2016年12月9日 オムロンの社長スモールミーティング(12月9日実施)

 

オムロンの山田社長とのスモールミーティングに参加、大いに質問・議論をした。基本はセルサイドアナリスト向けながら、No Sideも参加(総合電機の一部は社長スモールミーティングがあるが大手証券系セルサイドonlyである。同社をはじめ、ディスコその他、IR開示が進んでいる会社は、証券会社所属というセルサイドに限定せず、独立系のノーサイドにもOpenである)

 

 会社側からは、上期決算でのIAB事業の取組みの資料中心に簡単なプレゼンで新しい話は当然ながらなく、むしろ、アナリスト側との議論や意見交換が中心であった。特に、ポートフォリオ評価とドメイン切り口の関係やシーメンスのメンター買収に関連し、設計と製造の関連では、どこまで自社でやるかに関心があり、いい会話・討論ができたと思う。

 

IAB3つの「i

 

 IABでは、「i-Automation」の3つの「i」、すなわち、Integrated(制御進化)Intelligent(知能化)Interactive(人間と機械の新しい協調)について、実例も含め説明があった。

 

制御進化では、超高精度加工、超高精密組立、超高速搬送や、M&Aにより、ILOR+S(InputLogicOutputRobot + Safety)を一気通貫でシームレスに持つ強みが確認された。

 

液晶ガラス搬送などに有効な制振制御(振動を検知し位相をずらした振動を与えることで搬送時の揺れを防止)132本の制御ソフト(車向けサーボプレス制御、部品向けコンタクト圧制御、FPD向け制振制御、工作機向け軌跡制御、食品包装向けテンション制御など)を持ち、これらをユーザーと開発、無償提供しながらハード等の組合せるビジネスモデルを再認識した。制振制御や張力制御は、蒸着ラインでのマスクでも重要であり、大いにニーズがあろう。軌跡制御もラインの小型化やTACT改善などに有効で、現場の顧客ニーズに基づいたソフトである。なお、ユーザーの共創ではあるが、知財はオムロンの所有であり、あとは契約次第だろう。

 

知能化では、10万機種をIOTAIを組合せたライン提供、更に、工程間を国際規格でオープンにネットワークで繋ぐ技術のコンセプトは、トヨタがイーサCAT導入もあり評価されているようだ。

 

人間と機械の新しい協調は今、旬のテーマであり、またベルトコンベヤーレスや、生産プロセスをブロック化し、必要に応じて柔軟に変更できるライン等も興味深かった。

 

一気通貫

 

 製造ラインが超高精度、超高速精密組立、超高速搬送になると、ラインの構成要素である「ILORS」のそれぞれに特化していては対応できず、かつ、「ILORS」の中で広い製品群を持つことが重要であるだろう。

 

ドメインをどこまで広げるか

 

 ただ、オムロンのドメインは、あくまで工場、工場間が中心であり、設計や流通まで含めた企業全体はフォローしないし、下請けやケーレツ全体業界全体まで広げない。

 

設計図面を抑える重要性

 

 今後、モノ作りが高度化すると、設計の公差情報と製造での品質との関連性が重要になり、相互の密なフィードバックが重要になる。

 

ドメインとセグメント評価

 

 オムロンは、90近い事業をROICと成長率などで評価するが、そこでは、どうセグメントを切り、ドメインを設定するかが鍵である。こうした重要性については、多様な事業を展開する山田社長は、当然ながら、十二分に認識しており、問題意識は高そうで、社内でも、さんざん議論されているようだ。

 

ダイナミックにセグメント切り口を変える

 

 特に、デバイス系は、社内と社外もあり、幅広いカバーがあるが、EMCと本社直轄に分かれている。

 

経営重心®でジャパンストライクゾーン

 

経営重心®で考察すると、課題事業で、もともと、パイオニアから買収したBLを除けば、コアのIABを中心に、上側がEMC、右上がHCB、左上がAEC、下にSSBと、ほぼ、ジャパンストライクゾーンのコーナーをついて、ドメインが広がっていることがわかる。BLを、スマホ向けパネル用を減らし、PCやクルマ向けパネル用にシフトすれば、ジャパンストライクゾーンに近付く。