2015年11月8日 アルパインの上期決算説明会(11月2日)

アルパインは、カーナビ、カーオーディオの大手で、アルプス電気の子会社。90年代にカーナビのレポートを書いた時に何度か訪問したが、継続的に調べるようになったのは前職のファンド時代からで、累計INPUTは数10回程度。ROEなど収益性は低いのだが、カーナビという希少性に加え、キャッシュリッチでPBRが割安、アルプス電気との関係が魅力的で、いつかは収益性アップや株主還元にも熱心にならないかと関心があったが、なかなか収益性は変わらず、株主還元も低く、いつも先行投資を優先させて、最重視しているのはクルマメーカーとの関係のように見えた。

実際、2002年度に売上2223億円OP123億円と最高益更新した後は、売上はほぼ増収で2006年度には2650億円を達成したが、OPは減益続き。さらにその後は減収減益で2008年度は赤字転落。2010年度こそ売上2012億円、OP111億円まで回復したが、また低迷が続いた。中計のVISION2020でも、売上こそ3300億円だがOpm5%が目標で、ROEや株主還元等の目標はない(Opm5%ならROE10%はこえるが)という、今時珍しい会社ではある。

 112日の説明会は、いつも丸の内の東京会館だったが、改装中のせいか、ここ数回は、アルプス電気本社の大会議室。本決算は社長も出席だが上期はCFOが中心。今回は専務の米谷CFOと理事の中野氏。米谷氏は今回が初登場。

 上期は、売上14001398億円、OP3336億円、NP110114億円と計画線。もともと減収減益トレンドで見ていたが、悪化。中国が減速の上、欧米でアフターが悪く計画以下。17-18年モデルの受注に向け開発費はアップ。

 通期は、売上28502850億円、OP10070億円、NP190140億円。なお、中国のニューソフト社の売却益、再投資の差引の特益156億円を計上。

上期の為替感応度は1円円安で$0.7億円、€0.5億円。VWの影響はまだ見込んでいない。それを踏まえた新フォーキャストもまだのようだ。

 中計に向け2016年売上2850億円、Opm4%2017年売上3100億円、Opm5%1十分に達成可能だろう。2017年の売上の80%は確保。

 ニューソフト社(Neusoft)については、ソフト開発、IT人材投資を主とし、これまで15.6%保有だが5%分を売却。ニューソフトは、HDカンパニーとして、傘下にニューソフトの他、教育や医療、ITソリューションを持つ。このHD10.35%を再投資、さらに、アルパインとニューソフトでJVのニューソフトリサーチを設立、それぞれ39%41%を出す。

 質疑では、課題のR&Dが何故、減らないか、中計の達成度合い、下期の3Q4Qのイメージなど。R&Dについては17年モデルをとるため必要であり、これが20億円程度ある。またOSもユーザーでバラバラ、効率が悪い、など。中計は、17年は見えていると自信がありそう。ただ、2016年は中国景気減速やVWの影響、米景気も腰折れなど懸念もあるようだ。減収でOP横ばいが目線だがR&Dコストが鍵だろう。下期OP3Q15億円、4Q20億円だろうか。

 私が質問したのは、パネル関係、TPP、ニューソフトについて。

パネルについては、調達は落ち着き、課題のパネルコストは改善された。今期のコスト改善のある部分は占めるようだ。アルパインのシェアアップで調達力がついたこともあるが、まだ改善余地はありそう。中期では、黒色の質より、異形化と大型化への対応は必要と考えているようだ。まずプレミアムからの導入、テスラ等は17インチもある。曲面形状を考えるとOLEDが有利で2020年位には多いが、ただ供給が現状のサムスンだけではまだ主流にはならないとの認識。

 TPPの影響はプラスのようで、コスト面では不明。原産地規制対応は強化が必要で、現在進めているメキシコへのシフトを加速する必要がある模様。中国のコスト優位があっても、モジュールは最終の現地組立を強化だろう。

 ニューソフトは、中国では既に有名ブランドになった。クルマで使えるものは使い、輸出してもいいとのこと。中国では、2020年までにEV車を500万台など目標があり、ADASにも熱心。ナビのシェアアップにプラスになるようだ。