10月28日10時半~11時半の説明会(決算は昨日引け後発表)に参加、質問もした。業績下方修正があった上、去る9月にAzimuth Systems社買収発表もあり、関心が高く参加者多数。多くの質問も出たが、結果よりも将来についての関心が多い。今が底だとは、アナリスト・投資家も認識しているが、今後の回復度合いについて期待と不安がある。プレゼンは、橋本社長、その後、初登場の浜田常務が今後の技術動向等について紹介、その後質疑。これまで技術動向について啓蒙的なプレゼンを行ってきた田中副社長は出席したものの質疑も浜田常務が対応。買収案件や業績は窪田CFOが対応。
端境期
現在の経営環境が、主力のT&M事業で、3G/4G/Advanced-LTEから5G/IOTへの端境期であることはこれまで再三再四、説明されており、1Q時点での説明会でも受注動向が厳しそうだったので、業績下方修正には驚きはない。通期の売上970→875億円(T&M680→585億円)、OP72→22億円(T&M55→5億円)、NP53→10億円。ただ、下期は売上558億円、OP13億円であり、現在の受注状況からは売上達成は楽ではないだろう。
今期は黒字を維持すれば御の字であり、むしろ来期への回復が鍵である。成長ドライバーは、豊富であり、①LTE-AdvancedのCAやMIMOの進化、②ネットワークリシェイプ、③IOT/5G、クルマである。ただ、離陸が緩やかになる可能性もある上、R&D投資の負担も大きい。R&Dに対するKPIは不変。
Azimuth (アジマス)Systems社買収
成長に向けても鍵になるのが、今回のAzimuth(アジマス) Systems社買収であり、今後の展開に不可欠であり、むしろタイミング的には遅かった位だろう。シナジーも大きそう。
クルマ向け?
今回、新しく出てきた話がクルマ向けの取組みである。自動運転に向け、テレマティックス、モバイル通信、79Gレーダー、V2VやV2Xなどの導入で、いろいろな計測の必要性が出てきている。そこで、潜在的にT&Mのチャンスはある。
浜田常務のプレゼンでも、そこが強調され、アジマス社のシナジーの期待もあり、2020年までに期待が持てそうな印象を与えている。
しかし、これに対し、アンリツが、クルマ系のネットワーク化の機会を生かせるかどうか疑問である。十分に納得ある回答は無かった。
5G導入は早まる、北米周波数再編は不明
5Gについては、3GPPとベライゾン系の二つの標準化があるが、3GPPが2017年に前倒し、これに反応してかベライゾン系も更に前倒しとなった。このため、市場の離陸も早まる可能性があろう。
また、北米の周波数再編や、放送系だが日本での4K8Kに向けて、収益機会があるか、確認したが、不明だった。
オープンイノベーションを
現在、5G、IOT、自動運転は、あらゆる業界から巨大企業からベンチャーまで多くの企業が期待を持って参入しており、技術の領域は極めて広く、R&D投資も巨大である。それは、こうした技術を支える計測でも同様だろう。その中で、アンリツが、単独で、全てをカバーするのは容易ではなく、他社との連携が一層必要になる。
アンリツは90年代以降、橋本社長の改革で、脱NTTファミリー、モバイルテスターへ資源を集中、グローバル化にも成功、大きく業績を改善したが、まだNTTファミリー体質、R&Dもリニアモデル・自前志向、ハード志向が残っているように思う。
更なる大きな飛躍を期待したい。