10月27日午後に決算発表、16時半~18時まで決算及び経営方針説明会に参加、質問もした。また、翌日13時~14時半のスモールミーティングにも参加した。まず塚野CFOが決算説明、続いて田中CEOが経営方針説明、その後、纏めて質疑。回答は、CEO、CFO両方。
目標数字来期Opm5%、中期で10%とFCF1500億円以上等の目指す姿は不変
今回は決算そのものよりも、経営方針に関する質疑が大多数。ただ、水面下で進行中のものも多く、レノボについて交渉中であることは認めたものの、詳細は不明。改めて2017年度Opm5%、中期の目指す姿として、Opm10%以上、FCF1500億円以上、自己資本比率40%以上、海外50%以上が提示された。なお、同社は全社消去が通常1000億円規模あり、Opm5%なら各セグメントでは2%前後は上を狙わないといけないことに留意。
決算はPFとユビキタスが好調
決算は、上期は売上2.1兆円、OP158億円、NP118億円、FCF赤536億円は気になるが、まずまずだろう。社内計画比ではやや上ブレらしい。通期は円高で売上4.6→4.5兆円だが、OP1200億円、NP850億円は不変。ユビキタスは、PCとケータイで70億円上方修正、デバイスがLSI中心に70億円下方修正。NWでは国内基地局等が上ブレ、海外光伝送が下ブレ。NWは下期大幅改善を見込むようだがやや厳しそう。
IT投資は強い
ソリューションSIは国内好調。Opm8%を維持ロスコンは前年並み。インフラサービスは、国内まずまずだが海外が米英・中国はいいが、大陸、北欧、韓国など不振、2Qは減益だったが通期は増益を目指す。Opm7%だが、国内10%以上、海外の数%と推定され、海外改善が鍵を握る。
経営改革
現在、構造改革オペラの第何幕目かは不明だが、振り返ってみると、かつてないほど、ポートフォリオを見直し、組織を変えているのは事実である。ユビキタス部門は分社化、PCはレノボに譲渡の可能性、テンは売却、長年懸案だったニフティは子会社化の後、B2Cは売却、SE子会社統合、NWもリストラ、デジタルサービス部門に統合する。PFも、プロセッサ開発技術、AI基盤技術、オープンソース応用技術の3分野に絞る。
質疑では、450億円の正味リストラ費用の背景である1400億円のコスト(既に860億円を計上、下期に残り540億円程度)と1100億円の資産売却(まだ殆ど無し)の確認、その内訳の300億円の背景として人員入替の3300人アウト、1200人イン、そのコスト(リストラ費用というより教育コスト等)に関する質問が多いが現時点では流動的な要素が大きく詰めても仕方がないだろう。
2017年度のOPM5%の実現性
そもそも、2017年度のOpm5%の達成可能性も、会社側は、4%以上はメドがつき、5%に向けて頑張っている印象だが、分母が不明であり、現在の4.5兆円規模から大きく変わる。
仮に、国内に絞れば、SIソリューション10%弱、インフラサービス10%弱、システムプロダクツ15%、NW10%であり、売上は3兆円となるが、平均でOpm10%の可能性は高く、OP2500~3000億円くらいになる。しかし、グローバルな成長は享受できない。海外のフォトニクスとインフラサービスの絞り込み次第である。
ビジネスモデル
中期では、よりソフト志向、人件費志向となる。これまでのハードの価格×数量、変動費、固定費、量産効果といった経済ではなく、契約の巧拙によるマージン主体になるかもしれない。
製造業主体の時代は給与格差が少ないがソフト主体では桁違い
さらに、進むと、数学の世界と同様、凡庸な開発者の何十何百分の1の時間で問題を解く技術者も出てこよう。ハード中心の世界と異なり、人材格差が大きくなる。
富士通のビジネス改革は突き詰めれば、さらに産業構造を大きく変えてしまう予感がしてならない。