2015年12月2日 村田製作所の中期説明会報告もはや部品メーカーではない

12215時半~16時半、例年の村田の中期IR説明会が行われた。決算説明会と違って、中期の技術や市場動向が中心である。今回は、村田社長、藤田CFO、竹村取締役に加え、事業部側から中島氏や、井上氏が登場したのが特徴。プレゼンは、村田社長が10分程度だが、説明資料通りではなく、ポイントを絞って(26p10p程度)、自らの言葉で語られたのが印象的であり流石かくあるべし、と感心した。質疑は78名で18問程度(私が3)。経営や戦略は村田社長、通信関連の技術は中島氏が回答。

村田社長の発言要旨

 スマホはCA化で員数が増え、2016年のRFデバイスの伸びは10-20%、またMLCCSAWの高機能化、周辺のPAも取り込んだモジュール化が進む。クルマは2-3%成長だがECUが増え、5年では2倍。新分野としてはヘルスケアの小型化、エネルギ等。

IOT時代は現在の5億台が500億台というがロングテールが多く価値創造が見えにくい。村田の強みは、センサー、ハード、ソフト、であり、いろいろなゲートウェイを持っていること。LTE化で、員数が100~200/台から500~800個になるが、MLCCでは、設計から材料選定、調達、生産を一貫管理の垂直統合の強みで0402など超小型ではシェア50%SAWは高周波対応ではBAWFBARと競合だったがB2B3等で対応、価格優位性もありフィルタ市場におけるSAW比率は現在の85%から増加へ。B25も来春出し内製モジュール対応から。

2018年目標は5~10%/年持続成長、為替115円でOPM20%以上新商品比率40%以上。

 このプレゼンの中での注目点やキーワードは、CAや員数増加は当然だが、IOT時代ではロングテールの価値創造が重要と指摘、自らの強みをハードだけでなく、ソフト、としたこと、ヘルスケア小型化、モジュール化、そして力が入っていたSAWの高周波対応であろう。よく注意しないと聴き逃しそうだが、驚愕の重要な発言は、クルマでECUが増えSiC等高温大電流化が進むと大きな電解コンデンサが不要でセラコンでいける、とのこと。これが事実ならニチコンやケミコン、指月等は厳しい。また、資料にはあり説明はされなかったが、新製品として、CEATECにもあった圧電フィルムを使ったハプティク等は興味がある。

質疑と注目点

 成長に向けて、必要なリソースは何か、という点について、クルマではADASのセンサー、パワトレなどパワー系電源技術、ヘルスケアでは、技術ではなく、販売チャネルだという社長の回答も、当たり前だが的をついていて感心した。

 他方、成長ドライバが内部成長かPAなど買収によるものか、という質問については、両方だと回答だが、これは、質問に違和感がある。ルネサスやペレグリン等、PAやスイッチは端末における付加価値を増やすというよりは、モジュール化の中で、電子部品メーカーにとっても、それが不可欠だから買収したのだと理解している。