東芝の上期業績・修正発表は11月7日(土)であるが、先だって東芝テックが決算発表しテック側で660億円の減損を実施した。なお、東芝では、これに伴い696億円の減損は発表した。
日本基準のテックでは特損だが東芝ではOPにヒットした。減損の内訳は、固定資産497→157mil$(差引340mil$)、暖簾231mil$は全額。この340mil$と231mil$の合計671mil$が696億円。ここから既償却36億円がテックの660億円となる。
決算集中日であり、テックの説明会には参加できなかったが、IR資料によると、上期は売上2700→2641億円、OP45→赤字5億円、NP赤字30→赤字741億円に、通期では、売上5550→5300億円、OP190→60億円、NP30→赤字790億円に大幅下方修正である。自己資本は970億円(利益剰余金赤字)まで減り、これまでの自己資本比率40%強から27%になった。
プリンティグソリューション部門は弱含みでやや下方修正はしたものの堅調だが、POS事業を持つリテールソリューション部門が厳しく大幅下方修正。メンテサービス強化やリストラで早期回復を目指すようだ。前回の説明会では、問題の海外POS事業のトップの問題か、売上を証明する証憑類が無い等、上場会社として信じがたい混乱した管理体制だったが、一段落したか心配である。
買収は2012年4月、680億円を投じPOSで世界トップを目指していた
なお、東芝テックがIBMのPOS事業を買収発表したのは、鈴木社長当時(東芝側は佐々木社長)の2012年4月17日、自己資金で賄うが、買収金額850mil$、680億円で、POSで世界トップを目指す方針だった。売上への影響は1000億円程度、当初は600億円のプラス、初期コストでOPはトントンだが中期では二桁%を目論んでいた。
脱ハードのIBMと、国内ではトップ(テックの設置台数60万台、IBMは海外100カ国260万台)だがグローバル展開したいテックとで双方メリットがあると見ていたようだ。なお、IBMは、2003年のHDDの日立への売却、2005年のPCのレノボへの売却、など、その業界がピークアウトする絶妙のタイミングで、惜しげも無く事業売却をしている(ちなみに2007年にリコーにデジタル印刷機を売却)。
発表当時は株価も好感、2012年7月18日のテックの中計では、この買収を梃子に2014年度売上5200億円、OP320億円を目指し、2012年度は売上4989億円、OP231億円と過去最高の261億円(2007年度)に迫っていた。
本体のチャレンジが優良文化の子会社を傷つける