日本で最大の最先端エレクトロニクス総合展示会であるCEATECが幕張メッセで7~10日開催だが、8日に訪問、各社の展示を見学した。NRIに入社した30年前は晴海で開催されエレショーと言われていたが、当時から、毎年30年間、この10年のファンドマネージャ時代でも、これだけは欠かさず毎年見学している。新しい技術の展示を見たり、海外も含め、新興企業を発見したり、得るものは多い。旧知の方とばったり会うこともある。90年頃は各社液晶の歩留まりで苦しんでいたため、サイズと展示物の数やその画素欠陥数を比べ分析の参考にもしていた。各社の展示物やイベントコンパニオン、人だかり等にも世相や栄枯盛衰が現れる。既に、日立やソニーは出展せず、今年は東芝も見送ったが、代わって、クルマメーカーの出展が台頭、中国や台湾、韓国の展示スペースも広がった。
今回は、2020年のオリンピックに向けての技術の流れや各社の戦略が垣間見えた。会場はいつもながら、コンパニオンとデモで派手なセットメーカー側(ライフ&ソサエティステージ)と、部品材料装置メーカー側(キーテクノロジステージ)に分かれ、TVやマスコミに出るのは、前者で派手だが、ある意味、それは新商品の陳列でもあり家電屋の景色に近い。実は面白いのは後者であり、普段は見なれない部品や装置が解り易くデモされている。企業以外にも、大学やNHKや各種業界団体、NEDOなど政府機関、自治体、VBも多く展示している。
今年のテーマと注目点
全体的には、クルマ、ナビ、自動走行、ヘルスケア、ウェアラブル、各種センサー、ロボット、ドローン、4k8k、メガネ、タッチ&ハプティクス、IoT、スマート家電など、話題の技術がてんこ盛りであるが、一時、あれもこれも、フラットパネルやTV、スマホ、と集中していたのからは多少は分散している。また、宙をドローンが舞い、ロボットが動いているので、空間が賑やかで、さながら祭のようであり、エンタメ感は増した。
例年と変わったのは、部品メーカーのニチコンが、セット側のブースであったこと、半導体ファブレスのソシオネクストが部品メーカー側に初めてだと思うが出展していたことだろう。また、ロボットやドローンでは、DJI(世界のドローンで70%シェアの中国企業)など新興企業も増え、大きなブースで展示していた。
やはり、ソニー、日立、東芝が消えたのはさびしいが、存在感を増しているのが中国勢である。特に今回は、ファーウェイやBOEが、パナソニックや富士通の隣で、かなり大きなブースであった。韓国や台湾は、中堅の出展は多いが大手は存在感は無かった。
ファーウェイは会社パンフや広報誌があり、これらの資料を入手できたのは大きな収穫だった。これまでにはなかったことで、積極的にリクルートもしているのだろう。中身を見ると、最近ではHPも充実、アニュアルレポートも出されているが、これまでは上場企業ではないこともあって、知られていない紹介記事もあった。
今後の期待
こうした取り組みは、常連の日本企業も参考にすべきだろう。CEATECには若者や女性も多く来場する。女性の場合は、おそらくコンパニオンの友人なのだろう。企業にとっては、リクルート活動でも、企業や商品のアッピールになる。若い女性にとっては、電子部品や装置や計測メーカーは馴染みが薄く、この場が、彼女らの将来の子供や伴侶も含めて将来のいろいろな展開に繋がるかもしれない。BtoBの企業には、こういう展示会よりも、既に取引のある会社中心に自社展示会をした方が効率的で出展を取りやめる企業も多いと聞くが、そういう場合には、こうした若者や女性といった層はこないだろう。
それと、展示をやめてきた日立、東芝、ソニーだが、そろそろ、これまでと違った形で再開してもいいだろう。日立は家電でなく、社会インフラという位置づけで、イギリスと連携してアッピールしてほしい。東芝は、再生した新東芝として、原子力の安全性やヘルスケア、水素などのアッピール、さらに、半導体(かつては一時やっていた)も大衆にアッピールしてほしい。ソニーも家電ではなく、半導体や新規事業で、展示を再開してもいいのではないか。
各社ブース別コメント
以下、訪問したブース別に印象を記す。順不動である。