3月上旬に、新日本無線グループの生産拠点を見学した。佐賀エレクトロニックスは、タイと並ぶ同グループの後工程主力工場であり、NJR福岡は、元々は、三菱電機のアナログパワー系の半導体工場であったが、譲渡され、川越工場や海外ファンドリと共に前工程を担う。福岡は5年ぶりである。
新日本無線も、半導体業界も、この10年で経営危機の時期を挟んで大きく変わった。それゆえ、この期間で工場や生産現場がどう変わったか、日本のモノ作りの在り方を突き詰めるため、偏見無しで考えてみたい。
NJR福岡
NJR福岡はもともと三菱電機の半導体工場として福岡地区にあったが、三菱電機のリストラの中で、2003年に譲渡、ラインも移された。それゆえ、場所も三菱電機のパワーデバイス製作所の敷地に隣接している。ちょうど三菱電機のパワーデバイス製作所のマップの左下の空白の部分がNJR福岡(左下写真)となっている。三菱電機の半導体工場の多くはルネサスに移り、高知はあるが西条工場は閉鎖、しかし、そのDNAは、この工場に受け継がれ、工場管理面、特にクリーンルーム運営、白衣やエアシャワー等に残っている。また、現在もプロセスの一部を、三菱電機のパワーデバイス製作所(後工程やモジュール工程)や熊本工場に依存している。
設立当初の2003年頃は、売上の大半は三菱電機とルネサス向けだったが、ルネサスは徐々に縮小、現在は三菱電機と新日本無線で半々、それぞれ、後工程のパワーデバイス製作所と佐賀エレにウェハーで供給している。
概況
概況は、HPにもあるが、直近の売上規模は80億円程度、人員は278人で、直接が171人、間接が107人である。なお、創業来累計で売上は1000億円、経常利益は50億円を超え、赤字もないことは評価されようが、仕切り次第の面もあろう。売上ピークは103億円、経常利益ピーク11億円。売上構成は、ウェハー投入ベースで、概ね、民生ICが50%、クルマICが10%、民生ディスクリートが30%、クルマICが10%。品種は150程度で、三菱電機向けがやや多いようだ。足元は、エアコン向けパワーが昨年来、低調であり、回復時期を読んでいるところ。