2016年8月9日 JDIの1Q決算説明会~まずJOLEDのケリを

 

JDI1Q決算説明会が891718時開催、参加し質問もした。決算概況は吉田CFO、市場環境と戦略が有賀COO、経営課題を本間CEO、最期に差別化技術について有賀氏より説明、開発品を展示、説明。吉田CFOからはプレゼンに先立ち、下方修正の謝罪。

 

質問時間が少なくやや消化不足だが製品展示は良かった

 

業績下方修正が既にあったのでサプライズはなく、経営課題に関連して、課題と対策についての説明はあったが、以前の説明会で1QにメドをつけるとされたJOLEDについて説明なし。踏み込んだ更なるリストラや財務施策について話はなかった。

 

在庫は少し減っているが、為替差損やB/Sが悪い

 

 決算1Qは、既に5日に下方修正された通りで、売上1743億円、OP赤字34億円、税前赤字158億円、最終赤字118億円、EBITDA150億円は黒字。q/qでは売上横這いで赤字は減り、y/yでも売上減700億円で56億円の減益に留まっておりリストラ効果は出ている。為替差損が67億円と多いが、急な円高で、また在庫が37億ドルと変動し大きくなる上、前受金の分の影響も大きかった。

 

注目の在庫は1083億円とq/qでやや減、日数も58日から56日とやや減だが、まだ足りない。

 

2Qガイダンスは利益改善が鈍い

 

なお、2Qのガイダンスは売上2100億円、OP10億円、為替前提は105/$、OP感応度は1円で悪化3億円。増収360億円、増益44億円は、売上に関しては、現状の売掛金や仕掛の多さから十分可能だろうが、利益増が少ない印象。

 

差異化技術

 

差異化技術で紹介された4k2kの額縁2mm4.7W332ppiの高精細ノートPCは。7月からサンプル出荷、17年から今期4Qに売上計上と前倒し。4辺フリーの折り畳みのXOディスプレイはユーザー開拓中。フレキOLEDに関しては、5.5in400ppiをサンプル、茂原G6で予定通り立上げ中、2018年上期量産を目指す。

 

資金繰り

 

本間氏は、資金繰りが一時的に逼迫した原因として、①3月以降のスマホ需要の急変による売掛/買掛サイトのミスマッチ、②5月末の在庫増加、③)設備代金の支払、であり、今後は、①6月末で在庫問題は解消、②現在は銀行から短期支援を受け事業運営に問題ない、③大株主のINCJから全面的に支援とののコメント、また、OLED投資資金については、ユーザーからの資金支援も必要で、その協力も含め、前受金や後工程のサプライチェーンなども含め協議中だとした。

 

OLEDはコスト2倍?

 

また、本間氏は、OLEDのコストに関し、LCD2倍であり、5-10年は割高だとコメント。この根拠に関し、質疑の中で、有賀氏は、OLED投資に関連して、G625k/月キャパ(5.5500万パネル分)なら、LTPS基板1000億円に加え、OLED工程で蒸着や封止等1500億円が追加で必要だとした。

 

将来は、OLEDが割安

 

OLEDのコストに関しては、「2倍」というのが、変動費と固定費にブレイクダウンしていないので不明な点が多いが、バックプレーンは既存工場を使うため、この500万パネル/月分の1500億円が負担になる。3Depとして、約8ドルのコストアップ。OLEDは、タッチが、インセルは不可能なのでコストアップとなるが、これをスマホメーカーが受け入れるかどうかである。ただ、JDIでは、インセルとの比較、これから新規にフロントのOLEDを投資する比較をしているが、インセルでないパネルとの比較、OLED部分のDepが終われば、差は無くなる。十分に量産が立ち上がれば、変動費は、OLEDが優位であり、Depが終わればOLEDが安くなる可能性があろう。このタイミングは、本間氏がいう5-10年ではなく、2-5年だろう。

 

JOLEDが問題

 

 むしろ、再三再四指摘しているようにJOLEDをどうするかが問題であり、今回も予告されたのに先送りされた印象。JOLEDINCJ75%株主であり、JDI15%に過ぎず、影響は軽微だとして、開示はされていない。また、20147月設立、20151月の発足後1年たつが、INCJでもB/SP/Lなどの一切開示はない。しかし、帝国データによると2014年度の赤字は69億円であり、これが実際のコストだろう。また、その後、100~200億円の設備投資もしており、コストは100億円程度に膨らんでいる可能性がある。そこで懸念されるのは、実際のコストをJDIが負担している可能性があろう。JDIの有報では、研究開発費が2013年度157億円、2014年度159億円から2015年度は232億円と、70億円程度急増している。早晩、こうした異常な実態を終了し、正しく、JDIJOLEDの損益を開示し、INCJは、このJOLEDの分も含め、支援というよりは借りを返すべく、JDIをサポートし、役割を負えたJOLEDは、清算かJDIに統合すべきだろう。