2016年12月31日 2016年激動の年を振り返る

 

2016年は、マクロもミクロも、激動の年であった。特に、ハイテク業界にとっては、年明けから、シャープを巡る鴻海とINCJの駆け引きから始まり、JDIも翻弄され、他方、東芝は、ヘルスケアをキヤノンに売却、白物家電も美的が買い取り、NAND市況好調で上方修正、特設注意銘柄解除も、あと一歩という感じだったが、年末で、原子力関連で悪夢が襲った。

 

 全般的に業績は、20142015年度がピークであり、円高で減益、下方修正も出たが、ポートフォリオの改善や、コスト力強化で、過去のITバブル崩壊やリーマンショック等のような大きな落ち込みはないようだ。

 

 製品では、引き続きスマホに翻弄されたが、クルマ向けが好調で、電機業界にとって、次の大きな柱が見えてきた。

 

新しいM&Aと、ポートフォリオ、会社のかたちのあり方

 

 そういう2016年の、重要なキーワードは、M&Aとポートフォリオの在り方、会社のかたちの在り方である。M&Aでは、従来型のレイヤーマスタでの同業の合体から、ソフトバンクのARM、シーメンスのメンターの例にみられたように、これまでのドメインに拘らない新分野や、タスキ掛けのような例が増えている。鴻海のシャープ買収も、キヤノンの東芝メディカル、村田のソニー電池、ニコンや富士フィルムの医療関連も、そういう要素があり、これが2017年も鍵になろう。これに、オープンイノベーションや、エコシステムの構築、もっと、いえば、業界構造の設計力、新しい資本主義の設計提案力、が重要になる。過去型の、M&Aは、製造装置で、KLA-Lamが破談、改めて独禁法の壁を再認識した。

 

 

INCJvs外資

 

 そこで、今年も、東芝をはじめ、業界再編などで、起こりそうなのが、昨年のデジャブ、シャープを巡ってのINCJと外資の応酬だろう。これは、今後、長期で重要な産業政策にも関連する。

 

 あらためて、INCJと外資による買収、救済を比較すると、下記のようであり、感情論などを別にすれば、規制産業は別にして、グローバルで競争しているハイテク産業では、INCJによる国内中心の再編は難しいだろう。それは実現可能性や、企業にとっても、国民にとっても、同様である。

 

 

正解のヒントは現場の企業の奮闘にこそ

 

引き続き、理論家ではなく、実験屋として、ミクロで、現場取材に基づく、分析・論考をしつつ、その背景にある普遍的真理を見つけ、トレンドを読み、提案もしていきたい。工学では、計測・制御・設計が大きな柱だが、計測である「分析」、制御である「経営」に加えて、業界と企業の形・ポートフォリオの「設計」が重要になろう。

 

 昨年は、ブログは、年間381本、ほぼ毎月10万字以上であった。月次では、下記のようだが、本数が少ない月は、内容が深く、字数・ページ数が多い。