JDIの2Q決算説明会が11月9日17-18時開催、参加し質問もした。決算概況は吉田CFO、市場環境と戦略を有賀COO、経営戦略について本間CEOが、それぞれプレゼン、その後、質疑。
直前に、日経新聞で、白山工場12月稼働や、INCJ劣後債500億円など引受などの報道もあり、また、円高と強いパネル市況で業績がどう出るか、注目される決算だったが、米大統領戦でのトランプ勝利のショックもあり、やや人数が少なめ。
業績は円高下で健闘、年間最終黒字を目指すが十分に射程圏
2Qは、売上2100→1966億円、OP10→12億円は、円高の中、健闘。ただOP外で為替差損と過去の不良品対応があり、経常赤字63億円、最終赤字49億円。Dep210→215億円、R&D46→36億円。
3Q計画は売上2650億円、OP100億円、Dep217億円、R&D48億円、q/q700億円弱の増収からは、OP増益90億円は、固定費増が15億円近くあっても、物足りないが、昨年同様、米スマホ新製品対応では外部購入品が増えるためだろう。各工場はフル稼働であり、価格も安定、OP100億円やや控えめで150億円程度の余地はあるだろう。
http://www.circle-cross.com/2016/09/22/2016年9月22日-iphone7発売後のハイテク市況-概ね吉報だが一部不安も-パネルは大型中小型共に逼迫/
4Qについては、米スマホの不透明要因はあるが、限界利益率が高い中国スマホ向けのOLED代替が期待でき、更に、採算のよいクルマ向けが伸び、売上2800億円、OP200億円も可能だろう。
CFOは、こういう経営環境も想定し、年間で最終黒字を目指したい、と発言。逆算すれば、4QのOP150億円以上であり、年間OP50億円程度の黒字となるが、もう少し期待できる。
LCDでフレキを
今回、注目されたのが有賀COOによるプレゼンで、LCDでフレキシブルを実現するという技術戦略である。そもそも、解像度ppiや画質、寿命、消費電力、現状のコストでは、LCDは、OLEDに上回る。その中で、OLED化の背景は、動画特性やコントラストもあるが、フレキシブル性、ベンダブル、フォーダブルなどのデザイン性が主である。前回、額縁レスや4辺フリーのXOディスプレイを打ち出したが、今回、XOをフルアクティブと改名、その技術プラットフォームを示した。
応用分野もスマホから拡大、VRや医療、クルマ向けに拡大、ただ、TVや汎用モニターは狙わない。異業種との連携も増えそう。
更に今回、注目は、キンドルで有名なE-inkとの提携であり、バックプレーンを供給、カラーもあり、電子ペーパーに動画も可能になる。
OLEDの動きと業界再編
OLEDも手をこまねいているわけではない。現在は、石川G4.5で試作、リアルでの(ペンタイルでなく)400ppiを達成している。報道があった白山12月稼働については、準備はしているし、すぐ動かせるわけでもないので、ユーザー認証などの算段だろう。ここは、ユーザーからベンダーファイナンスの可能性なども含め、中計の中で検討事項であり、これがINCJの500億円資金の話とも関連しよう。
http://www.circle-cross.com/2016/08/30/2016年8月29日-鴻海シャープが有機el-oled-でjdiと協業意欲か-最後通告/
これらが正式にメドがつけば、発表だろうが、まだ不確定要素も多いのでプランBとして、LCDだけでも生き残り策を模索しているのだろう。こういう両面作戦は現実的であろう。
リストラ
リストラも発表され、全社員の30%に相当する約4700人(国内636人、海外4100人)を削減も、計画通りである。自動化の効果も大きい。課題の後工程もMOZ社売却、台湾再編も進む。また、前工程の東浦Fab1設備除却完了、茂原V3ラインも閉鎖に向け作り込み、12月に最終生産投入。これらにより、固定費削減効果200億円弱は予定通り。
残された課題は、JOLEDの取り扱いだろう。あとは人事を尽くして天命を待つ、である。