日経報道では、遅れに遅れていた東芝の決算発表と有報提出が締切の7日に間に合うようだ。2014年度の最終赤字は350億円を超えそう。東証は特設注意銘柄に指定、違約金9000万円強を課すようだ。また、CFOには東芝テックの平田氏が就任するとあるが、これは過去にも報道されている。事実なら、とりあえず、監理ポスト、上場廃止や室町社長の退任は免れそうだ。
2014年度の最終赤字350億円の見方だが、以下である。第三者委員会の報告では、過年度修正により派生する資産評価についての検討中のものとして、PC・映像・半導体(システムLSIとディスクリート)で計1420億円、全体の繰延べ税金資産が1500億円であった。8月18日の2014年度営業利益は、資産評価減1270億円、リストラ訴訟費用480億円を織り込んで、1700億円、税前利益1400億円であった。これから、この1270億円には、上記1420億円がある程度織り込まれていると判断すると、1400億円からの税金600億円程度と繰税取崩1500億円とすると700億円の赤字となるが、通常の税金が少なかったのか、特別利益があったのか、繰税取崩が少なかったのかは不明である。
むしろ、過年度修正によって、2014年度末の純資産がどうなったのかの方が重要であろう。P/Lで2000億円強、上記のように繰税取崩1500億円から、1兆円を割り込んでいる可能性が高いだろう。実態は別にして、5000億円を割っていれば、ファイナンスを急ぐ必要が出てくる。なお、既に発表されてる子会社の売却は、P/LやCFにはプラスだが、純利益には中立であることには注意したい。
新CFOの平田氏については、テックの説明会で、正直で実直な印象を受けたが、逆にテックは大丈夫か、ということと、再生シナリオではテックが鍵であると書いてきたことと関係があるかどうかは不明である。ただ、原発でも半導体メモリのちょうど間の経営重心に位置するので、全体感は把握しやすく、フェアな立場ともいえよう。