10月31日18時半~19時半の説明会に参加、津賀CEO、河井CFOが出席、CFOがプレゼンの後、質疑は両名が対応だが津賀CEOが多かった。下方修正もあり参加者多数。
開示が複雑
数字がIFRS非監査のべースの調整後営業利益、営業利益、米国基準の営業利益と3種類あり、それぞれかなり異なるので分かり難い。日立のようにEBITなどを主とするなどした方がいいだろう。
なお、以下のセグメント別で、AP(アプライアンス)、ES(エコソリューションズ)、AVC(AVCネットワークス)、AIS(オートモーティブ&インダストリアルシステムズ)である。
業績は円高を理由に下方修正
2Q決算は売上1.76兆円(IFRS非監査、US監査は1.74兆円)、調整後OP872億円(IFRS非監査)、OP1063億円(IFRS非監査、US監査777億円)、NP1043億円(IFRS非監査、US監査982億円)、円高、固定費増、前年特需反動で減益だが、基準でかなり異なる。
通期(何れもIFRSベース)は売上7.6→7.2兆円、調整後OP3850→3200億円、OP3100→2450億円、NP1450→1200億円、と大幅下方修正、10月28日の日経報道OP2800億円を大きく下回った。y/y(但し非監査のIFRS)では、調整後OPでは大幅減益、OPは増益とややこしい。FCFは1500億円以上で不変。
下方修正の要因は、円高が410億円(主としてAIS)、ソーラーやデバイス等下ブレ。テスラ向けなどバッテリーの先行投資前倒しに固定費増加(有形固定資産だけでなく技術者投入など人件費増もある)があったようだ。セグメント別ではAIS410億円、ES118億円、AVC145億円、APは上ブレ。
円高と構造変化
為替前提は115→103円/$、125→114円/€、17.6→15.5円/RMB。円高感応度は全体では1円でOP32億円だが、ドル26億円のマイナス、ユーロ8億円のマイナスに対し、中国人民元は25億円のプラス、全体でも計算が合わず、複雑化している。単純な円高では、AP+100億円、AVC-180億円、AIS-500億円、計580億円だが、これまでと異なりAPの円高メリットが減っている。これまでの単純な輸出のマイナスと換算でのマイナスがあり、難しい。
社長は自信ありげだが
これほどの下方修正にも関わらず、津賀氏は、来期に向け成長の自信を持ったと発言。事業ドメインは、家電、住宅、車載、B2Bと地域別のマトリックスとし、また、高成長、安定成長、要改善の3つに分け、課題は「見える化」され、高成長は二次電池等先行投資、安定成長はソーラー等、要改善事業は黒字改善とすべきことが明らかになったとした。
PDPのデジャヴ
しかし、円高を理由に下方修正、バッテリーに大型の先行投資、というのは、かつてのPDP投資を想起させる(そこにストップをかけ評価されたのが津賀氏なのだが)。
今後の成長に必要なのは、事業ポートフォリオ構築(できれば広さを計測し、それに適合したガバナンス体制)と、そのためのM&A、ビジネスモデル変革、それを実行するためのトップの景気サイクル(できれば固有周期)を超えたトップの在任期間であるが、いずれもパナソニックは気が付いていないように見える。