日立、東芝、三菱重工の原子力事業が、燃料事業の統合に向けて動き出し、原子炉再編に波及する可能性があるようだ。日経新聞が報じた(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28I8C_Y6A920C1MM8000/)。
「2017年春にも原子力発電向け燃料事業を統合する方向で最終調整に入った。日本の原発は再稼働が進まず、3社の燃料会社は経営不振が続く中、統合によるコスト削減で事業の継続をめざすが、この統合が呼び水となり、将来的に原子炉分野の再編に波及する可能性もある」と指摘している。
国民にも3社にもプラス
非常にポジティブである。国民にとっても、この3社にとってもプラスだろう。もはや、原発事業は、燃料だけでなく、長期のリスクも含め民間のレベルを超えている。経営重心®分析で固有周期20年以上、かつ割引率10%以上は、難しい。とりわけ、経営危機が続く、東芝にプラスだが、日立も、もともと、3.11後、原発事業の限界リスクを感じ三菱重工と統合を検討したフシがあり(日経新聞リークで中止となった)、歓迎だろう。アレバなども含め、先進国で団結し、技術レベルが上がっている中国企業への対策も考慮すべきだろう。
もちろん、課題も多い。
普通の会社へ第一歩
東芝にとっては、これで、国に「人質」がなくなるという意味でも「普通の会社」への第一歩となる。ただ、同時に、普通に破綻するリスクもあることになり、一層にコンプラ・ガバナンスが重視されよう。東芝は昨日28日、NANDの改善で上期のOPを300→700億円へ上方修正したが、これは現在のNAND市況からは、1Q時点の想定で想定範囲。通期もOP1500億円は当然で、1800億円の可能性もあろう。原子力を外して、NAND中心の会社になる、というのも選択肢だが、グローバル競争の中では、上場させ、WDや中国も含め出資、本体は、重電や社会インフラ、流通IOT等に、まずは絞るべきだろう。