5月6日17時より新社長就任の説明会、プレゼンは20分弱、質疑含め18時頃まで。案内メールが来たのが午後で、所要で関西におり出席できなかったが、HPで視聴、質疑は確認した。綱川氏の就任はすでに報道もあるが、注目点は、執行役会長職が新設、志賀氏の就任、去就が注目された室町氏は特別顧問。また、重要な点は、今後のトップの交代での記者会見の在り方で指名委員会委員長出席は電機では初めて(日立のトップ交替でも無かった)、不祥事があったとはいえ、これが筋で今後はスタンダードになろう。
http://www.circle-cross.com/2016/04/25/2016年4月25日-東芝の新社長に綱川智氏と日経報道-社長新時代の初のトップ/
出席者は、室町氏、綱川氏、志賀氏、指名委員会委員長の小林氏。室町氏の挨拶の後、小林氏が指名委員会の経緯説明、その後、綱川氏、志賀氏の順で挨拶と抱負。質疑は、マスコミから7社程度で、投資家アナリストからは無かった。質問内容は、指名委員会の選出プロセス(社内か社外か、責任問題、不祥事との関連、WH減損との関係、等)各人に現状認識と抱負。成長シナリオやポートフォリオなど。
4名の発言要旨
室町氏からは挨拶と要点で、①今回、執行役会長を新設、②自身は昨年から10か月社長として再生に努力したが、リストラ、伝統ある家電や成長性あるメディカルの売却など責任を感じている、③進退は指名委員会に委ねており、今回、特別顧問としてサポートすると発言。
小林委員長からは、選出プロセスの説明。独立社外役員5名で、これまで11回の委員会を開き、うち8回が本件について議論、また、これ以外に面接、室町氏以下、社内の意見も聞き、社外も含め人選について議論し、10名候補に面接、同時に事業構造改革や経営戦略についても議論した。その結果、人材としては、①グローバルにメディカル事業を育成した実績、②この1年弱は、経営企画として、リストラ等実行力、③中計も纏めたがスピード感とリーダーシップから、綱川氏を選んだ。また、新生、東芝のブランド価値を取り戻し、また、東芝のドメインの広さ、社外への対応も含め、綱川氏との役割分担として、志賀氏を会長とした。両氏とも全員一致。また、室町氏には、特設注意銘柄解除まで道半ばであり、ガバナンス面でのアドバイスも含め、特別顧問を要請。
綱川氏からは、新生東芝として、ステークホルダーからの信頼回復と強靭な体質へ改革、2016年度としては、注力3分野集中、財務回復は最優先、特設注意銘柄解除に努力とした。また、自己紹介として、医療一筋、海外15年経験、また、現場と経営の距離縮め、一致団結、自由闊達な風土を取り戻すと明言。
志賀氏の挨拶は、顧客や官公庁、業界団体などに対し、プレゼンス回復に努め、綱川氏と役割分担をして再生に努力、東芝を無くてはならない会社にすると。
質疑でのポイントは以下の通り。
選定プロセス
指名委員会での選定プロセスでの論点は、①特設注意銘柄解除に向け道半ばでのタイミング是非、②不適切会計など不祥事との関連、③外部人材招聘の観点、であろう。
綱川氏の抱負や課せられた役割
財務強化、3つのポートフォリオへ集中、自由闊達な文化の復活に努める。PC事業については、コスト削減、製品・地域絞り込み、B2Bで自力再生も可能だが引き続きあらゆる可能性を探る。
メディカルへの思いなど
メディカルは東芝では当面はないが残された重粒子線治療などは5年後には期待したい。また、譲渡については、嫁ぐ愛娘を送る気持ちだが、今の東芝の財務状況から見ると、外に出した方がメディカルシステムズ社にも日本の医療業界にもプラスという判断。
志賀氏の抱負など
志賀氏については、グローバルに成長するには、その経験や人脈など余人をもって代えがたいという判断だったようだ。なお、取締役会議長は、従来通り前田氏で不変であり、執行役会長は議長ではない。ここは、重要なところであろう。
トップの役割重心(配点)
今後は、配点では、司祭型、調整評価型、資本家型を増やし、そこで高得点を挙げることが重要になるだろう。本人は、当然自覚はされているだろうが、周囲も、そういう認識をもちサポートすることは重要であろう。
室町氏は、今後、東芝も重要だが、半導体業界再編の仕事が、セミコン社のIPOも含めて残されていよう。より自由な立場での活躍を期待したい。