29日16時半~18時半まで決算発表と併せて経営説明会、塚野CFOから決算説明10分強、続いて田中社長が経営方針についてプレゼン10分強、残り1時間強が質疑であった。折角の注目の経営説明会なので決算ピークの時ではなく、すこし、間をおいて、ゆっくりじっくり聞き質問もしたかったところだが、田中社長が一刻も早く可能な範囲で伝えたいという背景もあったようだ。ただ、今回は構造改革は一部のみで、全貌は不明である。富士通は伝統的にプレゼンが簡潔明瞭早口である。御蔭でかなり質疑はでき、今回は9割方が経営方針に関するものだったが、不明瞭な点が残った。回答は、田中、塚野、両氏より。なお、当社のIRで一番いいものの一つがデータブックであり、待ち望んでいたが、ようやく配布された。過去96年からの業績推移、人員、顔入りの役員一覧、シェア一覧、歴史等がコンパクトにまとまっている。
塚野CFOからの業績説明
上期はOP赤字124億円は計画線ながらも、質疑で確認されたように、100億円以下の赤字に留めたかったようだ。国内SI等は良かったがNWやPCが低調。テクソリでは、一時的要因で子会社の年金損失、SE子会社の不採算案件があった。ユビキではPC厳しく、ケータイは既に解決したがソフト不具合も。通期見通しは不変だがセグメント別OPでは為替を円安に見直したことで、ユビキは100億円減額、デバイスは100億円増額。通期FCF600億円は、上期は赤だったが不変。
ビジネス改革については、NWの国内製造系子会社リストラで既にあった1Qの50億円に加え、下期には、先日発表した欧州の製造拠点(独のPCサーバ)で200億円のリストラ費用を計上するとした。ゆえに、あと50億円のネットの損がでる。また、グロスでは、さらに300億円以上のリストラ費用が今年度中に出るが、300億円以上の資産売却でオフセットし、ネットで300億円の損失に留める方針であるようだ。つまり、費用側で、600億円以上のマイナスが出るが、これを300億円以上の資産売却で、差引300億円の損に留めるということ。
ただ、微妙に変化を感じた。当初は、①いわゆる人員削減等のリストラではない、②ずるずる引きずるものではない、③明らかになれば、明瞭に納得がいく、とのことであったが、通常のリストラではないか、という印象を持った。
田中社長の経営方針
これまで、テクソリ、ユビキ、デバイスの3本柱であったのが、サービス、ソフト、SD×ハード、からなるテクソリに集中して、ユビキやデバイスは外出し(100%子会社だが分社化、独立ビジネス化)していく。IoTの時代は、「場」がキーワードであり、繋がることが重要。そのため、最初から最後までユーザーのパートナーとなる。
このため、既に発表があったように、欧州では、サービス化を加速、プロダクトオペレーションでは、独バダボーンの開発拠点閉鎖、独アウグスブルクの研究・物流拠点の効率化を図る。
また、①富士通のビジネスプラットフォームMetaArcで、SEの知見、専門力を分野毎に標準化して強化、②アカウント営業と、専門SE、テクノロジーリーダとのマトリクス組織で顧客に食いこみ、③ユーザーとの共創に努める(既に300件実証プロジェクト)、④日本とアジアの営業体制は一体化、⑤グローバルに柔軟なデリバリー体制を築き、その人員を5000人から1.8万人にし、オフシェア活用で効率化(3年累積300億円)、⑥グローバル640の社内システムをK5に移行(5年累計400億円削減)、知見蓄積する。
全社横断のコスト削減効果は、3年累計で400億円、ただこれは全社では1兆円を考えており、セグメントに入らないものの額。
中期(おそらく2020年)の目標、に向け、目指す数字としては、①Opm10%以上、②FCF1500億円以上、③自己資本比率40%以上、④海外売上比率50%以上、が提示された。なお、質疑で判明したが、Opm10%に対しFCF1500億円が低いが、先行投資を考えているようだ。前提となる売上などはNA。また、これまでの中計目標であったOP2500億円は取り下げられた。
感想と分析