2015年12月2日 2020年に向けての電機業界の再編は新水平統合

半導体、通信、原子力の3つの領域で、業界再編が起きている。いずれもグローバル市場であるが、その意味するところは異なる。

 半導体は、韓国台湾から中国へ覇権が移り、メモリがSCMに移り、システムLSIFPGAへシフトする中での陣取り合戦である。現状でのDRAMNANDは中国中心になり、MPUMCUも同様だろう。アナログパワー系は、通信の5Gに向けての電子部品も含めたモジュール化の中で、合従連衡も進む。液晶では、TV向けは中国の独占が到来し、中小型では韓国や日本はOLED化を進める。

 通信ネットワークは、一声R&D5000億円の体力をつけ、5G時代に生き残り切符を得るための規模拡大である。既に、Big3体制が構築されつつあり、日本は蚊帳の外である。5Gは通信だけでなく、IOTやクルマADASも関連し、これらで生き残るためには無視できず、残る解は、もはやNTTドコモと、NEC、富士通、日立G、三菱電の通信部門の統合しかないだろう。そうでなければ、欧と中国などが胴元として市場を仕切る中で、隷属的な位置づけになる。

 原発は違う意味で、先進国の主要メーカーが統合に向かっているように見える。アレバがMHIWHに出資を求めているようである。超長期のコストオーバーランやロングテールのリスク、核燃料処理、国家安全保障、また原発技術者の供給不足のリスクを考えると、対中国対策も含め、COP21以上に、先進国で団結し、東電などキャリアも参画、国際原発公社などを作るべきことを考える時期ではなかろうか。民間会社は、そこに対する一サプライヤーで十分であり、コア事業とするのは危うい。

90年代後半と異なる水平統合

 90年代後半から、2000年代にかけ、水平分業、ファブレスファンドリーモデルが台頭する中で、国内半導体メーカーやFPDは再編が進んだ。これに遅れてしまったシャープ等が苦戦。PCTV、スマホも、再編の気運があったが進まず、時代遅れとなり、個々に撤退戦の如き状況である。唯一、残ったのが東芝のNANDと、ソニーのCISである。JDIもぎりぎり間に合ったかに見えたが、安泰ではない。

 こうしたグローバル市場の中での水平分業と異なり、5Gの通信や、原発の動きは、いわば水平統合ともいえる動きである。

 それ以外は、垂直統合が進んでいる。ここは、国内市場・ローカル性や、公共性も強い分野である。

すなわち、日本の電機業界は、(1)新水平統合が必要なグローバル・公共性が強いインフラ分野、(2)これまで水平分業・再編が進んだデバイスや端末などの分野、(3)垂直統合が中心に分野の3階層に、構造が分れて行こう。この中でクルマやFASPEや産機は微妙である。経営重心では、ちょうど、上記の(1)が、左下の長サイクル小ボリューム、(2)が右上の短サイクル大ボリューム、(3)が真中のジャパンストライクゾーンに近いことは興味深い。