2015年11月6日 ロームの上期決算説明会とSWOTと経営重心分析

1169時半~11時で澤村社長以下、佐々山CFOLSIの松本氏、ディスクリート(以下、Dis)の東氏の順でプレゼンの後、質疑。以下、プレゼン、質疑も踏まえた分析を示す。

 上期は、7月まで好調だった月次売上が、8月から落ち込み、売上は下ブレとなったが、OP以下は、円安もあり上ブレ。また、こうした月次動向に加え、9~10月頃の株安や中国・スマホ不安、半導体懸念もあった頃に、予算策定で3Qについて弱気な見通しとなり下期下方修正となったのだろう。

なお、足元は、10月は強含みのようであり、全体は調整だがクルマなどは安定。また、東芝再編に伴う在庫処分で小信号などは価格下落もあったが、一巡し、ライバルであったロームは中期でプラスに効くだろう。

業績修正

上期は売上1960→1896億円、OP210→234億円、RP180→327億円、NP135→262億円、年間は売上3880→3620億円、OP420→340億円、RP400億円不変、NP300→310億円。特に下期は、売上1733億円、OP106億円、中でも3QOP30-40億円程度の推定のようであり、極めて慎重。

上期で貢献したのはアプリ別ではウェアラブル、クルマ、OPではコストダウンや円安。通期でも同傾向。計画比では、上期では売上でLSI33億円、Dis26億円、下ブレ、通期では、104億円と、80億円。OP80億円の減額だが、LSIが大半50億円強だろう。

 セグメント動向

LSIは収益が低いが、償却費増に加え、MEMSなどの新工場立ち上げや、ここ数年の経費節減の反動もあるだろう。DisOpm15%以上でまずまず。超小型で引合い強い。クルマ、スマホ、IOTで成長。引合いも増えてきている。特にSiCなど高耐圧の技術力が強化されている印象。

注目されるのはモジュールであり、これまでは、ほぼトントン、良くて数%だったが、改善してきている。上期のOpm20%はウェアラブルの好調だが出来過ぎであり、中期では1520%が目線。モジュール戦略は、応用では、ウェアラブルと産機であり、前者は早期回収モデル、また、技術では、前者は小型薄型で光を使ったもの、後者はSiC・パワーに集中するようだ。ロームは、LSIからDisLEDも含め技術もあり、一般部品もあり、モジュールは新たな収益源として注目されよう。

全体戦略は不変

 全体の戦略としては、市場は、クルマ、産機、海外を狙い、商品はアナログ、超小型、4つの成長エンジン。また、インテルやフリースケールとのコラボ。産機では、エネルギー自由化で、スマートメータ関連で、ローム傘下のラピスが圧倒的なシェアを持つWi-SUNが標準化になり恩恵も大きい。

M&Aでは、この度、パワーべーション社を買収したが、デジタル電源時代の備えた技術習得が狙い。これまで、M&Aは成功も失敗もあるが、分析すると、生産能力ではなく技術補完の場合は成功している。

なお、質疑で、国内のアナログ半導体の再編に絡んでのスタンスを聞くと、成長に必要なものは積極的に考えるとのこと。また、生産方式や管理体制をローム流に変えければいけないが、規模によるが、前工程では、過去のヤマハの天竜工場(現在の浜松工場)1年くらいかかった。また、後工程では、超小型品種に必要な機械設備の有無次第。

生産戦略は、旧ルネサスの滋賀工場はMEMSIGBT対応で20162月稼働。薄膜PZTが重要だが、FeRAMで培った技術が生きる。海外は、高コストの中国から、タイやマレーシアに後工程を移すが、TPPの視点から見ても適っている。ただ設備投資は従来の750億円から650億円に減額。下期のリスクに備え、キャパ増は延期。