2016年11月3日 Span of Control と経営重心®広さ

  どの位の人間を管理できるか、という意味で、Span of Controlという言葉が有名である。よく言われたのは、工場だと、1000人位が限界であり、普通の社員は数百人程度、研究所では、100人程度である。また、自身の調査部長やファンドの社長としての経験からは、アナリストは100人、ファンマネは10人位がいいところ(スタッフは除く)だろう。

 

管理可能人数も桁違い、年収も桁違い

  これは、社員に期待する知的能力や多様性の部分が大きくなるほど、管理が大変だということの裏返しでもある。

 

AI系、ソフト系では更に桁違いだが時間軸も違う

  そこで、研究者、特にAIや、システムの開発者だとどうだろうか。現状では、通常の給与体系の中で、普通のホワイトカラーと同様である。しかし、数学など本来の知的能力は、個人で桁違いである。

宇宙より広い天才の脳

 実際に人間の能力は、上は青天井であろう。これまで述べた能力の軸は、IQ的な上下のスケールだが、もっと恐ろしいのは、WQ(Wide)ともいうべき、人間の知的関心の広さや多様性である。かつてのレオナルドダビンチなど、多くの天才は、枠に嵌らず、その興味は、一派大衆と異なるが、広範であり、その一見飛び地同士が結合され、アイデアが沸き起こる。まさに、脳の中は、宇宙より広いのである。そうした広く青天井の知を管理し、評価し、活用しなければいけないのだが、不可能に近く、多くの場合は、数学者なら数学者(実際は芸術家の能力が高くても)枠に嵌めて、多くの能力を死蔵する。

総合マンモス一流大学はかつての総合電機か

 かつて、総合電機の事業領域は広すぎ、社長は管理不能ゆえに、業績は低迷したが、レベルは違うが、総合大学である東大などの知的領域は広すぎる。

 

広すぎると自らが分かれずオープンイノベーションも難しい

  あまり広すぎると、オープンイノベーションも難しくなる。  経営重心®では、事業の広さを計量したが、人間の知的能力、脳の広さの軽量化は難しい。

知の構造化、広さの計量化

  膨大となり複雑化する知の構造化、マッピングには、大学、政府で取り組まれ、多くの優れた研究成果がある。また、各大学で熱心な取組みがある。ただ、精緻さに拘るあまり、複雑化し二次元表示ができず、曲がった空間に図示する有様である。また、人文系や社会科学までは包含していない。さらに、経営重心®で示したように、多くの企業ドメイン表示と同様に、分野毎の距離や空間での位置づけが、なされておらず、単位もなく、定量化もなく、距離も算出できず、広さは計算できない。