DSPC(㈱デバイス&システム・プラットフォーム開発センターwww.dsp-c.co.jp)が、9月15日、その概要を発表した。日経新聞などでも、連休中の16日の朝刊で小さく取り上げられ、気づかない方も多かったかもしれないし、記事のタイトルも「IoT向け省電力センサー端末を共同開発 東芝など」とあったから、(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15HXM_V10C16A9TJC000/)、その意義や重要性は理解されなかったかもしれない。しかし、目立たず小さい一歩だが、これは、「ニッポン半導体」、いや、半導体がデバイスに進化・変態への狼煙だと信ずる。
IoT時代の新しいコンソーシアム
DSPCは、2015年8月17日に準備会社を経て、2016年7月29日に設立、資本金4150万円、東芝、アルプス電気、TEL、凸版、荏原などが株主であり、大手電機や半導体だけでなく、装置や部品、ベンチャーが参画している。代取会長は、元東芝で半導体トップとしてメモリー事業を牽引してきた齋藤昇三氏、社長は波多野氏。事業としては、IoT関連デバイスの開発だけでなく、製造販売、社会実装に向けたソリューションサービスの提供、標準化の促進であり、NEDOとも連携、単なる民間開発会社ではない。既にNEDOから33億円でIoT推進のための横断技術開発プロジェクトが予算化されている。
昨年9月末に、半導体業界団体再編(業界団体としては、①JEITAやSIRIJなどの政策提言や国際対応、標準化などの活動と、②STARCやEIDEC等の産学連携プロジェクトがあるが、①はJEITA半導体部会に集約、②はデバイス技術のプラットフォーム開発センターに、集約するようだ…)について記した(http://www.circle-cross.com/2015/09/29/2015年9月28日-再編で生まれ変わる半導体業界団体と産学プロジェクト/)が、それが実現、動き出した。特に、DSPCは、CPS(サイバー・フィジカル・システム)推進を担う。
すなわち、半導体国家プロジェクトを担ってきたSTARCは2016年5月に、政策立案のシンクタンクであったSIRIJ(3年間諮問委員を務めた)は2016年3月するが、その多くを、DSPCが引き継ぐことになのである。なお、SIRIJの政策提言や標準化、国際対応はJEITA半導体部会へ、業界活性化機能はDSPCとなる。
2013年の産業競争力プロジェクトに遡る
背景は、2013年の産業競争力懇談会プロジェクト最終報告での「国際競争力強化を目指す次世代半導体戦略(プロジェクトリーダー齋藤昇三氏」に遡り、意義は、その報告書から抜粋すると、「世界全体の半導体市場規模は約30 兆円であるが、成長の伸びは鈍化し、成熟産業の領域に入ったとも思われる。今後、半導体市場を拡大・成長させ、日本の半導体産業の競争力を強化していくためには、新しい市場を開拓・創造していく必要がある。新しい市場とは、「社会的課題の解決」を目指す「スマート社会」である。」、そこでは、「ビジネス革新・技術革新・政策革新の3 つが一体となった新たな取り組みを通して、新しい価値を創造し、半導体市場の拡大を図りたい。そのために、アプリ・サービス産業と連携した縦型連携の研究開発体制を指向した、技術開発とビジネス開発を行う場として「新会社」の設立を提案する。」、その市場開拓と創造の場はIoT市場であり、主体がこのDSPCである。
日本の半導体国家プロジェクトは、90年代以降、結果を出せなかった
世界の半導体業界も制御不能
新しいコンソーシアム、新しい業界団体の在り方
テーマは先進的
今後は体制面が鍵