6月23日17-18時、マスコミ・機関投資家アナリスト合同の、有報提出延期、二部降格、業績修正、メモリ社売却などに関する説明会が開催された。リークその他、マスコミ報道が錯綜する中で、HPだけでなく、きちんと、フェースtoフェースの会話を重視し、説明会を開く姿勢は評価したい。
所用があり、16時のメール案内に気づくのが遅れ、説明会に参加はできなかったが、HPで視聴。綱川社長による挨拶と、①WH除くと監査手続き完了、②債務超過で二部降格、③有報提出8月10日に延期、④メモリ社売却先内定について、紹介。その後、平田CFOによる詳細説明。その後、質疑が40分強であり、1/3が二部転落・上場維持・責任問題など、1/3がメモリ社売却先、1/3がWH関連の親会社債務保証など。
綱渡りながら少しずつ前進
印象では、監査法人とはだいぶ関係修復、残りはWH関連であり、有報提出は遅れるが、かなりメドがたったのではないか。原発も、サザン電力は6月9日に合意済でリスクが限定され、スキャナ電力はまだ交渉中だが何とかなりそうに感じた。WHは連結対象から除外であり、今後、WH監査手続き結論如何によらず、B/Sは基本的に確定したことになる。
すなわち、懸案の①監査法人との関係、②原発WH処理、③メモリ売却先について、大きな前進であり、①では、WH以外は完了、WH認識では再建中で連結外となった事務的な手続きの大変さはあるが、時間の問題で7月中だろうし、8月10日とういう期限も共有認識、②では、引当等リスクはB/Sに反映、今後、燃料メンテ事業売却なら、その分、親会社引当は軽減であり、峠は越しつつあるように感じた。他方、WDとは、係争中で、交渉に中身や、契約関係は不明で大変そうだ。その意味では引き続き緊張が続く。
メモリ社売却
今回の決定について、そのプロセスや、条件、ブロードコムでなかった理由、鴻海との件、WDとの係争などに多くの質問があったが、多くは、係争中でもあり、当然ながら非開示。
ただ、価値が、2兆円に対し、全売却した場合、1.4兆円程度の利益だが、税金もあり、B/Sの純資産のプラスは7000億円だけで、少ない印象。少し残す選択肢もあっただろう。自己資本は1000億円強であり、薄氷。年度末までに、資産売却も含め、諸対策を講じ10%の自己資本比率を達成したいようだ。
グループ会社再編(売却や、取り込み)は、NAで、検討無しとした。
今回の相手先決定は、いろいろ参考にしたが、東芝が主導権をもって決定したことをアッピール。6月28日までの合意に自信を示した。四日市についても、2017年末の装置搬入、2018年8月の立上げは不変。知財は、現在は東芝だが、メモリ社へ移管。知財アクセス差し止めで、WD生産停止要求は未定。WD主張には、対サムスンの中で、長年の良好な関係を修復したいとしながらも、東芝側の正当性を主張、また、一部報道の東芝からコンソーシアムへの参加要請は否定したが、WD側からあれば対応するようだ。
多くの疑問点
WDとの関係では、20年近く、JVを継続し、WDは累計1.5兆円の投資と、多値技術やインターフェイス技術を供与しており、その意味では、東芝の行動は、「長年連れ添ってきた大事なパートナーに黙って、他のパートナーを募り、結果的に新しいパートナーに入替、住処から追い出す」ことであれ、法的専門性はさておき、仁義に欠ける気がする。他の候補者は、「入札」失敗でも、失うものはないが、WDは余りに失うものが大きく、大きく異なる。
資金と妥当性
他方、スキームも疑問点が多い。
WDと鴻海が組むと、米中台を敵に
どう考えても、中国はともかくとしても、最初から、こうした実績のある台湾の鴻海を排除、長年のWDを選択しないのは無理がある。当然、中国や台湾が連携して、独禁法で阻止しようし、これが米WDと組めば、強力だろう。
懸念は膨らむ
もう少し、知恵を絞り、東芝と上場と主導権を維持、WDも半数以下で、ファンド以外では、筆頭株主、鴻海も少しは入れるようなスキームを工夫してほしい。また、その方が、グローバル経営などの視点からも有用だろう。INCJからの社外役員でハイテク・グローバル企業の経営が難しいことは、あまり見事に実証されてしまっている。