2015年11月18日 祝創業100年のJRCの上期決算説明会(11月12日)

去る111215時から説明会があった。出席者は恩田会長、土田社長以下、幹部役員。決算発表は116日、いつも発表後やや間をおいて説明会。社長が決算と戦略を説明30分前後、その後、質疑。説明会は上期と通期のみだが必ず会長以下出席。広い会場で、そこそこ出席者はいるが、いつもあまり質問が出ない。私以外は、1-2人程度。今回は久しぶりに最後まで出席し色々質問できた。プレゼン資料はいいのだが質疑はもう少し、活発な討論となればいい。IR体制にも、より一層を期待したい。

 日本無線との付き合いは30年近くに及び、セルサイドは担当だったので、よく三鷹の本社まで行き、多くのレポートも書き、工場見学もした。最初に、研究所長の講演を学会で聞き、三鷹に行き、移動通信についてまとめたりもした。社内報で、社長との対談記事が掲載されたこともある。NRIの先輩にもファンがいたが、セルサイドアナリストとしては最も分量と頻度において多くのレポートを書いた一人であろう。ファンド時代には頻度は減ったが、それでも10年で数十回はINPUTがあったので、累積は100回以上であり、これも多い方だろう。なお今回はトップとは面談できているが、IRには本決算後取材を申し込み何度か確認しているが返事がない。

創業100

日本無線は、1215日で創業100年を迎える老舗である。株式市場では、最近はそれほどでもないが、1990年頃までは、ハイテク企業として注目されていた。当時は、世界シェア30%を誇る海上船舶無線、NTTドコモ向けのケータイ基地局関連機器やデバイス、官公需が多い防災無線、防衛庁関係が主たる事業だった。官公需や大企業向けが中心であり、高度なスペックの技術は得意だが、一般大衆向けは、量産力、コスト力も含め弱い。かつては、ケータイ端末も主力であったが撤退、現在は、PHSなどニッチ市場の展開。基地局等も縮小。三鷹の本社を売却、生産やR&D拠点を長野に移し転換を図る。海上は、2013年にアルファトロン社を買収し強化。子会社に半導体の新日本無線、医療機器のアロカを擁していたが、既に大半を売却、新日本無線は、日清紡の子会社として再スタート、危機を乗り越え成長へ、アロカは、日立メディコと統合。電波に関する無線の技術とシステム構築技術が源泉で、技術力は高いが「日本無線研究所」と揶揄されるほど、ゆっくりおっとりした社風。

25年の業績推移、かつては子会社も含めバランス

 連結でチェックできる90年度以降の業績推移をみると、当時は、子会社に半導体の新日本無線、医療のアロカを擁し、売上でもOPでも半分を占めていた。過去最高益は90年度だが、OP175億円のうち、単独は85億円、新日本無線が20億円強、アロカが50億円強であり、また単独も海上、通信、ソリューションシステムの3部門でバランスがとれていた。単独での最高益は96年度のOP104億円でドコモ向け基地局が利益の過半を占め、両子会社も堅調であったが、連結ではOP159億円とピークに一歩及ばなかった。その後、単独OPは右肩下がり、2000年度以降は3期連続赤字となり、黒字化したが、ほぼトントンという有様であった。これを子会社が支える形であったが、難しく、2001年度以降は子会社も息切れ気味であった。この中で、日清紡も資本参加し事業を再編、2005年に両子会社を売却、三鷹の本社や工場を売却、再生途上である。このため、2005年度以降は、ほぼ連結と単独は同様。黒字体質にはなり、B/Sも改善だが、過去、単独のOP50億円前後のレンジからはまだ遠い。海上は回復、ソリューションは防災無線など追い風で、改善だが、最高益にも寄与した稼ぎ頭の通信が厳しく、100億円水準はほど遠いだろう。2020年以降を考えると、ガラパゴススは消え、100周年だが中期では厳しい。