2015年12月24日 東芝の明日を占う二つの重大ニュース

 

休日のせいか、あまりニュースでも報道されていなかったが、明日の東芝を左右する重大ニュースが開示されている。

 

 第一は、来期から新日本監査法人が外れることになることが22日に開示された。既に予期されていたことではあるが、大きな転機となる。新日本監査法人から来期の監査をしない旨通知があり、候補を探しているようだ。両方とも、金融庁から処分もあり、どっちもどっちだが再出発にはふさわしいだろう。なお、2014年度の報酬は29億円であった。第三者委員会では、トーマツが主だったが、次が、どこになるか、また、そこがWECをどう見るかがカギである。当然ながら、東芝だけの一存ではなく、当局や政府とも十分に相談し、アドバイスも受けているだろう。

 

http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20151222_1.pdf

 

 

 

 第二は、原発、WECでのポジティブなニュースである。WECが今年の9月に耐震強化による変更内容をまとめたレポート(耐震オプションレポート)をNRCに申請していたが、

 

この度、 アクセプタンスレビューが完了した。これにより、NRCによる正式な審査が開始され、NRC承認後には、AP1000の適用地域の拡大が可能となる。原発再評価の第一歩である。

 

http://www3.toshiba.co.jp/power/whatsnew/topics/20151222/index_j.htm

 

 

 

世界では、中国を含め、CO2が喫緊の問題。原子力を成長産業とみれば、東芝の価値は全く変わる。少なくとも政府も世界も、これを支持するしかないだろう。それ以外に、世界へ日本が環境問題でCO2を減らせる有効な手段あるだろうか?原発はもちろん、他のエネルギーでも、日立と共に、世界レベルで、ソリューションを提供できる技術力を持つ企業はない。これを新しい監査法人がどう認識するか、東芝にとっても、新しい監査法人にとっても、最初の試金石になる。

 

 

 

第三は、格付け会社による格下げで、これは当然ではあるし、今更ながら後追いで、サブプライムのことを思い出せば、参考にならない。ただ、乱暴は承知で、蛇足ながら言うと、日本国のGDP比の純債務比率は100%強であり、GDPと売上は比較できないが、売上比較では純債務1.4兆円なので20%強。限界利益率を3-4割とすると、それでも80%くらいで、ある意味、日本の方が危機的といえる。日本の強みは国債や日銀があり、国民=株主が負担してくれ、いわば、無限にエクィティファイナンスができるようなものである。そこを格付け会社はどう認識しているか?しかし、東芝の粉飾や経営能力と、国(政治家、役人)の粉飾(年金、その他)の経営能力(国債で借金、無駄な投資、しかも議員や役人はリストラせず)とどっちが酷いのか、ということも指摘しておきたい。