2016年10月9日 LamとKLA統合白紙で戦国時代に逆戻りのSPE再編、鍵を握る日立国際

 

LamリサーチがKLAテンコールの買収を断念したようだ。ブルンバーグなど外紙が106日に報道しており、会社側も正式に発表している。http://ir.kla-tencor.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=992330

 

独禁法がボトルネック

 

昨年10月の発表(http://www.circle-cross.com/2015/10/26/20151025-lamklaが統合-装置業界再編の行方/)から1年足らずで破談となった。独禁法がボトルネックだったようであり、AMAT-TELの大型統合破談に続いて、独禁法が半導体製造装置(以下SPE業界)業界再編には大きな壁であるようだ。

 

SPE業界、1兆円に向けての統合は頓挫

 

SPE業界では、Lam3(5.3bil$)KLA5(2.8bil$)であり、AMATTELASMLなど上位5社が市場の7割を占める。1兆円規模になると、トップになる。AMATTELも統合が実現すれば1兆円を超えていた。SPE業界のライバルや、インテル、サムスン等大手半導体メーカーも懸念を示した可能性がある。昨年から相次ぐ、SPE大統合の破談で業界は再び戦国時代に逆戻りしてきた。デバイス側はアナログ系やソフトバンクのARM買収など再編が進んでいるのと対照的である。

 

なお、SPE業界を、売上規模により、前工程系と後工程系にわけて、FPD関係も一緒にしてマッピングすると、1兆円超えならトップ、これに向け上位は5000億円規模でしのぎを削っており、2000~5000億円が「空乏層」、また、2000億円以下は、日本メーカー中心に、専業が多い。また、後工程は、規模が小さく、1000億円以下である。

 

日立グループ再編が台風の目に

 

今回、日立の第二次グループ再編の中で日立国際が売却されそうだが、台風の目になろう。あるいは、それが独禁法だけでなく、破談に関係している可能性もあろう。日立国際だけでなく、玉突き式に日立ハイテクも影響すれれば、大きい。

 

TELAMATにすれば、昨年の逆の立場であり、プラスだろうし、再度、日立国際等も含め、組合せを再考するかもしれない。スクリーンその他も、影響があるかもしれない。

 

 SPE業界

 

 これまでは、SPE業界は、リソ、拡散、エッチ、洗浄など、要素技術毎にメーカーが参入していたが、ムーアの法則が限界を迎えつつあり、これまでと異なるカテゴリーで、技術を纏めなければならない。リソ等は典型であり、波長による微細加工技術よりは、エッチや成膜も含めたトータル的なパターンニングが重要である。その中で、SPE業界の再編は不可欠であり、デバイスメーカーとの関係も変わってくる。

 

独禁法と垂直統合・水平分業

 

 もはや成長にはM&Aは不可欠な戦略オプションとなってきたが、そこで改めて独禁法の存在が大きい。逆にいえば、ここまで業界のライバルあるいは周辺業界が、大統合M&Aを懸念し独禁法がネックとなるということは、M&Aや統合再編の有効性が証明されたかのようである。もはや、M&AでのバリエーションやDDPMIは、差別化できないほど洗練されてきており、今後は、どう独禁法を避けるか、が重要な戦略かもしれない。これは、プラットフォーム戦略でもしかりである。