ホシザキ(今回、社名をホシザキ電機から変更)は、製氷機や業務用冷蔵庫で国内では圧倒的シェア、世界でも最大手の厨房機器メーカー。1947年創業で来年70周年。オーナー系だが、名前の由来は、本社がある桶狭間の近辺にあった星崎城からとっている(似た例では指月城からとった指月電機がある)。ペンギンのトレードマークで有名。寿司屋はじめどこの飲食店の厨房にも同社の製品やペンギンマークは見られる。国内のライバルは大和冷機。世界ではITW社で僅差。
会社の存在は知っていたが、説明会や取材は、ファンド時代からであり、中長期での投資対象としてピックアップした。それゆえ、INPUT回数は10以下だし、工場見学等もない。株式市場では、「電機」とあるが、むしろ機械銘柄。かつては電機だが機械セクターとして優良な企業として、オーナー系ではオーナー色がそれほど強くなく、経営理念が独特で、M&Aの成功例が多く、ニッチ分野だがグローバルに展開しているという点で、ダイキンと似た印象をもっている。「冷やす」というキーワードも同じだ。
独特の経営姿勢、骨太の風土
IRの開示姿勢や説明会の印象も似ている。説明会資料は膨大で詳細。今回は中計も示されたということを考慮しても、70ページ以上であり、P/Lの詳細はもちろん、顧客である飲食店、大手チェーン店の動向、製品別、地域別の動向、販売戦略、M&Aの中身など、消化するのが大変である。説明会では、1時間弱で、本郷氏常務の業績説明の後、坂本会長兼社長が見通しや中計を説明、30分強が質疑。
傑出した海外のM&A力、IRFS導入も指名委員会制度も導入予定しない、また、中計にも、株主還元やROEも示さないという、今どき珍しい株式市場に阿ない、三河侍の如き独特の経営理念は興味深い。ソフト化やコンサル化、販売戦略など、「根っこの力」を感じさせる。名古屋近辺の会社は、トヨタ系だけでなく、ブラザー、メルコ、CKD、アイホンなど独特な優良企業が多く、京都近辺と双璧だろう。
業績は中計達成、最高益更新
業績2015年は、売上2570→2617億円、OP290→317億円、NP175→170億円、売上、OPは上ブレで最高益更新。NPが下ブレは為替差損、M&A先のMacom社ノレン償却、特別退職金等。なお、これでMacom社の無形固定資産やノレンは殆どゼロ。また、過去のM&A累積投資は500億円だが、これまでの償却は400億円強であり、12月末での残は78億円のみ。リーマン後に、立てた売上2200億円、海外比率35%、ノレン償却後Opm9%も達成は評価できよう。
今期2016年は、売上2715億円、OP342億円、NP219億円。y/yでは、ノレン減を除くとほぼ横ばいであり、内外の収益性が下がる前提で保守的。
中計2020年は、売上4000億円、OP500億円。なお、売上の海外は半分、うちM&A分が600億円。ノレン償却前は560億円としており、中計期間ではIRFS導入なし。