日銀のマイナス金利政策の副作用の最大のものの一つが年金債務(PBO)の増大によるB/Sへの悪化である。また、円安による海外生産の調達コスト上昇である。2月27日のブログでの試算では、多くの企業の年金債務がB/Sの10%程度であり、一般的な1.5%の割引率を0%にする場合には、3%のB/Sの悪化要因となり、自己資本比率が3%程度の会社であれば、債務超過となる。日本基準であれば10%以内なら織り込まれないが、IFRSでは全額織り込まれる上、年金資産の想定利回りも年金債務の割引率と同率にする必要がある。割引率も利回りも、高めに設定していた企業ではダブルパンチとなる。それゆえ、懸念していたのは、東芝、シャープ等であった。
http://www.circle-cross.com/2016/02/27/2016年2月27日-マイナス金利の悪影響-年金債務を直撃/
海外分等があり意外と軽微
しかし、先日の東芝の2015年度業績修正説明会では軽微(SEC基準)であり、先週のNECや富士通の決算説明会でも、300億円、500億円強と、意外と少なかった。
円高を巡る誤解
また、為替だが、マスコミや政府は、「円安=電機メーカーにプラス」という構図だが、これは精密やデバイスであり、中国や台湾EMSを活用しているセット部門はマイナスである。むしろ、為替調整勘定や年金関係などB/Sへの影響は大きいかもしれない。