4月28日18時15分~19時45分、決算と2018年に向けての中計説明会、新野社長がデビュー、業績説明は川島CFO、中計は新野氏。2016年度よりIFRS導入。
2015年度は、売上2.8兆円、OP1073億円、NP655億円と、売上は未達だが、OP上ブレ、NPは税金減で上ブレ。IFRSでは、売上2.8兆円、OP914億円、NP759億円。差はノレンやOP外費用。期初計画との比較では、テレコム、その他のスマートエネルギーが大幅未達だった。
2016年度への変化はIFRSベースになることもあり分かりずらい
2016年度計画は、IFRSベースだが、売上2.88兆円、OP1000億円、NP500億円、IFRSベースでは増収増益、ただ、税金費用が増え、NPは減益。セグメント別には、パブリックが減収増益で、OP573→690億円は不採算案件減少やコストダウン、エンタープライズは微増収減益、OP239→190億円はミックス悪化とリテールIT事業先行投資、テレコムキャリアは微増収微増益、OP465→480億円、システムプラットフォームは微増収横這い、OP317→320億円、その他が増収黒字化、OP赤字182→10億円、エネルギー事業のリストラ効果240億円。なお、エネルギー事業の赤字240億円のうち、100億円はノレンの減損他、140億円は通常の赤字で棚卸、小型蓄電、北米エネルギー事業(NECエナジーソリューション)。電極事業は黒字。
中計は、2018年までの増益分はエネルギー事業の2016年のリストラが中心、中身は構造変化
新野社長が重視したのは、コンプラ重視の企業文化の進化の中で、①経営スピード向上、②新事業などやり抜く実行力、③グループ経営、200社・10万人の最適配置である。過去の中計の反省として、新規事業が育っていないことを挙げた。確かに、エネルギー事業は赤字だし、買収した海外テレコムも、期待以下であり、ここ数年の貢献はパブリックや、テレコムなど既存事業の貢献が大きい。中計は、2018年度に売上3兆円、OP1500億円、NP850億円、FCF1000億円。
特にOpm5%に拘るようだ。また、ネットD/Eレシオ0.5、ROE10%を目指す。CCC改善の具体数字はなかった。一見、P/LでもB/Sでも、事業ベースで大きく成長を見込んでいるようだが、実態は異なる。
B/S目標はD/Eなど既に達成済み、M&Aなど先行投資で悪化
3つの成長分野とセグメント
成長分野は、セーフティ、グローバルキャリア、リテールITサービスというのは、NECが強い分野であり、よく理解できるが、セグメントとのマトリックスで分析すると、分かりづらい。これら3事業共に、海外であり、現在のOPはトントンであるが、2018年度には全社目標の5%に近づけるようだ。
2020年以降が不安
今回の2018年度の目標や方向性は十分に理解できるものであったが、その後、むしろ2020年以降の方向性が不明であった。そこで鍵となるには、やはり海外だが、確認すると、2018年度は、海外比率が30%以下だが、これを30~40%にし、現在、トントンをOpm5%に向上したいとのことであった。
Opm5%の意味
今回の中計で、新野社長が拘ったのはOpm5%である。長年、総合電機を分析していると、なかなか、5%は容易ではない。
IFRSで特に重視される割引率
長期事業、特に10年をこえるような場合は、IFRSでは特に事業の長期での収益性の観点から、割引率を如何に設定するかが鍵になる。東芝の原発では1.5%変更するだけで2000億円以上の減損となったように、そもそもの自己資本が低く、全体的に収益性が低い日本企業では影響が大きい。これまでの中計では、P/LはP/L、その結果としてのB/Sであったが、IFRSでは、常に、相互にフィードバックをかけて減損がないかを見極める必要があり、中計では、その元に、割引率を少し変えてストレステストをしながら中計を練らないといけない。