2017年3月22日 JDI茂原工場J1ライン見学会にみる開示姿勢とトップ交替報道

 

茂原工場見学

 

茂原工場は、日立時代から、90年代のV3ラインや、現在のJ1ラインも含め、累計10回以上に及ぶが、J1ラインのCR内は初めてである。また、G6以上のラインでは、シャープの堺、亀山、LG亀尾だが、いずれも、白衣を着ないウィンドウツアーであり、CR内は初めてであり、貴重な体験だった。

 

INCJ750億円のいわば国民の血税がJDIには投じられているわけだが、客観的冷静なアナリストの立場を忘れ、一国民としても、JDIガンバレ、という気持ちになった参加者は多かっただろう。

 

工夫された見学会

 

まず、最初に、巨大なJ1ライン周囲をバスで一回り、その大きさを実感、次いで、建屋のオフィスで、プレゼン。配布資料はないが、詳細なプレゼン資料と分かり易いラインのビデオ視聴の組合せは良かった。また、白衣に着替えての1時間半、2Kmに及ぶアレイ工程とセル工程の見学で、実感で理解が深まり、非常に見学者に親切真摯で工夫がされていた。CR入室時には、他の半導体工場と比べても、二重の手袋、額の汗とり鉢巻など、異物管理が徹底されており、また、CR内では、巨大な天井搬送が走っているため、ヘルメット着用。その分、着替えが大変だが、社員が段取り良くサポート、効率的だった。

 

IR活動ではあるが、こういう面で段取りが良いと工場内での段取りも良いのだろうと思うし、プレゼンや質疑で開示できる範囲で分かって貰おうという姿勢はマーケティングでも同様だろうと推察してしまう。全体のスケジュールや開示事項の管理も入念な打ち合わせの結果でもあり、それはプロジェクトマネジメント力もあるのだろうと思う。

 

トップ交替

 

 なお、日経報道では、JDIの社長にJOLEDの東入来社長が就くようだ。本間会長は退任、有賀社長も退任だが取締役として残る模様。見学会では、当然だが、全くそういう話はなく驚きだ。

   INCJ750億円の資金を出したこともあり、役所的銀行的発想からは、そのケジメでもあることも、理解できるが、短期で中期でも、この重大なタイミングでは疑問だ。特に、創業来、ここまで技術をリードしてきた有賀氏の社長退任は反対だ。本来なら、一度、CEOとして、その手腕をもう少し見極めてからで良かっただろう。ユーザーも含め、液晶業界での名声や技術陣のリーダーシップから、大きなマイナスであり、顧客からの信頼を失うリスクもあろう。特に、JOLEDの東入来氏の就任で、JDIが蒸着ではなく、印刷方式を採用するのだと思われたら致命的だろう。

 

新体制の課題

 今後のJDIの課題は、山積だ。こうした短期中期の山積で、大勢が変わるのは、望ましくないが、こうした事項が、新旧で十分に共有されているかどうかが鍵だろう。