日経新聞が12月31日、東芝に関して二つの重大なニュースを報じた。第一は、INCJによる支援であり、白物家電と、原発について、第二はヘルスケア売却である。
シャープとの白物家電は一気に進み、これでJDIとはごく一部になる
白物家電は、シャープの再編リストラに絡むものであるが、TVなども視野に入る可能性もあろう。INCJとしては、政治的にもシャープを潰すわけにはいけないが、シャープだけでは難しく、JDIとも難問山積である中で、東芝の白物家電とTVが出てきて渡りに船であり、利益相反や公取の問題もクリヤされ易いし、政府・役所としても、大義名分が立ちやすいだろう。シャープの大半+東芝の白物とTVは、一気に進むだろう。その中で、シャープの液晶とJDIがどうなるかも決まっていこう。INCJの多くや役所も馬鹿ではないから、シャープとJDIが液晶で統合すれば、共倒れは理解するだろう。あるとしてもK2の一部だろう。むしろ、JDIのOLED強化を支援すべきだ。
原発再編は自由化元年の送変電も含めINCJや国がすべき~国際貢献にもなる
原発事業の再編を日立なども含め、支援する件は新しい話でポジティブである。おそらく、日立や三菱重工などにとっても本音ではウェルカムではないか。いっそ、INCJが出資しているLGなどスマートメータなども含めて、さらに、アレバなども含め新会社を作ればいい。CO2問題で厳しいが、原発再編に海外のアレバやUKも含め支援すれば、国際貢献になるし、あと数年後に改定の日米原子力協定にも布石を打てる。
INCJも役所も、グローバル競争で市場の論理の半導体や液晶、スマホなどは、経営は苦手だろうしスピード感でも難しいが、エネルギーや医療といった規制産業は、得意だろうし、資本や市場、ROEの論理ではなく、安全・安心という国家見地から産業を見るべきである。
何でもかんでも民間、市場競争というわけではなく、原発などは国営が適しているし、ある程度、いろいろな問題をクリヤして、何十年後に民営化でもいい。
東芝ヘルスケア売却は取りあえずファンドにして国際競争力強化のための国内再編へ
東芝のヘルスケア売却については、昨日、読売新聞が「富士フイルムが有力だ」という中途半端な記事を出したが、こちらの方がフェアであろう。こちらの方がフェアで正しい記事だろう。
候補として、①ソニー、②キヤノン、③富士フイルムホールディングス、④GE、⑤KKRなど複数ファンド、⑥複数社による共同買収の可能性とあるが、⑤か⑥だろう。
総額5000億円規模なので、①はまだ余裕はない。②、③は経営重心、理念、風土が違いすぎる。特に②はこれまで、新規事業もMAも成功していない。③は、せいぜい部分はあるかもしれないがやや重い。④など海外は国が反対だろう。経営重心では、医療機器、特に診断装置は、固有周期は5年前後、3年から8年くらいに広がり、固有桁数は数千から数万であり、カメラはもちろん、コピーやプリンタとは大きく異なる。さらに開発においては医師や医療機関と長期の信頼感を維持しオープンイノベーションが重要だ。
それゆえ、一度、ファンドに売却、あるいは、INCJ出資を受け、その後、他の会社や本来、数年前の1兆円構想で買収しようとしていた他社の買収で、将来、上場を目指した方が面白いだろう。今後、円安の中では、世界のトップ10の医療機器メーカーに日本が皆無であり、治療系中心に輸入依存が多いというのは問題である。それゆえ今回の件がなくても、業界再編統合は急務であった。考えようだが、東芝から離れた新TMSCがむしろ、中立な立場、国際競争維持、国内医療再編を主導できるかもしれない。