2017年1月22日 東芝の再生と半導体分社の意味

 

結局、週末に会社側からの正式な発表も説明会も無かったが、その後、マスコミでは多くのニュースや論考が出ている。おそらく、その後の、メーカーや金融機関などから、支援表明やアドバイスも出ている中で、役員会でも多様な意見が出ているのだろう。ここで、再度、私見をまとめておきたい。

 

再建に向けての整理

 

東芝の本体については、整理しないといけないのは、①上場廃止、②経営破綻(会社更生法、その他いろいろある)、③資金繰りアウト、④債務超過(時価評価)、⑤資金需要が短期の資金繰りと長期の成長資金、である。

 

資産売却は自己資本アップかキャッシュ捻出か

 

様々な報道によると、東芝は上場株式7社の売却に加え、非上場会社株式や保有不動産の処分で計3千億円程度の資金を捻出する考えのようだ。

 

事業売却は本社のためよりも事業のためでもある

 

また、子会社分社も、本社のとっての資金捻出と、子会社のため、という視点がある。多くのマスコミの論者が間違っているのは、メディカルの場合も、今回のNANDの場合も、資金捻出以上に、将来の成長性である。メディカルもその潜在成長性を実現するのは多額のR&DM&Aも必要で、それが、もはや東芝という資金その他で制限がある中では難しいゆえの売却であった。

 

今回のNANDも、まさに、そうであり、メディカル以上にR&DCapexが必要な事業であり、やはり東芝の傘の下では、成長が制限されるからである。つまり、今回の件は、NANDのためでもあり、これは危機以前から議論されていたが、それが、この危機がきっかけであるが、実現するのは大いにプラスなのである。

 

そして、資金だけではなく、株主構成やマネージメントが、よりグローバルになる場合のプラスが大きいのは、日産ルノーや、シャープ鴻海でも明らかであろう。シャープが鴻海を選んだのは、金額の多寡ではなく、少なくとも高橋社長は鴻海とのシナジーであり、鴻海がシャープの事業構造や特長をよく理解したからであろう。http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170122&ng=DGKKZO11979820R20C17A1TZG000

 

オークションで、WDやキヤノン、TELの他、ファンドが関心

 

報道によれば、東芝は分社化するNAND部門 新会社の株式20-30%の売却に関して、東芝メディカルの場合と同様に、オークションを検討しており、数千億円の売却を見込んでいるようだ。長年提携関係にあるサンディスクの親会社となったWDの他、複数の半導体メーカーが関心を寄せているようだ。WD/サンディスクの名前があがっている他は、具体的な名前はないが、マイクロンや中国なども関心があるだろう。ファンドでは、米系で、世界の半導体やITの再編を手掛けた米系シルバーレイク、英系ペルミラや米系ベインキャピタルなどが応札に意欲を示しているという。このうち、ペルミラ(2次応札まで)、ペインキャピタル(1次応札まで)は、東芝メディカルでも登場した。また、東芝メディカルの譲渡先であり、NILで関係が深いキヤノンの他、SPEで長年ベンダーであるTELも支援の意向を示した。

 

10社とも言われる候補のファンドとメーカーがどう連携して、よい解を出すかなどの知恵が鍵となる。各社も敵対するのではなく連携して知恵を出し東芝側も将来、NANDが長期でグローバル競争に勝ち、成長する相手を選んでほしい。