TSMCが1月12日に行った2016年度決算(通期及び4Q)決算説明会テレコンを視聴した。業績は、CFOのローラホー女史(以前、TIエイサー時代に何度かお会いした)、経営説明は、創業者で御年86歳(1931年生まれ、一旦、引退したが復帰)のCEOリチャードチャン氏。
質疑も含めて90分だが、回答がゆっくりの英語で質問を一々確認するのでそう長くはない。現地の多くのセルサイドアナリストの質問は足元の業績動向や景況感、7nmなど新プロセス立上げなど日本の場合と変わらない。やや音声がノイジーなのと、小声で英語が聴きとりにくいが、多くの際どい質問は老獪なチャン氏が、役者の違いを見せつけて、うまくかわしていた。一点、米トランプ政権対応の質問があったが、米に工場を作ってもコストが高く難しいという回答だった。
好調だった4Q決算
2016年4Qは売上262bilNT$(ガイダンス255~258)、GP率52.3%(同50.5~52.5%)と、上ブレ着地。最先端プロセスが好調、アプリ別には、Q/Qで、66%を占めるスマホなど通信が11%増、コンピュータが7%増、コンシューマー43%減、20%を占める産機他も6%減。微細化別では、28nm以下が57%まで占めているが28nmが横這いに対し、16/20nm以下が33%までになった。ウェハー出荷は2614k/Qと1%減、売上微増なので単価は1%上昇、約3130US$、16/20nm以下の構成比アップでミックス改善。在庫はQ/Qで3日減り41日と健全。
2016年の年間では売上12%増の948bilNT$、GP率50.1%、OP率39.9%、ROE26%である。年間では、アプリ別は、構成比62%の通信が16%増、同21%の産機他が1%増、同8%のコンピュータが15%増、同9%のコンシューマーが32%増だった。地域別は北米65%、アジア15%、中国9%、EMEA6%、日本5%。上位5社が全体売上の50%、上位10社は70%を占める。
微細化別には16/20nm以下28%、28nm26%など。16nmの構成比もかなり大きい。ウェハー別には、12φが11%増だが8φは二桁減だが需要よりもむしろマイグレーション。28nm以下では、シェアはかなり高い。
2016年のCAPEXは10.2bilUS$(328bilNT$)と計画の9.5bilUS$を上回った。2017年は10bilUS$と横這い。Depは2016年224bilNT$、2017年は10%後半増加の模様。R&Dは、2016年は売上比7.5%だったが、2017年は売上比8%へ引上げ。
2017年見通しとガイダンス
2017年1Qガイダンスは売上236~239bilNT$とQ/Qで約10%減、GP率51.5~53.5%、OP率40.5%〜42.5%。
中期のTSMC成長率は5~10%だが、ROEはキープ、成長分野は、①スマホ、②コンピュータ、③IOT、④クルマ、である。AI、IOTには期待。
まだまだ最強だが
水平分業、ファブレス・ファウンドリモデルも転換期ではあろう。ただ、これらの課題も、東芝やルネサスの課題から比べれば、小さいだろう。