2月上旬に、新日本無線グループの後工程の最大の生産拠点であるTHAI NJR CO.LTD(以下、タイNJR))を見学した。タイNJRは、佐賀エレクトロニックスをマザー工場として、技術や生産を移管して発展してきた。
ランプーン郊外の北部工業団地に位置
タイNJRは、北部地域工業団地(NRIE:Northern Region Industrial Estate)内にある。県庁所在地ランプーンの郊外にあり、国道11 号線に隣接、道路を挟んで二つのエリア。チェンマイまでは約30km。バンコックから飛行機で2時間、クルマで8時間。NRIEには70社が入るが、35社が日系。主な日系企業は、同社以外に、村田製作所、新電元工業、京セラ(キンセキ)、など電子デバイス関連、ヤマハ、田中精密工業、フジクラなど自動車・バイク関連、HOYA、並木精密など精密関連が多い。開設は1985年だが、同社は1989年と早い方だ。日系企業同士の連携は強く、不足なリソースを融通することも多いようだ。
タイNJR概要
タイNJRは89年に設立後、1990年10月に生産を開始。人員878人、敷地面積5.46万㎡、工場床面積1.35万㎡。IC1、IC2、IC3と三つのCR棟がある。新日本無線の100%子会社であり、顧客も100%が新日本無線。サプライチェーンは、新日本無線やファウンドリ先の前工程から空輸で送られ、ここで後工程を加工、現在はバンコクの倉庫までトラックで輸送後、タイ内は陸路、海外は空輸となる。
量産ラインは佐賀の3倍規模
タイは、IC1〜IC3の平屋建てが中心、人員も、タイは900名程度であり、佐賀の3倍である。量産向けのボンダ等のラインが、200台近く整然と並んでいるのは圧巻だ。
基本のプロセスや流れ、クルマ向は局所クリーン導入など、コンセプトは同じだが、装置の導入タイミングも異なる上、製品ポートフォリオも異なるので、微妙に装置構成が異なる。佐賀エレクトロニックス製の装置もある。材料の調達は現地で独自のものも多い。
コストも安くLTも短いがまだ改善余地はある
佐賀と単純比較はできないが、1個当たり売上、付加価値等は1/3、これはポートフォリオの差であり、佐賀が新製品やハイエンドが多いためだろう。
今後の課題は、クルマ向けのやや大モノの部品、ハイエンド品が増えてくると、キャパが足りなくなることだろうか。そろそろ、用地確保、建屋の準備がいるかもしれない。あるいは、工業団地の他工場との一層の融通、可能な範囲での切磋琢磨も必要だろう。
意識高い現地社員
社員878人のうち、日本人は8人であり、社長は日本人だがNo2の工場長はタイ人、各部門のトップもタイ人が多い。また、現地の名門チェンマイ大学卒の優秀な人員も多いようだ。7割以上が日本で研修、新規の製品は日本で立上げ、佐賀で一緒に学ぶ。今回のプレゼン資料も、現地で作成したものも多く、愛社精神、自分たちの会社だから、みなで頑張って良くしていこうというような意識が高いのに驚いた。