日経新聞によると、東芝は、半導体事業でメモリに集中、システムLSIやディスクリートは売却、またHDDも売却の方向性のようだ。また、毎日新聞ではWHの減損1500億円を検討していると報じている。
まず、半導体の方では、ノンメモリの売却対象の売上規模は2000億円、この売却資金も2000億円で、NANDの設備投資に充当、3D-NANDの量産を3月までに開始、新棟は6月に完成、2018年までの累計投資は4000~5000億円。HDDの売上規模は4000億円。売却金額は不明。
NANDでは足元の市況はスマホ不況で苦戦だが、中期ではSSDが急拡大、2018年にもHDDと逆転しそう。足元の価格はSSD128GBが50ドル前後、HDD2.5インチ500GBが35ドルであり、ビットコストでは、3倍に近づいた。これまで、DRAM世代交代やCRTからLCDの交替もコスト比で5倍以下から急拡大、2-3倍で逆転してきたが、SSDとHDDがまさにそうなりつつある。場合によっては、2017年にも実現しよう。また、2018年はスマホでもLCDからOLEDに替わり、新型スマホ向けにNANDが期待される。その意味では、今回の設備投資はギリギリのタイミングだろう。システムLSI売却は、これまでも報じられており、当然の方向だが、ディスクリートは、ややサプライズだが思い切った。
WHの減損報道は、2015年度のWHのノレン代の減損1600億円を検討しているとうもので、真偽は不明である。想像するに、①監査法人が、新日本から変更されるが、新しい監査法人が、WHノレンについて慎重な見解を持ち、それを伝えたのだろう。また、②かりに、新しい監査法人が、プライスウォーターのような場合には、M&Aなど投資銀行業務やアドバイザーもやるので、ヘルスケアの売却も、それと一体処理の可能性がある。③ヘルスケアの売却が、当初の予算想定5000億円をこえ、7000-8000億円という説もあり、さらに、非メモリのセミコンやHDDも数千億円で売れそうなので、予算超の数千億円のうち1500億円は、落としておこうという判断も打倒であろう。ただ、あまり高すぎると、それこそ、メディカルのWACCは上昇、将来、暖簾減損のリスクは増えるし、金額が高くとも経営重心が合わない企業に売るべきではないだろう。
一連の売却により、足元のNAND市況悪化や、リストラを除くと、これまで、全社の売上6-6.5兆円、OP2000-3000億円の目線だったが、今後は4-4.5兆円、OP2500-3500億円目線、Opm、FCFが大幅に改善することになる。東芝の場合は、この30年以上、儲かっている部門(メモリと発電)と儲かっていない事業が明確なのである意味やりやすい面もあり早い。
2016年度は、なお楽ではないが、2017~2018年度に、売上4兆円Opm3500億円、自己資本1兆円越え(全体の資産も在庫も含め4兆円程度にへるので自己資本比率は25%程度になる)が、当面のターゲットとなろう。本来は、第三の柱がほしいが、当面は2コアで不安定ながら進むしかない。かりに、原子力を持ち分にできれば、短サイクル大ボリュームのセミコンが中心で、その周りにやや長サイクル中ボリュームの様々な事業群があるというポートフォリオになり、日立とも三菱電機とも異なる会社として再生する。