2月1日の説明会は海外出張中で参加できなかったが、HP動画で視聴した。西山CFOがプレゼン、その後、質疑、上方修正と、GEとのウラン燃料JVの減損など話題も多く、質疑も原子力や海外プラント事業のリスクに集中した。質問は無かったが、むしろ、同日発表された組織体制やポートフォリオ転換の方も重要だろう。出席していれば、そこも確認したかったところだ。
好印象だが重工との紛争など長期案件がリスク
印象では、コア事業の情報通信が好調であり、フロントとプラットフォームに分けた組織体制変化が有効であり、コア事業が好調なうちに、ポートフォリオ転換やリストラを同時に進めており、好感が持てる。
業績も上ブレ傾向であり、安定している。原子力も含め海外エネルギープラントは、リスクヘッジもしており、EPCの中で、Cの建設工事は不得意であることを学習効果もあり自覚し、契約やパートナーとの連携を進めているところも評価できる。ただ、決算後に判明した三菱重工からの倍増となった7600億円の損失負担請求問題もあり、やはり海外のプラント系の事業はリターンもあるが、リスクというか長期の不確実性も高い。それゆえ、中長期で社会インフラ事業をコアとする日立は、中計で、P/Lだけでなく、B/Sや割引率を開示することが、より重要だろう。
円安や情報通信好調でOP上方修正、ウラン燃料開発JV減損が500→700億円でEBIT不変
業績は堅調。3Qの調整後OP1403億円、計画比200億円の上ブレ(セグメント別では情報通信+100億円、電子装置+50億円、高機能材料+30億円、オートモティブ+20億円)のようだ。
2016年度通期のOP計画5400→5600億円、OP外でGEとのウラン濃縮JVで撤退・売却に伴う減損が500→700億円となり、EBIT4500億円、NP2000億円は不変。
海外エネルギー関連でリスクが顕在化
米国でのウラン濃縮開発事業は、GE日立(日立が40%)の子会社(日立25%)となるレーザー濃縮ウラン開発会社の撤退に伴う減損費用。
社会産業で、OPが150億円下ブレは、収束に向かう中東工事案件プロジェクトで設計見直しによる。
三菱重工南アの件で3800から7600億円に請求増額
2月8日に、三菱日立パワーシステムズ(以下、MHPS)が進める南アフリカでのボイラー建設プロジェクト(以下、南アPJ)に係る三菱重工からの譲渡価格調整支払い請求の件で開示。
短期ボラの事業リスクは減ったが長期の地域リスクが増えた
これまでも、業績面では、過去最高を達成し、グローバル標準になりつつあるが、大きな問題は、何度も指摘しているように、海外プラントなど、長期の地域リスクであり、それが今回、顕在化した。
組織再編と布石