東芝の財務危機やガバナンス問題に関連して、上場廃止か否かの議論が盛んである。これに関連して、そもそも、上場基準についての議論を提起したい。
上場株については、流動性で値段がつかない場合を除き、一物一価である。そして、その価格は、ファンダメンタルズや売買の需給に応じて形成される。もちろん、株価を反映するファンダメンタルズは、適切な基準でなければならず、そこに会計基準があり、監査法人も必要な所以である。また、そのファンダメンタルズや業績は正しいガバナンスの結果であるべきだ。よって、そうした会計基準を逸脱した場合は、粉飾となり、適切な株価形成を損ねるので、指導されるわけである。ガバナンス体制も同様だ。
マルチスタンダードの計測で同時上場での株価形成はおかしい
しかし、現在、上場企業の会計は、これまでの日本基準、米SEC基準、に加え、IFRSが導入され、これら会計基準の違いで、P/Lも、B/Sも大きく変わる。特に、ノレンの減損等の影響が大きく、それが債務超過か否かを左右するほどである。
また、ガバナンス体制も、主として、委員会設置会社、監査委員等設置会社、監査役設置会社と分かれており、それぞれで、CEOの役割も異なり、役員会のあり方、外部監査のあり方も大きく異なり、上場基準が、どれを想定しているかで、判断が異なる。
複数の上場があっていい
ガバナンスのプレミアムも客観評価、投資家の多様なニーズに対応