6月24日 15時半より、投資家アナリスト向けに、デジタルビジネスプラットフォーム、「MetaArc/K5」の説明会が、富士通グローバルSI技術本部長の中村記章氏により行われた。最近、IoT、ビッグデーターが話題になり、GEのPredix、日立のLumadaといったプラットフォームに関心が集まっており、富士通のMetaArc/K5にも問い合せが多く、IR側が開催した。説明も多くの質疑もやや抽象的であり、消化不足だが、IR側が、投資家アナリストに理解をしてもらいたいという真摯な姿勢は好感が持てた。
プラットフォームの位置づけ
なお、マスコミなどで同様に位置づけられる、これらのプラットフォームは、実際には位置付けが異なり、Predixはそれ自身で儲けるモデルでありプラットフォームだが、Lumadaは、むしろ応用階層のテンプレートであり、顧客との協創で儲けるモデル。これに対して、富士通の「MetaArc/K5」はクラウドビジネスのためのプラットフォームと理解した。クラウド事業全体で15年度売上3000億円弱、16年度計画は3500億円。クラウド基盤の社内利用で5年間350億円の費用削減を目指すようだ。
聴きたかったITやクラウドの本質
こうしたITの説明会は、フワフワとしたカタカナで溢れており、具体性にかけている。また、IT系調査会社の根拠不明なアンケート調査や、経営学者の意味不明なIT戦略などの話が多い。ビジネスの実態を示してほしいと聞いたが、不明だった。
IT予算削減の中でユーザーとWIN-WINになれるか
これまでは、住基ネット、マイナンバーと数年毎にシステムが代わり、またメインフレームの代替もあったので、自治体も企業もIT予算の中で、SIビジネスも継続されてきた。しかし、消費税値上げも延期、国家予算も限界がある中では、IT予算も減ってこようが、如何にユーザーのIT予算を減らす中で収益を確保し、そのプラスの中から、WIN-WINの中で、どれだけ新たな予算を確保できるかが鍵となる。それを、どうクラウドで実現するかが、聞きたいところである。や日立では、デモや実例もあり、ユーザーが、ITを導入する意欲に駆られる。実際、日立の例では、ITを活用した交通網の計画で人口増加などをAIでミュレーションし、説得力があった。しかし、今回は、そういう回答はなかった。
IT予算削減分はどこで稼ぐ?
さらに、日立の場合は、IT予算が削られても、その分は、水道、電力、交通など、他の社会インフラ事業でカバーできるが、富士通の場合は、ITだけであり、顧客全体の経済規模は拡大し、IT予算比率が減っても、IT予算そのものが増えるようでないと業績が伸ばせない。
富士通がクラウドをやる意味を妄想する
そういう中で、富士通が、クラウド事業をやることの大きな特徴やメリットについて考えたい。それは、一言でいえば、ユーザーを囲い込み、ボリューム効果であり、収益安定化によるメリットであろう。
規模の限界とユーザー領域確保
すなわち、クラウド事業では、囲い込める顧客を増やせば増やすほど、IT資産の調達コストや活用の効率が高まる、