が決めるか、ブロックチェーンか、といえば分かりやすい。人間が決めるとどうしても部分最適になり、全体最適にならない。予めルールを決め、目指すべきKPIに従って、自動的、AIが決定すれば、いいというものである。今の若者は人間不信(上司や親、年長者)であり、AIを信じる傾向にある。馬鹿な政治家など人間でなく、AIがマシという考えだ。
リベラルといっても、その極端なのが、イーロンマスク等、白人の高IQに多いテクノリバタリアンであり、トランプも市場主義ビジネス主義でもあり、近い面がある。最近は右翼も左翼も平等という意味では近い。左側が共産主義、右下が大日本帝国など国王主義などである。自民党は、原点のやや右下、日本はど真ん中やや左側ではないか。
理科大での教員生活も残り数ヶ月となった。あっという間の8年である。収入は少ないが、ストレスやリスクは少ないと予想していたが、ストレスだらけで、見えざるリスク(背中から刺されるような)もあり、全く予想と真逆だった。
これまでの人生の軌跡を、ストレス(リスクが高いとストレスも高い)-リターン(収入だけでもない)曲線で描くと、低ストレス(リスク)-低リターンの野村総研研究員から始まって、アナリストに転じ、更に、外資系アナリスト、ヘッジファンドと、どんどん高ストレス(リスク)-高リターン(収入等)、そこで、限界、天井を打って、低リターンでもいいから、低ストレス(リスク)志向となり、一周回ったと考えていたが、理科大教員は高ストレス、低リターン(少なくとも収入)だったと認識している。あるいは、収入は低いが多くの学びや人脈形成もあったという意味では、リターンはカネでなく見えざる資産を頂いた、あるいは、社会還元、社会にリターンを返したともいえる。
若い時のストレス、苦労は、R&D投資のようなもので将来価値にプラスであり、リスクを取って経験すべきだろう。しかし、50歳以上は、プラスよりマイナスが大きい。これは、心身のストレス耐性が弱体化するからである。
組織構造や人事体制は、個性を無視して制度設計されるものであろうか。アカデミアだけでなく、マスコミや企業でも、そういう考えなのであろうか。
長年の知己である日経の西條氏が荏原製作所等のケースで「人事権なきトップは可能か」と論考している。社外取締役起用、執行と監督の分離、重要な決定は取締役会の議論を経る等の正論、建前論であり、インテグリティ等がリーダーシップの源泉と唱える。影の有力者や正式なプロセスを経ない、インフォーマルな人間関係や打合せでの決定を批判している。荏原や北国FHDは、こうしたガバナンス改革で評価されている。人事権なきトップは可能か 問われる求心力の源泉 上級論説委員 西條 都夫 - 日本経済新聞
もちろん、正論は、それが理想だが個性や好き嫌いもある。至急の判断もある。ロボットのようにはいかない。
キオクシアの業績が急回復、再度、IPOの機運が高まっているようだ。2Q決算は、売上4809億円、営業利益は1660億円(35%)、DEPも792億円ゆえ16%と妥当だ。EBITDAは2452億円。y/y、q/qでも増収増益、過去最高である。ビット需要はq/qで10%増、単価も同1桁半ばのアップ(1Qは20%アップ)、AI活用でDCが好調、AI搭載モデルで買替も寄与。上期は売上9094億円、営業利益2919億円、EBITDA4496億円。2025年3月期第2四半期連結決算概要 年間では売上2兆円、営業利益6000億円、EBITDA1兆円も夢ではない。これは、国内では、ソニーやルネサスを超えて、トップの規模になる。
IPOの憶測記事もある。12月~6月のタイミングで手続き短縮方式をとるようだ。JPXのサイトやキオクシアのHPには記載はない。キオクシア、25年6月までに上場 初の手続き短縮方式 - 日本経済新聞
AI若林教授を開発してもらい、自身とゼミで使っている。基本は生成AIであり、自分の著書著作など10万字以上をデータとして食べさせて、できたものである。
まず、若林の意見がマスコミなども含め普及している場合は、一般のチャットGPTとそれほど変わらないが専門的なアウトプットが出てくる。経営重心などそれほどではない場合は一般なチャットGPTとは大いに差別化できる。また、日立や東芝、半導体の話題は、良いアウトプットだが、鉄鋼メーカー等、若林の専門外のことを聞いても、チャットGPTなどと同様の回答しか出てこないのは想定通りだ。
内外で、庶民の暮らしの厳しさが予想以上であり、そこに地域間や世代間格差がある。日本では、会社では、年功序列からジョブ型、少子高齢化で年金不安がある中で、本来は最も活躍すべき、35歳から55歳、ミドルマネージャーたちが厳しい現実に直面し、ヤル気を阻害されている。
世代別に生きてきた期間のGDP成長率と失業率が異なり、それが自身の無意識の価値観になっているだろう。高度成長期なら明るく成長志向になるだろうし、低成長ばかりなら成長志向は難しい。今、元気なのは70歳以上が多いのも、そういう背景もあろう。
既に報じられたように、接戦という日米マスコミの殆どの予想と異なり、大統領選挙は、トランプ圧勝だった。日本にとっては困難も予想され、外交政策では、対中対ロ政策が変る上、特に、台湾有事対応が懸念、通商政策では中国関税強化であり、米製造業回帰で、日本の半導体政策の練り直しも必要だ。ただ、が、これが米国民の選択であり、それほど、米大衆は経済的に厳しい、ということだろう。
日本のマスコミは、米マスコミのコピペであり、更に基本的に、「インテリ意識高い系」であるため、マスコミは、トランプが嫌いであるというバイアスがあり、期待と客観的な予想が、混乱している。多くのマスコミが全く予想を外した背景は、マスコミの劣化がある。アンケートという手法が、改めて問題であり、動画やSNSをあげ、そこからデータ分析を駆使する最近の選挙戦略を理解していないことも大きい。むしろ、「賭けサイト」の方が正しかった。
自民党大敗の後は、米大統領選挙である。もしトラならば、色々な前提が変るだろう。まず、台湾だが、有事の際に米がどう出るか不明である。これまでであれば、TSMCの重要性も含め、米は台湾守る姿勢だが、これまではトランプ氏は台湾やTSMCにネガティブな発言が多い。台湾どころか、日本の周辺も不明であり、有事の際に日本の台湾対応もどうなるだろうか。
また、通商政策では、当然ながら、アリゾナへの誘致促進も含め、一層、台湾企業の米国進出に圧力をかけるだろう。また、中国にも関税をかけ、脱中国の動きは増えるものの、日本に来るかどうかは不明であり、日本にも圧力をかけるだろう。鉄鋼や自動車などが中心だろうが、半導体政策に対してもあるかもしれない。
インテルの2024年7~9月期の決算は最終赤字2.5兆円だった。過剰投資の製造設備の減損31億ドル、モービルアイの暖簾償却、繰延税金資産取崩99億ドル、従業員15%の1.5万人の28億ドルのリストラ費用で赤字が膨らんだ。ファウンドリ部門は赤字が3倍に膨らみ、58億ドルと厳しい。株価は構造改革一服と見て反発した。インテルの7〜9月決算、過去最大の2.5兆円赤字 巨額減損響く - 日本経済新聞
インテルはダウ平均構成銘柄から外され、代りにNVIDIAが採用された。インテルは99年から25年ダウ構成銘柄だったが感慨深い。ダウ平均、NVIDIAを構成銘柄に採用 Intelは除外 - 日本経済新聞
80年代の見事なDRAMからCPUへの転換、90年代にはPC向けにMSとWINTEL連合で黄金期を築いた。インテルの素晴らしい点は、CPUやフラッシュメモリ等の技術開発だけでなく、ユニークなビジネスモデルを開発したことである。
自民党の大敗で、半導体政策がどうなるか心配の声が多い。この10年、安定政権の中で、2020年前後から半導体政策は強化され、5兆円近い資金、法改正、TSMC誘致、ラピダス、その他、多くのNEDOプロジェクト、大学高専など教育研究支援、政治家や官僚、業界関係者の努力で、ここまできた。しかし、政治混乱なら、長い氷河期、あるいは逆風が吹くのか。長期で成果が出る半導体等のイノベーション政策は継続性、一貫性が不可欠であり、政権交代で右往左往し、ふらつくようでは、過去の資金も無駄になる。
残念ながら、落選となった甘利明先生は、政権が変っても継続しイノベーションが推進される自動装置、エコシステムが重要だと何度も説かれ、そのイノベーション自動生成装置(産官学金のエコシステム)を作れば仮に自民が負けてもいいのだと、数ヶ月前、ご一緒した講演パネル討論会で言及された
総選挙は自民党の惨敗だった。理由はマスコミが報じている通りだろう。株価は、マスコミが、直後に月曜日は大暴落と報じていたのと逆に上昇、円安となった。おそらく、総裁選で株式市場が期待していた高市氏ではなく、石破氏だった時点での大暴落で織り込んでいたのかもしれないし、一部、報道があったように、玉木氏が率いる国民民主の躍進がポジティブだったのかもしれない。
今年も研究イノベーション学会が26~27日に開催され、若ゼミは27日に早朝から参加した。研究イノベーション学会は、以前の名称は、研究技術計画学会といい1985年に創設された。野村総研で、研究所の研究をしており、当時、日立の中研所長だった武田さんや住友電工の中原さん等にお会いする中で、皆さん、特に、住友電工の村上路一さんに勧められ、86年頃に入会した。最初、数年は分科会にも参加、編集委員会にも属したりしていたが、アナリスト業務が忙しくなり、幽霊会員の如きだった。ただ、幸い、学会誌が送られ、勉強はしていた。
大昔から多品種少量生産は大いに語られているが簡単ではない。固定費がある以上、稼働率を上げなくてはならず、少品種大量生産が有利に見える。しかし、需要を超えて、生産すれば、在庫の山で、在庫評価損、そして翌年の工場稼働は落ち稼働損となる。多品種少量生産、さらに変種変量生産は見果てぬ夢だ。
EMSにおける鴻海に対する沖電気の健闘、ファウンドリにおけるTSMCにラピダスの期待を込めて、こうした論点について考察する。
沖電気と日清紡マイクロデバイスが、CFBを使ったアナログチップレットに技術について10月17日に共同で説明会を開催した。CFBは、沖電気独自のCFB®(Crystal Film Bonding)技術であり、鈴木氏が開発、長年、事業化に取り組んできた。これにより、薄膜アナログICの3Dヘテロジニアス集積に応用可能であり、2026年の量産化を目指す。これまでもCFBの応用は多かったが、チップレット時代に花開いた。チップレット技術をローエンドなアナログICの3D集積への適用に際しては、二つの課題があったが、両社の技術により解決された。
日清紡マイクロデバイスとCFB技術による薄膜アナログICの3次元集積に成功|プレスリリース|OKI
アナログICを薄膜化して3次元積層、レガシープロセスで:日清紡マイクロデバイスとOKIが共同開発(1/3 ページ) - EE Times Japan
日経新聞記事によると、日本企業のR&D投資効率が低迷、GDP比のR&D規模は他の先進国と大差ないが、その投資が利益を押し上げる効果を、比較すると、この30年間で他の国より大きく落ち込んでいるようだ。R&D投資効率「失われた30年」 革新生む新興の育成急務 - 日本経済新聞
グラフを見ると、いずれも低下、90年代前半は日本が仏と並んでトップだが、その後、急落、更に、リーマンショックの後で落ち込んでいるようだ。逆に、独仏が90年代後半からしばらく持ち直している。
これから言えることは、日本の場合は、①エレクトロニクスの競争力と連動している、②基礎研究シフトがおきた時期と連動している、③NTTの通研解体と連動している、④日米摩擦の後でもある、等が言える。独仏は、EU統合やユーレカ計画とも関係する。
今年も、CEATECが幕張で開催された。25周年であるが、今年は、東京モーターショーから発展した「Japan Mobility Show Bizweek 2024」も併催された。CEATECは、JEITA主催、Japan Mobility Show Bizweekは自工会主催である。15日が初日で午後から一般参加、18日まで開催。25周年特別企画「AI for All」も用意され、AIを中心とした出展が多い。カンファレンスでは100超のセッション開催。
昼過ぎから16時頃まで各ブースを見学、特にJEITA半導体部会のブースは今年も半導体人生ゲームがある。午前はプレミアムタイムであり、また、隣のJapan Mobility Showへの参加者もあり、また衆議院選挙スタートもあり、政治家や官僚系などVIPの方々は見えず、全体的にやや少なめな印象か。その中では半導体ブースは若者中心に訪問者が多いようだった。
日本の大企業で新規事業が上手くいかない理由には、VBや海外のように「0→1」でなく、「-1→0」があるからだろう。これは、多くの経営者からも賛同を得て、その前提で新規事業戦略という授業をMOTで2023年から開講したが、大変好評だった。新規事業にはリソースがいるが、他部門と新人しかいない。多くの場合、そのトップは成功体験も多いエースでも、他部署からのメンバーは「使えない」「あぶれ者」や過去に新規事業で失敗した人間が多い。その失敗はそれ自身だけでなく、様々経営環境の変化もある。スキルが無いか、スキルがあっても、経営環境等が不幸だった場合などは、恨みや怨念を持つ場合も多い。
九州と台湾が連携して、台湾の新竹サイエンスパークをモデルに、九州半導体パークを再現しようとしているようだ。九州はもともと、70年代から、シリコンアイランドと称され、半導体工場も多く、既に、インフラや産業クラスターが充実している。また、九州と台湾は、面積や形状も近い。
TSMC熊本誘致は大正解だったが、これから更に発展させるとなると、台湾の5欠と同時、用地に加え、水、人、電力(将来、EUVも入れるなら原発も必要)、大学などハイエンド人材もいる。地震のリスクも同じだ。歴史遺産もあり、地勢的に、熊本、福岡、佐賀、長崎は厳しく、大分、宮崎、鹿児島は交通が不便だろう。そもそも、新竹は90年代に大発展したが、毎年、訪問するたびに、様変わりして、ショックを受けた。そこでは、海亀と言われる米留学からの帰国組があり発展を支えた。
ENEOS傘下の非鉄大手JX金属が10月8日、東京証券取引所に上場申請と発表した。ENEOS完全子会社から上場によりHD持ち株比率は50%未満になる見通し。時価総額は7000億円超。JX金属は上場を機に資源・製錬から半導体材料に事業の軸足を移すようだ。上場時期は2025年3〜4月予定、ENEOSにとってはコングロマリット・ディスカウント解消、JX金属は半導体で更なる成長を目指せる。 JX金属が上場申請、時価総額7000億円 東京メトロ上回る - 日本経済新聞 (nikkei.com)
今後、デジタルインフラでは無線技術は極めて重要である。その中で、NTTドコモは基地局を富士通製からノキアなどに変えるそうだ。5Gで先行する海外製を増や、し国産機器優先の従来方針からオープンな調達先開拓に転換し課題の通信品質改善につなげる。2025年度までの2年で計1000億円規模を充てる。NTTドコモ、基地局の国産優先を転換 5G改善へ1000億円 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
かつて、富士通はガリヒ素デバイスからシステムまで無線にも強かったが、残念だ。ただ、富士通は、よりシステムやソフトにシフトするそうだ。NECや、日立国際電気、日本無線にも期待したい。
他方、携帯電話などの通信キャリア向けとは異なるが、今後注目すべきは防災無線や業務用無線などもある。そこで注目すべきは、アマチュア無線が祖業のJVCケンウッドである。業績回復が著しいが無線事業の貢献だ。JVCケンウッド、祖業開花で株最高値 次はカーナビ改革 窪田真奈 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
石破総理就任で国内でも一層防衛産業が注目されている。世界では、数年前から、株式市場やファンド、VCからも「防衛テック」として関心があったようだ。
[FT]防衛テック、投資の是非は 革新加速も倫理面に懸念 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
ウクライナや中東での戦争で起こっていることと、過去の戦争との差異は、前線からのフィードバックに応じて急激なイノベーションを進めてVCや裕福な献金者から資金を調達、国全体の戦費を拡大であり、いわば戦争の「民営化」であり、北米と欧州全土で防衛テック投資が急増する背景になっている。
これまでの半導体政策と異なり、今回は、日本は、TSMC熊本誘致、ラピダス千歳建設など社会実装で先行と評価、米はアリゾナで遅れていると言ってきたが、注目すべき点もあり、日本での見方と異なる面もあるようだ。[FT]米半導体戦略に潜む危険 テック各社 湾岸諸国と提携 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
日経FT誌のラナ氏によると、9月上司に試験生産で台湾の工場と同様の歩留まりを実現、また労働者の育成や教育でも大きな貢献があるようだ、等と指摘している
今年度のノーベル賞は、物理学は基礎原理、化学賞は応用、に関するものであり、最近の生成系AIのインパクトにノーベル賞の委員会も影響を受けたようだった。
ノーベル物理学賞に「AIの父」、ヒントン氏とホップフィールド氏 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
生成系AIの黎明期、その基礎には、日本の甘利俊一先生やNHK福島氏の貢献がある。9月30日のブログで、理科大MOT秋入学修了式での石川学長祝辞で「甘利先生の生成系AIの貢献とそれを日本が価値、イノベーションに繋げることができなかったことの悔しさと反省」についての話題を紹介した。もしかしたら、石川学長はノーベル賞のこのことを知っておられたのかもしれない。
【ノーベル賞2024】ディープラーニングの基礎、日本にも 福島邦彦氏や甘利俊一氏らが貢献 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
日経が生成系AIに関連して、世界を変えた7つの論文を紹介している、これはなかなかいい記事だが、ブレークしたのは2012年つい最近のことであり、また、カナダが多いことに改めて驚かされる。確かに、カナダは生成系AIなどICTのメッカであり、欧米人と中国系が入り交じり、独特の文化が醸成されかつ科学技術政策もユニークだ。2012年は、日本はリーマンショックや東日本大震災など厳しい時代であり、アベノミクス前であったことが悔やまれる。もう少し後なら少しはチャンスを活かしていたかもしれない。
この中で、原理や応用は①②④⑤⑥で、③と⑦は経済社会への影響だが、実は③が恐ろしい内容であり、プリファードネットワークの岡野原CTOの著書にも紹介され、以前のブログでも取りあげたが、R&Dのあり方を変えるものだ。他方、⑦は昔から良くある論文で同一子するのは違和感がある。
AIを劇的進化、世界を変えた7つの論文 テクノ新世 もっと人間らしく ルポ編(1) - 日本経済新聞 (nikkei.com)
アカデミアでも企業内でも産業界でも横串や横連携は難しい。それがイノベーションの妨げにもなっている。ここ数年、自分なりに、研究あるいは実践的に試行錯誤しているが、その鍵というか理由は第一に、「固有周期の差異、時間軸のレンジの差異で、これを「テレワークやフレックスタイム制度」が余計複雑にしている。そして、第二に「人事の流動性が低い日本ではクリティカルに効くが二刀流など複数の専門よりも、この道一筋を尊重し深堀する文化」ではないか、と思うようになった。
個人でも組織でも活動サイクルが異なる。メールや連絡、特に会合のアポイントがきた場合、どの位の時間差で返事をするか、その返事の時刻は全く様々である。自身がアポイント系は調整者のことを考えて、ほぼ即答するが、1時間から数時間、数日まである。酷い例は数週間だ。また、朝一で来る場合、夕方来る場合、夜中の場合もある。通勤中、会議中などは即答が難しい。
アップルウオッチの世界シェアは初代から10年たつが、10%まで来たがスイス勢に及ばない。自身も愛用しているが意外と低いと感じた。アップルウオッチの世界シェア1割 迫る中印勢、安さ強み 初代から10年、スイス勢追う - 日本経済新聞 (nikkei.com)
2015年に、経営重心の視点で分析した。時計かウェアラブル端末かで異なり、時計ではないとの考えだった。それが故に、日本のカシオも検討しているとの認識である。
日米欧の中国離れが加速している。EV不振や不動産冷え込みも含め、景気減速による現地ビジネス撤退や、競争力を中国企業に奪われ結果、工場撤退などもある。
米企業であるIBM、GM、マイクロソフト、アップルは、R&D部門が多く、米中摩擦、国家安全保障が背景だろう。IBMが中国R&D閉鎖、1600人超に影響 現地メディア報道 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
米の2023年の対中投資は前年比4割減という。2014年以降の10年で5割減という。知財リスクや従業員のリスクもある。IBMやGMが中国事業縮小 アメリカの対中投資、前年比4割減 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
経営学や経済学は検証が大好きだ。F検定やt検定から、一時はp値が大流行、今は因果推論が流行している。その中で、政策をきちんと評価検定しようということで、EBPMが注目されている。半導体政策でも、EBPMでTSMC誘致効果を検証されている。欧米では、1960年代まで遡るが、本格化はオバマ政権2016年という。米国におけるEvidence-based Policymaking(EBPM)の動向 (rieti.go.jp)
日本においては、EBPMという用語を用いたのは、2017年だという。それまでの政策評価(正当化)は、有識者会議などが中心であった。第1章 我が国におけるEBPM の取組 (ndl.go.jp)
世界の政府債務が91.4兆ドル(1.3京円)と過去最大になったそうだ。IIF(国際金融協会)が発表した。IIFは、四半期毎に世界の国々の家計/企業/政府/金融機関が抱える債務を集計分析、報告書「グローバル債務モニター」として公表している。Institute of International Finance (iif.com)
気候変動に伴う投資資金の多くが政府債務によってまかなわれている現状を踏まえ、世界の政府債務が2030年までに145兆ドル以上、50年までに440兆ドル以上に急増するとの予測も公表した。GDP比300%だが、日本も多い。世界の政府債務、最大の92兆ドル 気候変動で急増懸念 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
かつて、90年代にインターネットが登場、普及した時代、それは自由な空間であり、真実の宝があり、民主的であった。回線は不十分であり、画像も稚拙であり、動画も少なったが、本音や良心もあり、匿名性もあった。しかし、PCからスマホの時代になる中でGAFAも登場、PFモデル、フリーミアムモデルが導入され、多くの弊害が生まれた。メールも含めて、日々、偽メール、ウイルス、個人情報漏洩、監視リスクが気にしないといけない。PWも二重三重になる。検索サイトも商業主義に溢れ、ほぼ広告ばかり重要な情報や欲しい情報は無く、あっても確認に時間を要する。
その中で、政治的な話や選挙においては、デマも含め様々な動画の応酬合戦となっている。日々色んな情報が送られ、頭や心が麻痺する。精神的なマイナス面も多くなっている。
生成系AIの勢いが止まらない。まさに、イノベーションが進んでいる。そして、DCの在り方も変えつつある。生成系AIを前提としたDCは、これまでのハイパースケーラーと言われたものでも数百MWだったが、数GW級になる。カーボンニュートラルの観点から、再生可能エネルギーを使った地産地消や、電力網と情報通信網の最適化、最適マッチングをしても、なお、容易ではない。世界では、グーグルのCEOは、AI-DC拠点で原発活用検討を表明した。既に、ウランは需要増で原子力ルネサンス以来の高値になっている。DXのAIとGXの原子力が、DCで不可分のものとなりつつある。
かねてから、NEDOプロジェクトにも採用されていたが、後工程の研究ラインが千歳で着工が始まり、具体化する。ラピダス、「後工程」研究ライン着工 電力消費10分の1狙う - 日本経済新聞 (nikkei.com)
セイコーエプソンの液晶ラインを使い、9000㎡クリーンルームを設け、25年4月から装置搬入を始め、26年4月に稼働するため、前工程より早い。
政治が大きく動いている間に、総務省経産省から、デジタルインフラ(DC等)中間取りまとめ3.0が公表された。中間取りまとめ(中間取りまとめ1.0)が2022年1月に公表された。これは「重要性が高まっているデジタルインフラの整備(DC等)に当たり、レジリエンス強化、エネルギー・通信の確保といった立地に係る要件を検討するとともに、経済安全保障の観点から担い手となる企業の健全な育成を図るため」が目的であり、当初から有識者として関与している。座長は慶応教授の村井純先生である。
石破新総理の所信表明演説をTVで視聴した。いつも視聴しているわけではないので単なる感想だが、内外の政治家スピーチは聞いているが、半導体というキーワードは確認でき良かったが今回は色んな政策満載だがストーリー性もなく分かり難い印象だった。
リスクリターンといえば、投資する側の論理あるいは議論であり、投資される側からの議論はこれまであまり無かったように思う。投融資される側は、リターンに相当するのは株主コストや利率であり低い方がよく、リスクは期間や経営への介入度合や関係性だろう。それが近年多くのMBOで特に時間軸での認識差が問題となっている。これをGX債に絡め、今度、研究イノベーション学会で発表する。
もはや、日常業務にも研究にも検索は欠かせない。辞書を使うことは減ってきた。むしろ、このブログも含め過去書いた書類を検索することが有用だ、先日、原稿〆切に終われていた時、長年愛用しているExcite検索がトラブルで使えなくなり、グーグルやウィンドウズの検索を使ったが、全く使い物にならず、困り果てた。以前に、先行研究などが不十分だと指摘したら、ゼミ生などから「なぜ先生はそんなに検索が直ぐに出てくるのか」と聞かれたが、キーワードに加えてExciteらしいと分かり学生にも勧めている。
グーグル等ではどうしても一般的なものが上位に出てくるので、自分の思惑にヒットしない。MS検索などは論外のレベルだ。長年Exciteを使っているせいか、ある程度、PCだか検索エンジンが賢くなっているのかもしれない。生成系AIを使ったが、チャットGPTはまだいいが、Copilotは使い物にならないレベルで気の利いたキーワードを入れた検索の方がマシだ。チャットGPTも含め一番困ったことは平気で「ウソをつき」(ハルシネーション)、簡単な計算間違いをすることである。結局、自分で検算をしないといけない。更に。生成系AIは答えの範囲が狭く、Excite検索で出てくる意外な関連付けが出てこない。Exciteで検索しながら、自分で自問自答して知識が広がるが、生成系AIは全くダメである。
日経新聞によれば、「オープンAIがチャットGPTに新音声機能アドバンスト・ボイス・モードを加え、最大の違いは応答の速さで、3〜5秒かかっていた人の呼びかけへの反応時間を平均0.3秒に縮め、不自然な間がなくなり、AIとのやりとりに人間味が増した。GPT-4oを基盤として動き、音声を文字に変換せず、音声のまま処理する。声のトーンや話す速さもデータとして取り込み分析、利用者の感情に合わせて返答内容を変えられる」らしい。ChatGPT、会話の「間」0.3秒に 人間味増し悪用リスクも - 日本経済新聞 (nikkei.com)
いま、研究費を使って「AI若林教授」を開発してもらっているが、要は。私が書いた色々な文章をデータベースとする検索エンジンだ。
先日、秋入学生の修了式があり、ゼミで7名を送り出したので指導教授として、出席し祝った。春入学は大人数で武道館での挙式で学部や学科毎の代表である総代が学長から証書を頂くがが、秋は少人数なので大学の講堂で開催され学長から直々に全員が修了証書を渡され、全体で記念撮影があるのもメリットだ。対象は修士と博士だが、秋入学ということもあり、外国人が半数を占める。
学長からの祝辞は、いつもの「知識を価値創造に使う、多様な論理性の取得」に加え、今回は生成系AIの話であり、その先駆けが甘利俊一先生だったことが話題だった。
自民党で石破氏が新総裁となった。高市氏なら半導体デジタル戦略は既定路線の継続だが、石破氏は、あまり発言では半導体デジタルがなく懸念ではある。大和証券の著名ストラテジスト木野内氏によれば、高市氏と石破氏を対立してマッピングしているようだ。共通は防衛であり、原発核融合と再エネを対比、高市氏にはある量子コンピュータ等がない。差異はアベノミクス、金融政策だろう。いずれも半導体は無いが、どれに成ろうが、必須の基盤であろう。
日経新聞によるとラピダスに3メガバンク、DBJに加え、NTTやソニー等が出資の模様であり、合計1000億円を目指すようだ。
3メガバンク・日本政策投資銀行がラピダスに出資へ 最大250億円 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
NTT・ソニーグループなど、ラピダスに追加出資意向 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
NTTやソニーの他、NEC、キオクシアも応じるようだ。デンソーの他、ソフトバンクは言及がないが、トヨタなどもありうるだろう。
今年も研究イノベーション学会が10月末にあるが、25日の〆切に、自身の予稿を5本、ゼミで30本を提出した(予稿は、1本5000字程度で、4-6頁である)。
年々、知力、気力、体力も衰える中で、自身の5本とゼミ生25本程度を仕上げるのは、今年は、正直きつかった。特に、今年は例年より、バラエティーに富み、高度なものも多い。しかし、日頃から温めている、アイデアを自分なりに検証を試み、まとめ上げられたものを眺める爽快感は格別で、癖になる。また、ゼミ生が、長年社会人として悩んできたMOT的な多様なテーマを、議論し、アドバイスして、予稿として完成させ、お互いに、共有し、議論するほど楽しいことはない。半数程度は、学会発表経験もあるが、学会発表経験もなく、当然、予稿を書いた経験もないゼミ生を一から指導し形にするのも大変だが、彼らの自信に満ちた顔を見るのも嬉しい。
ゼミ生の予稿指導は今年が最後であり、寂しい感じもする。しかし、体力気力からも、そろそろ限界だろう。あとは、自身でどこまで、研究成果を発表し続けられるかだ。
日経新聞によると、「上場時期が従来想定の10月から遅れる」「半導体株が世界的に軟調に推移するなか上場後時価総額が目標の1兆5000億円超に届かないと判断、上場方針は維持11月以降の早期上場を目指す」としている。キオクシア、上場11月以降に後ろ倒し 半導体株の調整で - 日本経済新聞 (nikkei.com)
ロイター、その他も同様の報道である。色々マスコミが探っており、他方で、ステークホルダーが、アドバルーンをあげているのだろう。
リガクが上場するようだ。予定日10月25日。新規上場会社情報 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
日経新聞報道では、上場時想定売り出し価格1230円から時価総額は2770億円程度となるようだ。上場に伴い大株主である米大手ファンドのカーライルが75%の保有株式の一部を売り出しカーライルは4割程度になる模様。リガク、10月25日東証プライム上場 時価総額2770億円 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
リガクは1951年設立、X線分析装置等が主である。2023年12月期連結業績(IFRS)は、売上収益が27%増798億円、粗利益467億円(58%)、営業利益2.4倍の152億円(19%)、EBITDA197億円、海外売上高比率7割である。 2024年12月885億円、粗利546億円(62%)、営業利益174億円、EBITDA220億円である。中長期計画を9月20日に公表しているが売上成長率10%、調整後EBITDA率20%台後半、R&D比率9%、CAPEX比率5%としている。リガク・ホールディングス株式会社 (rigaku-holdings.com)
インテルが、ほぼ40年ぶり、日本のDRAMメーカーとの競争に敗れ、DRAMから撤退以来の苦境に陥っている。リストラ1.5万人である。ファウンドリ事業は厳しく、SCMでも難しかった。光電融合では技術力はあるものの、先端パッケージ技術は弱く、チップレットではUCIeコンソーシアムを立上げたが、OSATへのエコシステムが強いわけではない。M&Aでも、FPGAを買ったが十分でないようだ。また、「コピーエグザクトリモデル」がTSMCなどの思想と真逆である。そもそも、先端ロジックではファブレス/ファンドリモデルが主になる中で、IDMを貫いてきたが、ビジネスモデル転換が難しかった。
米では、官民で救済案が出ているらしい。ファウンドリを分社案もある、Qコムからの買収提案もある。米もチップス法で、半導体復権といっても、肝心の主役がこれでは難しい。まさに先端ロジックでアジア、台湾に敗れた、日米で、支援も含め、似たような構図である。
インテル救済に官民一丸 半導体受託製造に4200億円補助 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
半導体政策のEBPM的効果の検証には、産業連関表を使った報告が多い。EY「先端半導体の生産施設整備施策の効果検証等に関する委託調査事業」(2023年)はEBPM重視、産業連関分析やCGEモデルを使い、半導体メーカーへの支援などをシナリオ別に分析、2022~2034年のGDP影響を3.1~4.2兆円、雇用は延べ12.4~46.3万人としているが、シリコンサイクルの影響などが不明である。また乗数効果は明示されず、同じ支援を他産業にした場合の比較がない。DBJと価値総合研による「九州における半導体産業とその未来」(2023年)[5]は、熊本県を中心に九州全域も含め半導体産業を取引構造からグループを分け、TSMC進出前後の変化や雇用動向についても分析、有益な結果が多い。
しかしながら、産業連関分析では半導体製造装置は業務用機械に分類され、中間投入ではなく(産業連関表では中間投入0%である(下記の表で薄いピンク)、
半導体戦略では、TSMC、IBM、IMECに続きインテルとの提携は必要であろう。日経新聞報道によると、産総研との提携で最先端半導体の製造装置と素材のR&D拠点を国内に設置する。
今後、インテルとの関係は重要だが、提携する場合に製造が鍵になる。インテルは残念ながら「落ち目」であり、ファウンドリ事業は転換点だ。SCMでも難しかった。光電融合では技術力はあるものの、先端パッケージ技術は弱く、チップレットではUCIeコンソーシアムを立上げたが、OSATへのエコシステムが強いわけではない。また、コピーエグザクトリモデルが、TSMCなどの思想と真逆である。
日経記事は、三兎を追うモデルの限界と指摘する。2024年は、86年以来38年ぶりに通年営業赤字に陥るリスクもある。既に1.5万人規模の人員削減を決め、ファウンドリ撤退もありうる。
日経新聞が「iPhone液晶ゼロに、日本勢の液晶パネル退場」「アップルの変心読めず」などと報じている。日本液晶パネルの敗退、「Appleの変心」読み切れず - 日本経済新聞 (nikkei.com)
しかし、日経報道で欠けているのは、サムスンの存在である。すなわち、当時、アップルの変心を読めないのではなく、スマホで競合しており、OLEDで圧倒的なサムスンから、OLEDパネルを供給する筈がなく、よって、アップルはLCDを使い続け、むしろ、そこが機会だと、勝手に都合よく解釈していた。
日経新聞が台湾有事を自民党総裁選や財源に関連して取り上げている。米中の軍事力は2030年に逆転、2027年にも軍事侵攻の可能性を指摘している。被害に関しては、笹川平和財団の調査から、死傷者は、日本3500人、米1.1万人、中国4万人以上、戦闘機損失は日本144機、米400機、中国168機という。
自民党総裁選、防衛財源の議論逃げるな 台湾有事抑止に直結 自民総裁選2024 リーダーの試練 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
経済や金融の影響は記載がないが、実業之日本フォーラム調査では株価20~56%下落、為替は10%強の円高(130円)か20%強の円安(180円)、金利は低下圧力、石油価格は上昇、GDPはマイナス4.6%~15.1%は太平洋戦争並みの可能性もある。
日経新聞が「米インテルと国立研究機関である産業技術総合研究所(産総研)は、最先端半導体の製造装置と素材の研究開発(R&D)拠点を国内に設置する。新拠点は3〜5年後をメドに設立し、極端紫外線(EUV)露光装置を日本の研究機関として初めて導入する。産総研が運営主体となり、インテルがEUVを使った半導体の製造ノウハウなどを提供する。総投資額は数百億円規模になる見通し。企業が利用料を支払い、EUVを使って試作や試験をする。新拠点では米国の研究機関との技術協力や人材交流も検討する。
インテル・産総研が日本に開発拠点 最先端の半導体素材 - 日本経済新聞 (nikkei.com) デジタル列島進化論p210に「政府の関与でビヨンド2ナノの民主化のためにまずEUV共同利用センターのような組織を立上げる手もある。開発用に1台から始め、企業だけでなく、大学や研究機関、スタートアップ等の利用も可能とする」と記載、まさにその方向性である。エッジファウンドリをラピダスが担い、あとは総合EDAができれば、2020年から主張してきた3つのインフラが揃う。
エヌビディアの凄さは、チップ、技術力、CUDAを基盤としたエコシステム(CUDAダウンロード数4500万回/年、開発者400万人)、また、ビジネスモデルであり、その結果、シェア(AIサーバー向けGPUで96%)、業績の成長性と収益性、そして、時価総額である。
日経新聞が9月1日に「データセンター地方分散へ」と報じている。総務省は日本企業が強みを持つ光の高速通信技術を生かし、データセンターの地方分散を後押しする。整備費用の補助などで、都市部に集中するデータセンターを各地に分散させる。同時にNTTが開発中の次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」などの実用化に弾みをつける。総務省が活用を後押しするのが電気信号に代わりデータ処理と通信に光を使う光電融合技術だ。データセンター、都市から地方へ 政府が光技術活用支援 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
デジタル列島進化論でもp119にもDCの地方分散について強調している。当時は生成AIはまだ登場していないが、生成AIは学習と推論が分かれ、特にユーザーに近い場所で推論、AIサービスを提供するDCの流れが加速しよう。再生可能エネルギーとの相性もよく、エネルギー、データ(エッジのレイテンシーが重要な自動運転、医療、農業、防災デジタルツイン等)、雇用は、地産地消であるべきだ。
文科省はイノベーション創出のため、日本の科学技術力低下を底上げするべく色々、努力されているようだ。博士課程充実もそうだろう。医療でも雑用を減らし、分野を超えた人材交流も重視し、研究費支援の採択条件にするという。大学病院、研究時間確保しやすく 文科省が効率化を支援 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
しかし、何故か、肝心なところが伝わっていないというか欠けている。
半導体政策で、マスコミは、ラピダスに関連して、債務保証の件を批判しているが、日経新聞が8月30日のGX推進機構の筒井理事長のインタビュー記事を掲載、注目すべき発言である。
「脱炭素に貢献する先端技術を開発する企業向けの銀行融資を巡り、最大で全額の債務保証を付ける方針を示し、2025年中にも初案件の実現を目指す」とのことである。「GX推進機構は民間の投資の呼び水となるための債務保証や出資を手がける。民間金融機関は預金者や株主がいるなかでリスクをとりきれない分野が出てくると言及、機構はリスクを補完し後押、保証の形態は100%もありうると話した。具体的な支援分野としては水素関連やアンモニア、化学コンビナート施設、再生航空燃料、再生可能エネルギーの事業と述べた。政府GX実行会議が重点とする16分野と重なり、次世代型原発の革新軽水炉の支援もあり得る、石炭の代わりに水素を使う製鉄方法などを念頭に技術的な問題について日本はクリアしていけると指摘、GX機構の役割を、『脱炭素や産業競争力だけではなく、地方創生や経済安全保障にも関わる。地域経済や地政学への影響が大きいと判断した事業には全額の債務保証を付ける可能性がある』」という。
岩崎通信機が上場廃止となる。同社は、電電ファミリーの一角で、交換機を担う「Aメーカー」の日立、NEC、富士通、沖電気に対し、端末が中心の「Bメーカー」として、黒電話器、公衆電話をはじめ、計測機が有名であった。あいホールディングスが買収した。あいホールディングスは、ドッドウエル ビー・エム・エスが中心で、商社系からM&Aで拡大中である。ありとあらゆるハイテク系を傘下に収め、日本電計も持分法適用としている。
8月に入り、中国空軍が長崎五島列島沖で領空侵犯、中国海軍の測量艦は鹿児島沖で領海侵入、また、台湾周辺に中国軍が威嚇展開など不穏な動きが増えている。台湾側も軍事演習、日台の研究会も増えている。さらに、朝鮮半島でも米韓が軍事演習を行っている。海上自衛隊は組織編成を変えた。
中国海軍の測量艦、鹿児島沖で領海侵入 防衛省発表 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
中国軍機が領空侵犯、中国側の狙いは 識者に聞く - 日本経済新聞 (nikkei.com)
頼総統「台湾守る決意必要」、離島・金門島で - 日本経済新聞 (nikkei.com)
台湾、中国の「封鎖」に焦り OB研究会で日米に次々要望 台北支局 羽田野主 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
台湾が東部で「持久戦」も 中国侵攻を念頭、軍事演習 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
台湾周辺に中国軍、ペロシ米下院議長訪台以来の水準 頼清徳政権を威嚇 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
台湾有事には多くの書籍、先行研究もあるが、経済や金融への影響を分析した事例は少なかったが、研究にアドバイザーとして参画した実業之日本社総研、実業之日本フォーラムでは報告書を出している。研究報告書「米中の対立構造と台湾有事シナリオ・プランニング」を公表 | 実業之日本フォーラム (j-n.co.jp)
しかし、更に長期の台湾の香港化なども想定して、急ぐべきは、台湾の友人や台湾にいる日本人や日本企業の安全確保である。日本と台湾は多くの深い交流があり、近年は半導体で密接な関係がある。しかし。台湾の主要都市と日本の自治体との姉妹都市、あるいは大学や小中校との連携は少ない。
日経新聞がスクープとして、パワー半導体強化を報じている。重要な記事ではあるが、スクープというよりは、従来から、経産省やNEDOのプロジェクトで頑張っている話である。
レゾナックやローム、パワー半導体の次世代素材を国内量産 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
気になったのはシェアの記述だ。パワー半導体もキャプティブ市場をどうカウントするか?
半導体関連業界の中で、製造装置と材料はSEMIという業界団体には属しているが、分けて捉えられ、統計数字も別であった。しかし、その垣根は崩れつつある。背景にあるのは、チップレット技術などMore than Mooreのトレンド、各社の多角化やシナジー創出など経営戦略であろう。そして、意外と米中摩擦の中で輸出規制なども微妙に関係があるかもしれない。
キオクシアが、10月上場に向け上場申請、時価総額1.5兆円めざす等と日経新聞などが8月23日に報じている。キオクシアHDが10月上場へ 時価総額1.5兆円目指す - 日本経済新聞 (nikkei.com)
ブルンバーグは、株主のベインがIPO計画復活、数週間以内にIPOプロセスを開始の可能性、5億ドル規模と関係者が明らかにしている。キオクシアが東証上場に向け準備、5億ドル規模か-関係者 - Bloomberg
ロイターは6月26日報道で「8月末に本申請、10月末上場を目指す。通常のIPOより急ピッチで準備を進めるが、12月にずれ込む可能性も。三菱UFJモルガン・スタンレー証券と野村証券が東証への上場を支援」としている。キオクシア、近く東証へ予備申請 10月末上場の方針固める=関係者 | ロイター (reuters.com)
このため、サプライズではないが、NAND市況、株式市場などを見極めていたのだろう。なお、JPXのHP、キオクシアHPには記載はない。
新規上場会社情報 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
88年頃に、フラッシュメモリの存在を知ってから、メモリのピラミッド階層構造に関心をもってきたが、DRAMとSSDの間に、SCMが登場したが本格離陸は難しい。ここ数年弱は、メモリセントリックの流れ、GPUやTPUの登場や、HDMさらにCXLも出てきて、そもそも、かつてのアクセススピードとコスト、揮発か不揮発という階層でいいのか、不揮発といっても、QLCは1000回程度で劣化すれば、そもそも不揮発といえるか、アクセス単位も、単純なbit単位から、様々な単位が増え、RAMかROMかの区別も意味が薄れ、更に、広いバンド幅の価値をどう表現するか等も難しい。最近は、PiMや、CiMとも登場してきた。
ここのところ、チップレット時代の後工程がどうなるかリサーチしている。チップレットの構造がどうなるかについては、数多くの文献や図があるが、詳細な工程フローチャートは、意外とない。もちろん、2.5D/3Dパッケージだけ、あるいはチップレットの試作ラインはあるが、本格量産ラインにどうなるかはわからない。そういう中で、招待講演をする機会があった第88回半導体・集積回路技術シンポジウムに参加、多くのヒントを得た。第88回半導体・集積回路シンポジウム | 電子材料委員会 - 電気化学会 (electrochem.jp)
現在の後工程と、チップレット時代の「後工程」の差異は下図のようである。
チップレットには多くのメリットがあるが、それを少し整理してみた。チップレットでは、これまでの、「平面での微細化が2年で2倍」から「体積接続密度が年率2倍」という新法則やロードマップが登場するだろう。体積密度だけでなく、関連して期待されるKPIは、①消費電力、②レイテンシ、③帯域幅、④コスト、⑤チップサイズやコア数、に加え、これまでのMoore則のロードマップと異なり、カーボンニュートラルの中、消費電力を含めた他のKPIとの組み合わせ等があるだろう。チップレットのメリットは何だろうか。もともと、先端ロジックに特性、特に、CPUやGPUでのコア数の増大、ダイサイズの大型化があった。生成系AIでは加えて広帯域バンド幅、多くのメモリも必要となってきた。
始めて会う人が多い会合やパーティー等で気の利いた話や自己紹介をするのは、意外と難しい。1人の持ち時間は、せいぜい3分以内、全体の人間関係を短い時間に俯瞰して、その雰囲気に合わせ、硬からず、柔らかすぎず、主催者ホストや他のゲストのためになり、かつ、自分を覚えてもらうような話でなければならない。
人数は、5人なら、簡単だろうが、スパン数を超える10人でも、数人はいるだろう知己は大体、理解してくれるだろう。しかし、未知の人間が10人を超え、参加者の中で半数が知らない同士となり、20人、30人、40人となると難しい。
そこで注目され聞いてもらえるかは、肩書と声や表情と話の中身である。新入社員や新入生のクラスでの自己紹介なら趣味や近況もいいが。参加者の中で大多数が、一期一会なら、余程、興味深い趣味でないと聞いてくれないだろう。話す順番もある。
技術力であれ、国際競争力であれ、客観的な基準が必要であり、それは、複数の単位系からなるKPIの函数である。その基準が、業界や各国でバラバラであれば、評価が異なる。どの国、基準が正しいか、その「絶対基準」がいる。
これまで、社会科学を中心に、人間の行動に関し、アンケートという手法を使って、色々な事実を分析、解明してきた。この前提は、①アンケートに答える方と答えなない方に差異がない、②アンケート回答者が本人である、③アンケートの聞き方が適切であり、「正直」に答えている、④アンケートの回答数nが一定以上で、適切な統計分析が成されている、⑤その他、色々なバイアスを補正できる等であろう。
このうち、特に、①は問題であり、声なき声をどう聞き出すかは重要であるし、②は社長アンケート等の場合、大半がウソであり、社長室や企画室の若者が適当に答えたりしている(経験もある)。長年、上記の③~⑤は工夫され、改善されているが、①や②が解決されない以上、限界があるだろう。さらに、人間の行動は合理的でなく、単純な因果関係で決まらず、複雑系であり、その時の気分や体調もある。これは自然科学でも複雑系はそうであり、再現性が高くない現象も多い。それゆえ、nを多く取るには難しいし、信頼関係と適切な聞き方を前提だが、適切なインタビューや議論を、1-2時間、何度も繰り返し行う方が真実を解明するには適切ではないかと思っている。
さて、他方、f-MRIなど、脳の活動を可視化する科学と脳科学の進展で、アンケートでなく、いわば、脳を直接観察して、心理状態が分かるようになってきた。ヘイトクライムの世界的権威であるマシュー・ウィリアムズ(白人男性でゲイだという)による「憎悪の科学: 偏見が暴力に変わるとき」(2023年河出書房)は、世界を揺るがすヘイトクライム(憎悪犯罪)はなぜ起きるのかについて、神経科学やデータサイエンスなどを駆使、先史時代からAI時代にいたるまでの「憎悪」の構造を解明している。著者の脳のカラー画像もあり、興味深い。憎悪の科学: 偏見が暴力に変わるとき | マシュー・ウィリアムズ, 中里 京子 |本 | 通販 | Amazon
最近、MOTのテーマに政策提言タイプが増えている。原子力産業、防衛産業だけでなく、半導体でも、企業の「自由」な活動というより政策と連動することが重要になっている。経営学あるいは経営戦略では、政治にあまり触れてこなかった。ポーターは、国の競争優位、環境対応、都市問題、医療システムなどについて多数の研究をしている。
しかし、個別企業の経営において、いかに政治とうまく連携していくか、どういうやり方があり、効果はどうかについての研究論文は少ない。政策そのものの研究は公共政策分野で多いが、企業との絡みの話は少ないようだ。RIETI - 政治的なつながりのある企業は輸出しやすいのか?
これは、米では、ロビー活動であり、日本では業界団体、MOF担や談合など企業では秘中の常識だが、アカデミアでは、あまり取り上げず、ビジネススクールでも、そういう授業はない。
岸田総理が次期、総裁選立候補をせず、退陣が決まった。内閣支持率から、退任は時間の問題であり、そのタイミングも、オリンピック後は想定範囲だろう。また、植田日銀総裁発言後の株価暴落なども時期と決断を早めたかもしれない。
日経新聞は、岸田内閣の遺産を財源難4兄弟というそうだ。もともと、岸田政権の目玉政策である防衛・少子化・GXは霞が関の通称で「財源難3兄弟」であり共通するのは相当規模の財源が必要なのに、どう調達するのかという問題を抱えているという認識で、これに半導体を加えて、4兄弟ということだ。
岸田文雄首相が残した「4兄弟」 歳出先行で財源あいまい - 日本経済新聞 (nikkei.com)
ハト的であり、かつ宏池会系ゆえに財務省的財政規律派のようで、実際は、それ故に実行可能だったのかもしれないが、この財源4兄弟は、岸田総理の功績でもある。
久しぶりにレオスキャピタル(2024年4月1日に持株会社とSBIレオスひふみ株式会社)の説明会にオンラインで参加した。藤野さんは永らく知己であり、理科大MOTでもゲストスピーカーで登場して頂き上席特任教授としても多大な貢献をしてもらっている。決算説明会だが、藤野さんの金融や投資運用から見た世界観が有益だ。同社は「目利きのチカラ」を活かして新たな事業領域に展開し「世界をカラフル」にすることを目指しますがモットーだ。今回注目すべき内容は、まず、株価暴落時、ひふみ投信が 5% 超の下落時の顧客の行動であり、スポット買付1は平常時より増加している。
もう一つは「ひふみクロスオーバーPro」だ。未上場企業へ投資を行い、上場後もその株式を継続的に保有、企業成長を支援するものだ。日本のスタートアップが上場後に成長が伸び悩む「死の谷」の解消を目指し、未上場企業への投資機会を広げる、すなわち、未上場投資の民主化という画期的なものである。
メモリ市況は、DRAMに続き、NANDにも及んできた。キオクシアの1Q決算は、売上4285億円は過去最高、OP1259億円(Opm29%)、Dep785億円、Q/Qで1064億円増収、820億円増益、Dep31億円減だがPPA絵影響も少なくなってきた。需給バランス改善で単価増(Q/Qで20%増、ドル10%台半ば)、出荷も10%台前半増、円安も効く。ユーザー在庫は適正、需給は均衡、PC回復弱含み、スマホは緩やか。DC向けは伸長、AI用途期待。トピックスとして、AI向け第8世代BiCSフラッシュ2TbQLCをサンプル出荷、CBA(CMOS directly Bonded to Array)技術採用の1TbTLC量産、北上K2建屋完成、25年秋稼働も期待できる。IPO時期は不明だが、今なら最適だ。Financial-Results-FY2024-1Q-ja.pdf (kioxia-holdings.com)
その場合の鍵は、SKとの関係、WDとの関係やMUとの提携で、NAND一本足打法から脱することだが、NANDもこれまで通りでは、価格弾力性が低下し、コスト低下余地も飽和、いずれ長江など中国勢との泥沼価格低下競争では、これまで通り、激しい業績変動の繰り返しだ。そこで、重要なのは、新たな市場であり、DRAMのHBMに相当する広帯域のCXL向けNANDに期待である。メモリ市場構造ではSSDとDRAMの間、これまでもSCMと言われてきた領域であるが、過去との違いは広帯域ニーズである。
非上場になったので、アナリストレポートもなく、マスコミもあまり取り上げないが、日経だけは1Q決算を記載している。【決算】東芝、4〜6月最終黒字383億円 キオクシア回復で転換 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
重電や防衛が好調で、営業利益も増だが、最終損益はキオクシア回復が持分法寄与で大きい。送変電・配電等、公共インフラの業績が2023年度に引き続いて好調に推移していることに加え、鉄道・産業システムやHDD他、ビルソリューションの改善、為替影響等により、全体で増収増益。ただ、半導体は1Qにおいては市況回復の途上であるため対前同では悪化。引当金も計上。受注高はエネルギーシステムの大型案件受注に伴い対前同で増加、受注残もエネルギーシステムの大型案件、インフラシステムの受注規模の増加に伴い対前同で増加し、堅調に推移のようだ。財務・業績 | 投資家情報(IR) | 東芝 (global.toshiba)
東洋経済がラピダス中心に政府の半導体やデータセンタなどの政策を批判している。6月に編集委員の大野氏から依頼があり、7月上旬に1時間半丁寧に、こちらから、なるべく、中立に客観的に対応した。しかし、少し質問はあったが、殆ど、触れなかった、後工程だかチップレットの件だけ、東工大の教授が批判的にコメントしているのに、前向きなコメントとして、引用された。一部、図表を使いだいと言っていたのも使われず、彼らの事前ストーリーに沿わない話や事実は無視である。いつもながら、マスコミのお得意の「抜き取り検証」である。ポスト5Gプロジェクトで、チップレット関連の多くの審査員はしているが、このラピダス関連の後工程については関与していないので、詳細な目標KPIは知らない。チップレットに期待はあくまで一般論である。他方、この東工大の教授はラピダス関連の後工程の審査員なのだろうか、目標数字は知っていて達成は難しいとコメントしているようだ。その点も明確に伝えたのだが、一般論としてのチップレットの期待とラピダス関連後工程の話が一緒にされ、いかにも政策に甘口のような印象操作になっているのは不愉快である。
さらに、NEDOプロジェクトの審査の中身を請求し、黒塗りだったと批判しているが、ポスト5Gに関する審査委員の多くは公開されておらず、当然だろう。NEDOの名誉にために言うが、極めて真面目に、時間とコストをかけて審査している。
日経新聞が7月にNEO-COMPANY特集で興味深いデータを提供していた。ポイントは中年が「幸せ」であり、給与をケチらない企業は業績が良く、給与伸びと業績伸び、から高循環型企業を目指すべきだとしている。具体的には、キーエンスである。中年が幸せな企業ランキングでは、楽天やアクセンチュア、LINEヤフー、トヨタ、ソフトバンク等であり、これらは全年齢層でも幸せだという。高循環型企業ランキングでは、霞が関キャピタルの他、メルカリ、ディスコが上位である。
中年が幸せな企業、楽天グループやアクセンチュアがランキング上位 40歳超でも主役 NEO-COMPANY 私たちの逆襲 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
解剖キーエンス流 20代年収2500万円、でもスタバ禁止 NEO-COMPANY 私たちの逆襲 - 日本経済新聞 (nikkei.com)