2015年9月28日 再編で生まれ変わる半導体業界団体と産学プロジェクト

統計の危機に関連して、SIRIJ20163月に終息、JEITA半導体部会も大変だということを書いたhttp://www.circle-cross.com/2015/09/13/2015911-エコノミスト達は統計の現場をチェックしているか-統計の危機/)。これらの業界団体のトップと面談する機会を得て、半導体業界団体の再編、同様に20165月に終息する産学プロジェクトのSTARCや、EUVプロジェクトのEIDECなどについても状況を確認できた。また、同時に、米SIAや、SEMATECHの状況、中国の覇権など韓国台湾の立ち位置、日本の対応、関連してEUV450mmの将来についても議論できたので報告したい。

 まず、背景としては、国内でも総合電機中心の90年代と異なり業界再編が進む中で、各社の負担が重くなってきたことや、グローバル化の進展と日本の競争力低下の中でッ貿易摩擦等もなくなり、21世紀型のIOT時代に相応しい業界団体に再編することが企業側からも出てきて、昨年当りから、動きがあったようだ。半導体業界団体としては、①JEITASIRIJなどの政策提言や国際対応、標準化などの活動と、②STARCEIDEC等の産学連携プロジェクトがあるが、①はJEITA半導体部会に集約、②はデバイス技術のプラットフォーム開発センターに、集約するようだ。経産省でも、各関係部署が理解を示しているようだ。現時点では進行中であり対外正式発表はしてないが大枠が決まる年明けには発表されそうである。

JEITA半導体部会がJ-SIAとして日本の半導体の顔

 JEITA半導体部会は、SIRIJと共に、政策提言、広報、国際対応(通商・知財)、環境省エネ、技術ロードマップ、標準化など多くのことをやってきたが、JEITA半導体部会に集約、米国のSIAと、J-SIA(世界に6)として連携もしながら、国際対応など日本の半導体産業の顔としてやっていく。ただ、これまでのように何でもかんでもではなく、環境省エネ、ロードマップなどはやらないようだ。また、総合電機というよりは、半導体をやっている会社が、広がっており、電子部品デバイスにも対象を広げる。SIRIJは既に清算に入っており、20163月に終息する。

なお、ITRSロードマップについては、微細化の重要性が変わりムーアの法則も変化する中で、日本だけでなく海外からも見直す動きもあり、ITRS2.0としてIOTなどアプリよりのロードマップになる可能性もあるようだ。

産学連携プロジェクト

 産学連携や教育技術を担ってきたSTARCは、グローバル化・オープンイノベーションの中で、統合すべき機能や終息すべき機能、メンバーシップの変化やコストなど運営面の問題も考慮し、発展的に解消、新たに、受け皿の会社をつくるようだ。研究開発、企画管理、推進、異業種アプリ連携が役割だが、中身やメンバーは大きく変わる。これまでのSTARCは、どちらかというとプロセス技術、ハード寄り、電機メーカー中心だったが、IOTのシステム側からのアプローチを重視する。東芝やローム等の半導体メーカーに加え、SIerや電子部品、モジュールメーカー、SPEや材料などが加わる。

その中では、CPS(Cyber Physical System)推進プロジェクトがあり(既にJEITA内で推進協議会として発足)、IOT時代のセンサーや新メモリなど、IOTをハードから支える。CPSとは要は、米のIOTプロジェクト、欧のインダストリ4.0と同じである。既に10社程度参画、予算もかなりつくようだ。

 EIDECは、EUVの開発というよりは、ナノ汚染の研究開発に取り組む会社になりそうである。

米国でも業界団体に変化

 業界団体が大きく変わっているのは米国でも同様だ。SIAといえば日米摩擦でタフな相手だという印象だけが強いが拠点がシリコンバレーからワシントンに移った。http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91698410U5A910C1000000/ 半導体のチャイナチャレンジでSIAの仮想敵は日本から中国となっており、より政治との緊密な連携が必要なのだろう。