2月25日、シャープは、臨時役員会で鴻海案を選択、プレスリリースも発表。報道によると、前回一致だったようだが、僅差だったという一部の報道もあり内情は不明。また、翌日、INCJは、本件で撤退を決めた。なお、24日の朝にシャープ側から、偶発債務の可能性を鴻海に伝え、鴻海は精査のため、一旦、延期とした。これも、現状は中身が不明で、INCJが偶発債務の問題をどう認識したかも不明。3月7日期限の交渉が決裂すると経営破綻の可能性がある。
シャープの発表によると、概要は、以下だが、鴻海作成かと思われる位、よくできて練られている。
教訓
シャープの狙いや方向性でサプライズはないが、鴻海案の方が、金額の多寡だけでなく、よりシャープを理解し、シャープの良さを生かすというところを評価したのでは、と思う。まだ、不明な点は、今後のIR説明会や株主総会で説明してほしい。なお、今回、皮肉にも、こうしたクリティカルな状況で、シャープ、東芝など大企業で、日本の役員会がいかに機能していないかや、銀行OBの役員の在り方、社外役員の在り方、など皮肉にも、多くの教訓を残した。
なぜ鴻海だったか
ここで、なぜ、鴻海案だったか、またINCJの今後の在り方に少しふれておきたい。
そもそも、鴻海はファンドではないので、シナジーは大きい上、EXITで焦ることはないのである。
そして、鴻海側にとっての改革にも重要で、EMS事業でアップル依存度を下げ、ブランド強化にも重要である。技術を生かした応用商品を出すのが上手いシャープと、安く早く多く作るのが得意なシャープは、補完関係もあり、シナジーも大きそうである。鴻海傘下のイノラックスも含めアップルへの関係強も大きい。
結局、株主利益は、短期だけでなく中期のシナジー価値も考え、破綻をさけ、価値をどう最大化することを考えているかどうかだろう。INCJ案は、10年後、EXITをどう見ているかを問いたい(いまのルネの課題)。結局は、解体、バラバラにされ、中国かどこかに二束三文に売られることにならないか。INCJも経産省というより実働部隊はカーライルであり、長期視点があるだろうか?
INCJの教訓と期待
INCJには、国内再編ではなく、むしろ、海外の優良企業や優良マネーを引き込み、精査し、日本勢と提携させるような役割こそ望まれる。
日本企業で、グローバルでM&Aで目利きできる会社は少なく、だいたい、海外のM&Aに失敗している。INCJが10%でも出資して、監視というような機能を果たせばいい。特に、中堅企業にはありがたいはずだ。国内同士は中小企業でもできるし、地方銀行でもできるだろう。しかし、海外との再編はDDするリソースもない。
シャープの説明会で半ば、提案も含めて、鴻海がメインにしてもINCJも少しマイナーでかむようなスキームはあり得えないか、と高橋社長に聞いたが、NOだった。