以前から指摘している通り、今の株式相場は、バブルであり、相場のボラは拡大している。ここ数日も大きく下げ、日経平均終値は17792円となった。9月4日の夜のシカゴ先物は17635円である。そこで心配なのは、日銀ETFやGPIFの含み損である。いずれ証券会社はじめ多くから、詳細で緻密な計算が出るだろうが、シンプルに試算した。
両者ともロングオンリーであり、単純に日経平均に連動して買っているとすると、日銀ETFの6月末買い残6兆円、GPIFの日本株の6月末の保有時価が約33兆円であり、6月末の日経平均2万円200円、かりに9月4日の終値17792円で計算すると、-11.9%であるから、上記の保有に対して、それぞれ約4600億円、3.9兆円の損となる。
4-6月はGPIFの日本株運用益は1.8兆円だったが
GPIFは3月末に日本株26兆円を6月末に33兆円として、評価損益は1.8兆円であっと報道されている。3月末の保有分は、日経平均が19200円強から6月末に5%値上がりしているので、この分が1.4兆円弱、4-6月に買った分が不明でが、この間の単純平均の日経平均株価が19700円程度なので、株数の保有増分に値上がり分500円からは数千億円程度の益であり、合計で1.6兆円弱あり、公表の1.8兆円に近い。GPIFにはスマートベータなど中小型株もあり、ポートフォリオの中身も不明だが、これでほぼ推定できるだろう。7-8月でどう売買したか不明だが、頑張って、日経平均ほどには下がっていないかもしれないし、JPX400採用の優良株(東芝もある)中心に、もっと損失が多いかもしれない。
日銀ETFも4-6月は好調だが7-9月はトレード損も?
日銀も、同様に計算する。2014年末(日経平均約17000円)に約6兆円の評価残高からの評価益は、3000億円あることになる。1-6月で買った1.67兆円の分の平均買い価格が日経平均18600円と連動しているとすると、600億円強のマイナス益だが、年初来からは、まだ2400億円のプラスである。ただ、毎日約300億円購入しているので、7~8月の平均単価が日経平均で20500円ゆえ、仮に、7-8月で6000億円買い、9月も既に1300億円くらい買っていると仮定すると、トレードで2000億円弱の損失が出ている可能性がある。それでも、まだ全体では評価はプラスだ。
日経平均9月末で試算する、17000円ならGPIFは6兆円損、日銀ETFもマイナスへ
それでは、9月末に日経平均がどこまで下がるとどうなるか試算してみる。GPIFも日銀もこれ以上買わない仮定で、日経平均が、17500円なら、GPIFは5兆円の損となり、6月末に時価評価をしていると、そこからは20%のマイナスとなる。17000円なら6兆円の損失という計算になる。日銀ETFは、17500円では、トレード損が2500億円、これまでの含み益も減り、全体でほぼゼロとなる。17000円ではマイナス試算だ。(下表)