2015年12月31日 東芝ヘルスケア説明会と那須工場見学記

 

去る312日に東芝のヘルスケア事業説明会と、那須工場見学会があった。何度か書こうとしたが、不正会計事件もあり、タイミングを逸した。同部門については、不祥事はなかったが、東芝の財務危機の中で泣く泣く外部への事業売却が決まった。10ヶ月前のことであり、また、戦略も当時の「チェレンジ」に基づく1兆円を目指したものであり、現時点では、変化している可能性があることには注意しておきたい。しかし、それでも、事業売却で参考になるだろうから報告する

 

事業説明会では、現在は代表取締役副社長(当時 上席常務ヘルスケア社 社長)の綱川氏による事業の「ヘルスケアVISION」、事業領域の拡大、ついで、東芝メディカルシステムズ㈱社長の瀧口氏より、コア事業の戦略と診断機器でのイノベーションについて、それぞれ説明があった。質疑の後、見学会、また見学会の後、質疑という流れであった。

 

綱川氏および瀧口氏の説明要旨とヘルスケア部門の概要

 

東芝グループの中で、サービスやシステムも含め医療関係の各社を統合、那須に集結させている。直近では、米バイタルイメージス社、英バルコ社の3D画像部門などM&Aも積極的で必要なリソースを得ているほか、80年代より日本光電とは提携関係にある他、内外の大学研究機関と連携、オープンイノベーションにも積極的である。

 

世界での競争力も高く、も、画像診断機器では、GE、シーメンス、フィリップスと肩を並べ、主力のCT(売上構成38%)、X線(同17%)、超音波診断装置(14%)MRI(8%)でいずれも世界シェアほぼ3位以内。この中で、主力のCTでは、07年に320列同時取集可能なエリアディテクタCT投入以降シェアを伸ばし、バルコ社の部門買収もあり、2014年は25%2位とフィリップス、GEを抜き、1位のシーメンスに迫るようだ。なお、こうした例は、最近では、研究開発型のハイテク機器で、GE等の欧米強豪に対抗してトップシェアは例がなく画期的である。

 

売上構成では、1/3がサービス、2/3がハードとバランスもいい。生産も国内の那須のほか、大連、ブラジル、マレーシアとうまく分散、地域別も、国内4割、米1割強、欧2割強とやはり分散している。

質疑の注目点

 

現在、ヘルスケアの売上4400億円、OPM7%、中期で1兆円、OPM10%だが、時期はM&Aのタイミング次第、サービス売上と粗利率が高い分野へのミックス変化が鍵である。全体のサービス比率は、30-40%だが、分野別に異なり、超音波は20%CTMRI40%である。ハードでは超音波の採算性はいい。

 

中期では、CF重視の中で、在庫、サービス、パーツは現地の管理を強化する。キーコンポーネントの内製化は、計測、ソフト、技術であげていく。

 

R&Dは世界3極体制であり、米は、画像処理やハード、欧では、画像処理・表示・解析のソフトを、日本・アジアでは臨床アプリを担う。また、総研などコーポレートラボも使う。光導波路は、生産技術研究所の成果を使った。

工場見学

 

工場見学では、X線、超音波の説明と試用、研修センター見学、生産ラインは、超音波、IDVMRICTの工場を順に見学した。