2016年12月10日大真空の上期説明会(11月30日)とSiTIMEの動向

 

大真空の上期決算説明会に久しぶりに参加した。出席者は田中専務、前田常務、その他、プレゼンは前田常務。参加者はそれほど多くないが、質疑は多かった。

 

 大真空は、NRI時代に水晶業界のレポートをチームで執筆、同社はじめ、日本電波や、今は、他社に買収されたが、東洋通信機、キンセキ、東京電波など多くの会社の企業訪問、工場見学に参加した。水晶は半導体が産業の「米」なら、産業の「塩」として、多くのデバイスの中で先行指標でもあり、ケータイやPCのサプライチェーンのチェック上も重要であり、担当だった東洋通信機や、同社、日本電波は、継続的に訪問していた。加古川のオフィスや工場見学も何故か脳裏に焼き付いている。また、同社は説明会のタイミングが遅く、決算集中期からも外れ、何度も参加した。累積INPUTは数10回程度か。

 

再編の水晶業界

 

 水晶業界は、工業会QIAJによれば2015年の市場は3300億円程度、日本のシェア50%弱、台湾25%弱だが、中国メーカーの追い上げ、SiTIMEなどMEMSによるSiタイミングデバイスの参入に直面している。QIAJからも脱退が増え、京セラによるキンセキの買収、エプソンによる東洋通信機の水晶部門の統合、村田による東京電波の買収など再編が起こり、水晶専業メーカーの上場会社が減っている(注:機械統計はあるがシェアが低い国内企業分だけであり、QIAJの補足率も低く、世界全体の市場動向を月次で把握するのは難しい状況である)

 

この中で、業界トップの日本電波と、大真空、従来同様、上場企業として、新興のリバーエレテック(JQ)と共に、独自に奮闘しているが、日本電波は最高益が2000年度のOP126億円から現在は数億円、大真空も2007年度のOP45億円から10億円の水準。足元はTCXO市況がタイトだが長期低落傾向の中である。

 

ポートフォリオ転換中の業績

 

 大真空は、韓国メーカー向けに強く為替変動に弱いが、民生・PCから、スマホ・車向けにポートフォリオ転換、スマホ等通信が43%、カーエレが27%へ。また、SiTIMEと提携、MEMSデバイス拡販努力中である。 上期業績は売上152億円、OP5億円、為替差損もあり、NP赤字3億円。通期は、TCXO逼迫で中国スマホ向け好調で、円高で下期102円前提でも上方修正、売上330310億円、OP911億円、NP1.51.5億円。

SiTIME

 

SiTIMESiタイミングデバイスは、①低消費電力、②小型化、③低背のメリットが大きいと考えて居るようだが、信頼性や実績から、それほど拡販できておらず、Siタイミングデバイスを生かす応用分野を模索中。また、水晶とSiタイミングデバイスは共存するとの認識。

 

http://www.circle-cross.com/2015/04/27/2015426-シリコン発振器が水晶発振器を駆逐する/