2015年11月27日 LTPOとOLEDの蒸着メタルマスクについて

アップルが次世代iPhoneOLEDを採用することになり、LG等韓国勢が一斉に設備投資増強に踏み切りつつあるようだ。一つのトリガーは、LTPSIGZOのいいとこ取りの技術であるLTPO実用化である。

LTPOのメリット

春先にアップルが特許も出している。1画素1Trの液晶と異なり、OLEDでは、スイッチ用と電流駆動用に2つのTrが必要である。LTPSではリークに問題がありサムスン等では数個の補正Trを付け、マスクが増えコスト高となる。LTPOであれば、スイッチはLTPSのまま、電流駆動はリークの低いIGZOであり、その他、共通電極やゲートを遮光に使うなど工夫があり、マスクの増加を最低限に抑えられる。既にLTPSラインを導入している場合でも、多少の追加で、LTPOに変えられるだろう。これが全てTrIGZOにしようとすると、スイッチ部分のLTPSと異なりで高度な処理が難しく、特にCMOS化が進んでいる中で尚更だ。また、既に実績の多いLTPSプロセスと異なり一からIGZOプロセスを立ち上げるのは容易ではない(シャープも天理・三重版とK2版がありK2iPad用のアップル仕様は苦戦している)。またLTPSを全部IGZOに変えるのもコストがかかる。そういう意味で、LTPOのメリットは大きい。

サプライズはRGB蒸着400ppi

それ以上に、サムスン等がRGB蒸着マスクで400ppiに成功したことが大きく、多くの専門家を驚かし、RGBの大きさや形状を変え疑似的に1つを2つに見せるペンタイル方式ではないか、という声もあったが、そうではなく真正400ppiのようだ。マスクは現状はDNP、装置メーカーはトッキのようだ。