2015年4月17日 注目されるシャープの行方~その6

416日日経夕刊では、14年度は2000億円超赤字、15年度も1000億円規模の赤字、また本社ビル売却、将来の分社化も見据え、家電、複写機・ロボット、エネルギー、液晶等デバイスの4カンパニーに再編、内外5000人のリストラ、海外TV撤退、汎用ソーラー撤退、福山、三原、栃木などの工場閉鎖、こうしたリストラを前提にメインバンク2行が2000億円投入でDESで資本増強、2017年度営業利益1800億円を目指す、などと報道された。 印象であるが、以下である。

  1. これが、従来から、コンサル等の外部も入り検討されていた社内案に近いだろう。液晶については革新機構等の外部次第で分社化するのだろう。革新機構の投資注入はやや後退した印象。本来はシャープとしては、いろいろ決定したかったのだろうが、色々な事情で間に合わなかったのかもしれない。

  2. 工場の閉鎖、社内分社から、スマホやTVLED、半導体等は売却のようだ。液晶やソーラーは条件次第だろう。そうするとシャープに残るのは、白物、OA関連。

  3. 赤字金額は2年で3000億円であり、工場減損や閉鎖損で10002000億円、人員リストラで1000億円、あと海外拠点の在庫処分500億円、ポリシリコン在庫評価減500億円等から妥当な線ではあるが、まだ海外分は不安要因。

     

  4. 2017年度営業利益1800億円は過去最高に近く容易ではないだろう。1000億円くらいが目線だろう。

  5. この計画が発表されて、株主総会までに、出資者動向も踏まえ、液晶分社のトップ人事や出資者が決まるだろう。そのばあいは、この計画を花道に、現経営陣は退陣なのだろう。

これまでの報道をベースに、1415年度で累積3000億円の赤字、半信半疑だが、先日の産業革新機構が分社化された資産規模5000億円、売上1兆円の液晶会社に1000億円投入し過半近い株を保有、メインバンク2行が2000億円投入、DESで資本増強などの数字を前提として、「方程式」を解くと、以下のようになる。

分社化液晶会社

売上1兆円、総資産5000億円、自己資本2000億円、負債2000億円、在庫等1000億円となる。これは、液晶関連の減損等で5002000億円のリストラ費用を考えており、もはや老朽化してスマホ用超薄板化や4k8K対応が難しい三重や亀山第2も含めて、保守的だろうし、自己資本比率も50%近く、グローバルで市況変動に耐えるためには最低必要な水準には達している。市況変動を受けながら成長も可能であり、先行投資もしながら、営業利益も5%程度は可能であろう。ただ、最大の問題は、産業革新機構がリスクの高い案件に1000億円も出すかどうか、また、ジャパンディスプレイの主要株主でもあり、産業強化法を適用するとして、利益相反や独占禁止法等など問題をクリヤできるかは重い。日本の液晶技術流出は防げる。トップは液晶を統括している社内からであろうが、会長として実績のある大物が、カネもクチも出すことが必要であろう。

液晶を外したシャープ本体

売上2兆円、総資産1.5兆円程度、自己資本2000億円程度だろう。売却、撤退対象の海外TV、ソーラー、部品などがどうなるか次第だが、ソーラーで5001000億円、各部門のリストラ500億円、特別退職金5001000億円、内外拠点閉鎖等500億円と想定され、なお不透明ではある。市況変動が激しい液晶が無いとはいえ、とりあえず一段落した後は、自己資本比率20%は欲しく、更に増強も必要であろう。国内中心で売上利益共に成長性は低い。

報道その他から、電子部品や海外TV、ケータイの売却、ソーラーも撤退だとすると、残る部門は、白物、コピー、国内TV程度となり、売上1兆円規模に縮小する可能性もあり、今後の提携先との進展を見極める必要があろう。


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